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34話:王都の影、静かなる刃の出立
王都・執政院、深更の執務室にて。
セイマ・カザマは静かに命令書を読み上げていた。
『処刑対象ゼロ(通称ハク)に対する第二段階排除計画を開始せよ』
「……時間がない、か」
セイマはため息をひとつ吐くと、椅子を回転させ、背後の扉を開かせた。
そこに控えていたのは、一人の青年剣士。
漆黒の衣に銀縁のマント。髪は長く縛られ、腰に帯刀する剣は無銘ながらも異様な“気”を放っていた。
「ミカド・シュレイン。君に任せたい任務がある」
青年は深々と頭を下げる。
「命のままに、執政官殿」
セイマは言った。
「対象は“風の剣士”。通称ハク。……詳細は追って連絡するが、ただの反逆者ではない」
「討つべきですか?」
「否。彼の真価を計れ。全力で戦い、敗北しろ」
「……了解」
「もし君のような剣士にすら届かない者であれば……その程度だ。
王都の未来を変える力など持ち得ない。それだけのことだ」
セイマはわずかに目を伏せる。
「これは忠誠を示すための演出であり、王都にとって“脅威か否か”を見極める布石だ。
……そして、個人的には“希望”であってほしいと願う試練でもある」
ミカドは何も言わず、一礼すると、夜の王都へと溶けていった。
セイマの手には、封をされた手紙があった。
『リクへ』とだけ書かれたそれを、彼は机の中へそっと仕舞った。




