26話:王都布告、刃なき剣の処刑
王都、評議院・白金議事堂。
その中心、玉座のごとく高い席から声が響いた。
「風の剣士“ゼロ”――
あらゆる魔術、理術、剣術の規律を乱す“理の異端”。
よって、本日付けで“処刑対象”とする」
議場が静まり返る中、
王国評議会元首、ヴェルク・ルガーニがその決定を読み上げていた。
その宣言はすぐさま王国全域に広まり、
“風の剣士”という通称とともに、“ハク”という存在が明文化される。
罪状:
- 禁域“虚ノ森”の通過
- 魔導封印の解除
- 王国機構兵の破壊
- 神木由来の武器による魔導剣士の無力化
- 理の支配に対する脅威的存在認定
処刑執行指定者:
> 《王国三騎将》のひとり、黒獅子のカイロス
その名を聞いて、セイマの指が止まった。
「……カイロスを動かすのか。
あの男は、“命令”じゃなく、“狩り”をする男だぞ……!」
ハクの父、セイマ・カザマは、
王都の中枢にいながら、一度も“剣”を抜かない選択をしてきた男だった。
だが今――その静かな表情の奥で、
父としての怒りが、わずかに滲んでいた。
「……止めなければならない。
このままでは、“世界”が“風”を殺す」
一方その頃――カザンの砦・西門前
ハクたちは、王都の布告を聞いた。
ナギの声が、震えていた。
「……ごめん、遅れた。
これ、もう国を挙げて“ハクを殺す”って決定よ……!」
ジノが拳を握る。
「ふざけんなよ……あいつ、なにも悪いことしてないだろ……!」
ハクは、しばらく無言だった。
そして、口を開く。
「……なるほど。“意味”ってのは、上の奴らが決めるのか」
ゆっくりと木刀を背負い直す。
「じゃあ――斬るしかねぇな。“意味そのもの”をよ」
風が、吹いた。




