56/104
54話:王都騒然、揺らぐ玉座
王宮・政庁楼、宰相府内——。
「セイマが……討たれた?」
重臣たちの間に、ざわめきが広がる。
中央に立つ老臣カストールは深いため息を吐いた。「……“雷の盾”の名は、もはや語られることもあるまい」
「次は誰だ、異端の風に与した者は粛清せねば」
「だが、セイマが遺した記録が都に届いたとの報がある」
会議室に緊張が走る。
「ハク……風の継承者だという少年か」
「その名を口にするな。やつは王都転覆を目論む反逆者」
一方で——王の間、玉座にて。
現王・オルドレイン四世は重く沈黙していた。彼の側近が囁く。「陛下、王国の“風”が変わります」
「変わるか……変えられるのか」
窓の外には、不穏な空が広がっていた。
王宮周辺では民の動きも騒がしくなっており、地下での騒動が噂として広まり始めていた。
「……“風”が民を動かす時代など、我が王政には不要」
オルドレインは立ち上がる。「命じよ。地下通路の封鎖、親衛隊の増派。そして——」
「神則流の殲滅だ」
重く鋭い命が下る。
風が、王都の中枢にまで届いていた。




