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59話:崩落の玉座、風を埋める瓦礫

風の記録を手に入れたハクたちは、玉座の間を目指して進んだ。

王宮西翼——そこは厳重に封じられた空間でありながら、

リオンが残したルートに従い、ついに王の間へと辿り着いた。


「……いる」ナギが呟いた。


玉座に座すその男——オルドレイン王は、沈黙のまま彼らを見下ろしていた。


「我らは、風の記録を携え、真実を伝えるためにここに来た」ハクが一歩進み出る。


王は目を細め、静かに立ち上がる。

「風か……皮肉だな。理を捨て、剣を持った者が、再びここに現れるとは」


「王よ、貴方に問う。なぜ理を捨て、民を欺いたのか?」ルミナの声が響く。


だが王は答えなかった。ただ、重々しい沈黙が玉座の間を支配した。


その時——


「待て!」ルミナの叫びと同時に、周囲に張られた結界が破られ、側近たちが一斉に現れた。


「王を危険に晒すな! 玉座ごと、全てを封じる!」


「やめろ!王を巻き込む気か!」リオンが後方から駆け込んでくる。


「リオン様、それが父上の命です」


呪符が放たれた。圧倒的な魔力が収束し、天井が激しく揺れる。

巨大な爆発魔法が玉座の間に叩き込まれた。


「くっ……!」


ハクは咄嗟にナギとルミナを庇いながら身を投げ出す。

瓦礫が降り注ぎ、激しい爆風が視界を奪う。


「下がれ、全員!」リオンの叫びも虚しく、天井が崩落した。


軋む石の悲鳴、響く崩壊音——


玉座の間は——完全に瓦礫に埋もれた。


「……ハク!!ナギ!ルミナ!!」


遠く、リオンの声が響く。


だが応答はなかった。


爆煙と灰が舞い上がる中、王城には誰の姿もなかった。


王も、風も、闇の中へと消えていった。


——そして、静寂だけが残った。



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