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44話:記録庫に眠る風の理

石壁の奥に現れたのは、静謐な空間だった。広大なホールの中心には巨大な水晶球が浮かび、その周囲を囲むように浮遊する無数の石板が、ゆるやかに回っていた。


「これは……“記録”?」ナギが思わず声を漏らす。


ルミナは頷く。「風の記録庫。かつて、神則流が王権に与した際に交わされた誓約と、その後に封じられた技と歴史……全てがここに眠っている」


ジノが石板の一つを手に取る。「字、古すぎて読めねぇな……でもこれ、ムサシの……?」


ハクは水晶に手をかざした。瞬間、風が渦巻くように舞い、彼の記憶と繋がっていく。


――古き戦乱の世、ムサシ・カザマが最後の剣を振るった映像が流れる。


神木の木刀、風を切り裂く一撃、そして剣を収めた後の静寂。


その背後には、若き日のセイマ、そして剣を捨てる直前のムサシが映っていた。


「……これが、最後の“神則”」ハクは呟く。


その瞬間、水晶の奥から、声が響いた。


《風を継ぐ者よ、問いに答えよ》


「問い……?」ハクが目を凝らす。


《剣を捨てるとは、何を意味するか》


ナギとジノが驚く中、ハクは静かに答えた。


「“通す”ためだ。力ではなく、意志を」


静寂の中、水晶球がひときわ明るく輝く。


《正解》


次の瞬間、浮かぶ石板の一つがハクの元へと舞い降り、風の記憶がその身へと流れ込む。


「これが……“風の理”……」


風は再び動き出す。


だが、その輝きの奥から、もうひとつの影が現れようとしていた。


物語は、さらなる真実と試練へと向かっていく――



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