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17話:断たれる忠誠、燃える決意

 火薬の匂いがまだ街に残っていた。

 破壊された広場に、ナギ、ジノ、ハク、そしてライナが立ち尽くしていた。


 


 王都魔導院直属部隊《黒槍》の撃退は、

 この地にとっても“歴史的な出来事”だった。


 だが――その戦いを経て、空気は“戦争”のそれへと変わっていた。


 


 「……これが、“木刀の剣士”の力……」


 ライナは、戦場跡を見つめていた。

 彼女の声には、恐れと、畏れと、……そして“憧れ”が混じっていた。


 


 「これが……私たちが、王都でずっと求めてきた、“未踏の領域”」


 


 ナギが一歩、近づく。


「ライナ。あなた、まだ“王都”に戻る気?」


 


 ライナは口を閉じた。

 その眼差しに揺らぎが見えた。


 


 「私はずっと、“理”を信じてきた。

 理に従えば、魔術も、国家も、人間も、正しく進めると……」


 


 けれど今、彼女はそれを言えなかった。


 木刀の一閃が、彼女の知識と信仰を砕いたのだ。


 


 「ナギ、私……まだ怖いよ。

 “理を拒む者”を、支えてもいいのか……私に、わからない」


 


 ナギが、静かに微笑む。


「じゃあ、決めればいい。“支える”って意味を、

 ……“剣の後ろに立つ”って、そういうことだって思えば」


 


 ライナの肩が震えた。


 「……それって、まるで――」


「そう。背中に立つ魔導師。あんたはずっと、それが得意だったでしょ」


 


 ライナの瞳が揺れ、そして――

 涙ではなく、光で潤んだ。


 


 「……分かった。

 私は、王都に背を向ける。

 もう一度、“風の先”を、見に行きたい」


 


 彼女が左手の魔導印を破り捨てる。

 王都魔導院との契約の象徴、術士紋章の破棄だった。


 


 ハクが、短く言う。


「ようこそ。風の外側へ」


 


場面転換:王都・魔導院地底 第三記録室

 


 封印区域最深部、空間が歪み始めていた。


 黒衣の研究者が報告を呟く。


「“神樹反応”……高まっています。

 理の境界が……“崩れ”かけています、元首殿」


 


 ヴェルク・ルガーニは満足げに微笑んだ。


「神の眠る棺が開く……次に現れるのは、“剣を持つ神喰”だ」


 



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