表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/104

58話:記録の間、封じられた風

王宮・北塔地下最奥。


そこにあったのは、古の記録が封じられた秘匿の部屋——“風の記録庫”と呼ばれる空間だった。


「ここが……?」


ハクたちは重厚な扉を押し開き、中へと足を踏み入れる。


魔力封印が施された部屋には、古文書と、一本の巻物が厳かに鎮座していた。


「この巻物、風の型……神則流の原典?」ナギが目を細める。


「触れるな、罠かもしれない」ルミナがすぐさま制止するが、その時だった。


「——よくぞ、ここまで辿り着いた」


不意に響く声。奥の影から現れたのは、王国魔導士団・秘匿の守人ヴェルザド


「その記録は、風の理を再び呼び覚ましかねぬ危険な存在……ここで忘れ去るがよい」


ハクが前に出る。「それが、王の意志か?」


「王の……いや、かつて“剣と理”に敗れた側の意志だ。だが、この王政を保つためには必要な犠牲」


ヴェルザドが詠唱する。


地が鳴り、炎と雷が空間を満たす。


「ナギ、ルミナ、下がってろ!」ハクが前に出る。


木刀が風を裂く。その一撃で、魔力障壁が揺らいだ。


「なぜ木刀で……?」ヴェルザドの目に驚愕が浮かぶ。


「理の剣は、形ではない。信じる風がそこにあれば、それで十分だ!」


ハクの風が、雷光を裂き、炎の奔流を押し返す。


決して勝てぬとされた木刀が、理なき力に抗ったその瞬間——記録の間は静寂に包まれた。


「……風は、まだ終わっていなかったか」


ヴェルザドは膝をつき、笑った。「ならば、託そう。……風を、吹かせてみよ」


巻物が、静かに風に舞った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ