42話:影の回廊、風なき道へ
ルミナの地図に記された通路は、王都西部の市場裏、廃屋の地下に繋がる隠し階段だった。
「ここから先は“影の回廊”。議事堂の地下と繋がっている……でも、戻れる保証はない」
ルミナは言い、古びた鍵を差し出す。
ハクは静かにそれを受け取る。「風はいつも一方通行だ」
ジノが冗談まじりに肩をすくめた。「あーあ、またこういうのか。せめてお宝くらい見つかればな……」
地下の空気は重く湿っていた。
回廊は狭く、石壁の隙間から古代の魔術結晶の残滓が微かに光を放っていた。
「……この道、誰かに封印された跡がある。魔術的にだいぶ古い」ナギが慎重に進む。
だが、道中には罠や古い魔物の影も潜んでいた。
巨大な蜘蛛の巣が張られた区画では、ジノの機転で爆裂符を投げ込み、辛くも突破。
さらに奥には、剣士の亡霊のような魔影が現れた。
「ここで死んだ者の“怨念”か……」ハクは木刀を構えた。
斬撃は実体を持たない魔影をも切り裂き、“風の一撃”がその場を浄化するように通り抜けた。
「……やっぱり、風は届く」
ナギがふと足を止める。「見て、これ……“印章の封”。議事堂のものに間違いない」
そこは回廊の終端、巨大な扉だった。印章は半ば剥がれ、何者かが既に侵入した痕跡もあった。
「中には……何がある?」
ルミナは震える声で答えた。「“真実”……そして、“その先にある風の敵”が」
ハクは扉に手を添えた。
「行こう。止まった風を、動かすために」
扉が、ゆっくりと開かれた――




