第1章:鍛錬の成果
「ここは私が整備した道だ。町に入るには通行料を払え、一人五シルバーだ」
「高すぎるだろ、この道、金で舗装してあるのか? しかも石すら見えないぞ」
「貧乏ぶるな。後ろの二人の裾を見ろ、うちじゃそんな高価な布は買えん。お前らの安全を考えて、素直に払った方がいい」
「俺の後ろにいるこの人は、貴様らごときに手を出せる相手じゃない」ルシウスは口元を抑えようとしたが、思わず笑みがこぼれた。
「たったこれだけの人数で偉そうに言うとは、痛い目に合わせてやるべきだな」背後の林から八人の手下が現れる。
「頑張って、私は先に退く」ニクシアは振り返りながら小走り、女僕もすぐに続く。
「な、なんだって?」ルシウスは頭をかきながら「ああ?」と声を漏らす。ため息をつき、「まあ、いいか」と覚悟する。
中年の男は左側の手下たちに目を向け、素早く逃げる方向に微かに首を向けて合図する。四人は軽く頷き、後を追った。
次に右側の手下たちを見ると、一言「上」とだけ告げる。四人は勇者の方へ向かう。
ルシウスは慌てて魔力を流し、背後にある二つの薪の束を素早く投げ飛ばしてから駆け出した。一つは相手の顔面に、もう一つは胸に直撃する。
走りながら腰に差した剣を抜き、振り返って最も速く駆けてくる強盗の一人に一閃を放つ。
相手は慌てて防御するが、その一撃で手のひらに激痛が走り、刀は手から滑り落ちる。続いての横薙ぎで腕に切り傷ができた。
仲間の負傷を見て、別の強盗が飛びかかってくる。ルシウスは背負っていた薪の架を投げつけ、相手の腹に命中させた。
中年男は首の水晶を擦り、すると水晶が魔力の光を放つ。「坊や、身体能力もなかなかだな。付呪されたものでも使ったのか?」
一閃の剣が迫る。ルシウスは横に構えて受け止める。二振りの刃がぶつかり、鉄と石が衝突するような轟音が響き、林の小鳥たちが驚いて飛び立った。
彼は派手な技を使わず、ただひたすら剣を振り続ける。力対力、技術よりも誰が先に押し倒されるかだけを競う戦いだった。
ルシウスは全力で一閃。相手も負けじと同様に振るい、刀剣がぶつかる。
相手の足元が少し滑り、半歩押し戻される。腕に痺れが走る。
強盗の頭目は胸を激しく上下させ、荒い息を吐きながら大声で叫ぶ。「坊や、やるな。そんないい道具はどこで手に入れた?」
言葉が途切れる間もなく、彼は最後の力を振り絞る。
二つの武器が宙で噛み合い、二人は密着して角力する。相手の刀は震えているが、ルシウスの剣は岩のように揺るがない。刀を少しずつ押し下げ、身体もそれに伴って後ろに傾く。
そのとき、ルシウスは全身集中しており、背後に人がいることに気づいていなかった。これまで姿を隠していた強盗が静かに近づき、大刀を頭上に掲げ、首めがけて振り下ろす。
しかし、ルシウスの影の中から一つの影が飛び出す。女僕が短剣を手に取り、軽々と大刀を弾き返した。
「な、何だと?」ルシウスの背後の強盗が叫ぶ。「この女、危険すぎる!」
女僕がそれ以上動かないのを見て、強盗の頭目は大声で「撤退!」と叫ぶ。
倒れた手下たちはもがきながら立ち上がり、片手で傷口を押さえ、もう片手で地面を支え、よろめきながら林の奥へと逃げていった。
「坊や、なかなかの活躍だったな」ニクシアは笑みを浮かべ、彼の頭に手を伸ばして無造作に撫でる。
ルシウスは乱れた髪を直す手を払いのけ、「ふん、俺たちの最強戦力が真っ先に逃げるなんて信じられない」と両腕を組む。
「俺が出たら、全員恐れて逃げちまうだろうさ」魔王は両手を広げて肩をすくめる。「だからこそ、お前の活躍が際立つわけだ」
「もう、いいから、早く町に入ろう。疲れた」勇者は大股で前へ歩き、力強く剣を鞘に収め「カチッ」と音を立てた。
歩調はゆったりと、魔王も後ろからついてくる。「あら、怒った?」と軽く声をかける。
勇者は無言で、自分の歩幅で進む。
魔王は鼻歌を口ずさみながら、静かに後を追った。
ルシウスは薪を積み上げ、シルヴァの酒場の裏庭の隅に置いた。報酬を受け取り、袖で額の汗を拭う。片付けが終わると、裏路地から出て、ちょうど待っていたニクシアと出くわした。
「ところで、服を着替えないの?」と彼女が突然口を開く。
「そんな金はないさ」粗布の服を着たルシウスは苦笑した。「薪拾いで稼いだこの金じゃ、肩当て一つ買えない。もし勇者の儀式服に戻したら、すぐに見つかっちまう。」
「私が奢ろう」魔王は視線をそらし、女僕に向ける。「いいわね?」
女僕は右手を左胸の上に置き、軽く頷いた。沈黙の中で同意を示すように。




