22話:王都揺れる。動き出す白き刃
風裂の宿場町――ゼロ(ハク)とグレン・ヴァイスの一戦から三日後。
その出来事はすでに、旅人と傭兵たちの間で“噂”として語られ始めていた。
「木刀一本で、赤刃のヴァイスを倒した少年がいる」
「いやいや、あれは風が斬ったんだ。“風の剣士”って呼ばれてるらしいぜ」
その噂は、やがて王都にも届いた。
――評議会地下、“魔導院・封印監察室”。
書面を読み上げる女性術士の声が響く。
「対象:不明。名前:通称“ゼロ”。
武器:木刀。
戦闘記録:虚ノ森の理外空間を突破、魔導兵を撃破、そして……赤刃流のヴァイスを制圧」
高官のひとりが顔をしかめる。
「木刀で? そんな戯言に人手を割けるか」
だが、封印監察室長――ロゼル・ディ=ファルマは言った。
「この情報が真実なら、“神樹の木刀”が動いている可能性がある。
我々は、放置できん。“白装の尾”を動かす」
その言葉と共に、
白き魔導甲冑に身を包んだ一団が、地下から姿を現す。
彼らは、王都の“影”――
王命直属・追跡実行部隊《白装の尾》。
その隊長が、静かに目を開けた。
「“風の剣士”。……零、か。
今度は、私が会いに行こう」
その頃、ゼロたちは――
一行は、“神木にまつわる記録”が残っているとされる
**辺境遺跡都市《カザンの砦》**へと向かっていた。
ナギが地図を確認しながら言う。
「カザンの砦には、かつて“神木を削り、剣を生んだ”という文書があるらしい。
もしかしたら、あなたの木刀の出自に近づけるかも」
ハクは、ふと空を見上げた。
「……なんか、風の向きが変わった気がする」
その風は――“追跡の風”だった。




