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第37話:風宿る剣、一閃の終着点

風の渦中で、ハクはすべての思考を手放していた。


――動くな。風に通せ。


木刀が、意識に呼応して震えた。風霊樹の記憶が流れ込む。


(これは……ムサシの“最終の風”)


ハクは構える。

今度は“読まれぬ一撃”ではない。

“読まれても、届く風”だった。


木刀が風をまとい、透明な流線を描く。

風圧ではない。圧も、殺気もない。


ただ、“通る”。


ミカドの剣が迎撃に転じる。だがその瞬間、彼は錯覚する。


――風が、どこにあるか、わからない。


「なっ……風が……」


その隙に、ハクの木刀が突き出される。


風とともにすり抜けた一撃。

ミカドの胴を軽く打ち抜いた。


鈍い音。


彼の剣が、地面に落ちる。


静寂の中、ハクが木刀を収めた。


「通したよ。俺の風を」


ミカドはゆっくりと膝をつく。


「……完敗、です」


息を整えながら、彼は苦笑した。


「これは……報告に値する“脅威”ですね」


ハクは一歩だけ踏み出す。


「剣を捨てることは、戦いをやめることじゃない。

 意味を……通すことなんだ」


ミカドはうなずき、そして、意識を失った。


ナギとジノが駆け寄ってくる。


「勝ったのか!?」「ハク、大丈夫!?」


ハクはうなずき、遠くを見た。


風が通った。


その風は、王都へ――そして、セイマのもとへと届いていた。



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