表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
86/104

84話:記録審問・裁きの剣

記録の源泉“アルス・コーデックス”を前に立ちはだかったのは、

王国直属の禁書管理者──記録審問官【ヴェイグ・クラディウス】。


「王の御心は理であり、記録はその外殻。

 お前たちは、今まさに“理を超えよう”としている」


彼の右手には、幾重もの文字が刻まれた刃。

それは、あらゆる歴史と断罪を記した“審断剣ジャッジメント・スクリプト”。


風がざわめき、ハクが一歩踏み出す。


「それでも、俺たちは前に進む。未来を、選ぶために!」


言葉の終わりと同時に──


金属の音が響いた。


ハクの木刀と、ヴェイグの審断剣が正面で激突。


しかし、その衝撃は“剣と剣”の単なるぶつかり合いではない。


「……ぐっ!」


ハクが一歩押し戻される。


ヴェイグの剣は斬撃だけでなく、“記録そのもの”を対象に干渉する力を持っていた。


「その剣、風の記録。……ならば、まずそれを“抹消”しよう」


審断剣が煌めき、文字が宙を走った。


──《第零章・風の起点》、削除。


次の瞬間、ハクの動きが一瞬鈍る。


「なっ……身体が……動きにくい……!?」


ナギが叫ぶ。「ハク、気をつけて! あの剣……“歴史”を書き換える力がある!」


「記録に干渉するのか……!」


その一言に、ハクは理解する。


──この相手、“今の力”では届かない。


「でも……!」ハクは歯を食いしばった。


「削られても、塗りつぶされても……俺は、俺の風で抗う!」


木刀が震え、風が再び集う。


──“風牙・斬迅返”


風を逆巻かせる剣筋が、弾けるように襲いかかる。


だが、ヴェイグは一歩も動かず、刃を立てただけでそれを弾いた。


「否定された風では、この刃に届かぬ。今一度、己の存在を問え──!」


彼の次の一撃が空間を斬る。


──《第壱章・神則流継承者》、削除。


「ぐあっ……!」


ハクの身体が再び重くなり、風の流れが狂う。


それでも──


「まだ……だ!」


ハクは動きを止めない。風を感じ、仲間の声を想う。


ナギの知恵、ジノの絆、エリオットの導き。


そして──風霊樹から受け継いだ、まだ完全には馴染んでいない“風の記憶”。


──それが彼の足を、再び前に進ませた。


「……削っても、奪っても、風は生まれる。俺の中に!」


ハクの身体が風に包まれた。


木刀に宿る“風”が、反響するように震える。


「──“風閃・双牙還流”!!」


二重の風刃が重なるように描き出され、ヴェイグに迫る!


今度は、ヴェイグが片膝をついた──!


「なっ……この風は……“抹消されていない記録”……!? いや、“記録されていない風”か……!」


ハクの風は、“書かれていない未来の風”。


──だからこそ、“審断”できない。


刹那、審断剣が揺らぎ、ヴェイグが跳躍して間合いを取る。


「貴様……王の予測をも超える存在か」


ハクは肩で息をしながら言った。


「……俺は、風を継ぐ者。でも、王の記録になんて収まりたくない」


「……ふふ……ならば、見せてもらおうか。書かれざる記録の行く末を」


再び剣が交差する。


風と記録。


未来と過去。


選ばれし者と、選ばれなかった真実が、ぶつかり合う。


──戦いは、いまだ終わらず!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ