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51話:葬送の風、導きの鼓動

王都の夜明けは、冷たく静かだった。


セイマ・カザマの死は、まだ公式には発表されていない。

しかし、王城の内側ではすでに“風”が止んだと囁かれていた。


その風を、遠く離れた隠れ家で感じ取った者がいた。


ハク。


深夜、夢の中で何かが揺れた。

神木の記憶がざわめき、彼の心の奥に一つの囁きが届く。


“風は、理を託された”


目を覚ましたハクは、静かに木刀を握った。

その表面には、かすかな温もりが宿っていた。


ルミナがそっと寄り添う。「……何か、あったの?」


「わからない。でも……たしかに、風が流れを変えた」


ナギが地図を広げた。

「そろそろ、王都の混乱も表に現れる頃。リオン様が動くなら、今しかない」


ジノは剣を腰に収めたまま、窓の外を見つめていた。「王都へ、行くのか」


ハクは頷いた。「……風が止まったままじゃ、きっと皆、前に進めない」


その言葉に、全員が黙って頷いた。


準備は整った。


だがその道中で、ハクは再び“風の試練”に直面することになる。


王都近郊の峠で現れたのは、黒装束の剣士。


「名を名乗れ」


「……ハクだ」


「通すわけにはいかぬ。理を捨てた者の遺志を、貴様ごときに継がせるわけには」


戦いが始まる。


その剣士は、かつてセイマの右腕として仕えていた者だった。

セイマが剣を捨てたあと、なおも剣の正義を信じる忠臣——リュード・グレン。


リュードの剣は風を断ち切るかのような重さと鋭さを兼ね備え、ハクは圧倒される。


だが、木刀に宿る“記憶”が、動きを導く。


「セイマ様が……剣を捨てた意味、それを今ここで証明してみせろッ!」


渾身の斬撃。


それを、ハクは木刀一本で受け止めた。


「剣を捨てた人の遺志を……俺が継ぐ。俺の“風”で!」


木刀がうなりを上げ、風を裂いた。


リュードは剣を地面に突き刺し、深く頭を垂れる。


「……認めよう。セイマ様の意志は、お前の中に生きている」


風が、再び流れ出した。


その風を受けて、ハクたちは再び王都への道を歩き出す——導かれるように。


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