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9話

 婚姻の日


 教会の前でクレアとヴィクターは誓いの言葉を交わした。赤いベルベットのドレスを着て、冠とヴェールを付けたクレアに、ヴィクターは目を細めた



 夜の宴は司祭、ヴィクターの臣下達、モリー達一部使用人だけの内輪のものだった。

 ドネルの支配していた時とは違うリラックスした温かい雰囲気が広間に漂う。


 宴は話し声で賑やかなのに、隣に座るヴィクターはいつもより言葉が少ない。クレアも上手く話せなかった。


 皆酒が回り、おのおの勝手に騒ぎだす。歌や踊りが始まった。


 クレアはヴィクターの視線を感じた。


「司祭が寝てしまった」


 司祭はいつの間にかテーブルにうつ伏せで寝ている。

 

 ヴィクターはクレアを探る様に見つめると、手を差し出した。


 胸の鼓動が速くなる。


 クレアはその手に、自分の手を重ねた。触れた部分がピリピリ痺れるように感じる。


 ヴィクターと静かに広間を出る。誰も気づかない。


 しきりに向けられるヴィクターの熱い眼差しに心が震える。


 クレアはヴィクターに手を引かれ、部屋に続く階段を上った。




 慌ただしく日々は過ぎた。


 ドネルの悪政の為、領民達の生活は苦しいものだった。多くの領地管理人は領民から過剰に税を徴収し、懐に入れていた。


 ヴィクターは亡くなった父親の臣下や使用人達を探し出し、腐敗した管理人達を入れ替えた。アレントンの体制は一新された。

 ヴィクターはひっきりなしに相談を持ち込まれ、現地に向かっている。


 城の使用人達は多くは変わらずそのまま残った。

 日中、クレアはヴィクターや古参の下働き達に教わりながら、城の管理や家事を学んだ。


 1日の終わりには必ずヴィクターの腕で眠った。

 クレアは今までの人生の中で、一番の幸せを感じていた。

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