15話:再会と封印の記録
錆びた鉄塔の裏手、誰も寄りつかない古い倉庫。
そこに、ハクたちはライナに案内された。
内部は、予想に反して整然としていた。
魔導式ランタンが等間隔に並び、中央には一枚の古びた石板が置かれていた。
「ナギ、覚えてる? あなたが“持ち出そうとした”データはこれよ」
ライナが指差したのは、封印記録の原典。
禁術・理外現象・古代存在に関する、王都でも数少ない“生きた文献”。
ナギは目を見開いた。
「なんでこれが、こんなところに……? 王都から運び出すなんて……」
ライナが静かに答える。
「王都の一部は、“理を超える力”を解放しようとしてる。
そして……君はそれを止めようとした。だから追われてる」
ジノ「お、おいおい、それってもう国家レベルの裏切りじゃん……!」
ライナは続ける。
「……そして、君たちの中に“理を超えた力”を既に扱っている者がいる」
彼女の視線が、ハクに向いた。
「あなた――その木刀、どこで手に入れたの?」
ハクは答えない。
けれど、彼の背にある木刀が、石板に向かって――微かに共鳴していた。
石板に記された文字が、淡く光を帯びる。
『その者、剣を持たず。
されど理を断ち、道を開く。
“零”の名にて、世界を繋がん。』
ライナが呟く。
「……“ゼロの剣士”……まさか、実在するとは思わなかった」
ナギが鋭く詰め寄る。
「じゃあ、あの兵器実験は……“ハクを試す”ための……?」
ライナの顔から、初めて表情が消えた。
「そう。命令だった。
“理外の剣士”の存在を確かめろと。
……でも、見てしまったの。あなたたちの“本気”を」
ハクが一歩前に出た。
「じゃあ聞く。“その力”をどうするつもりだ?
また兵器にするのか? “理を超えた力”を?」
ライナは答えない。
その時、倉庫の外から激しい衝撃音が響いた。
「来たか……王都本隊だッ!!」
白装の尾の副官が駆け込んでくる。
「隊長、囲まれました! 魔導院直属の“黒槍部隊”が南門から突入!」
ライナが眉をひそめる。
「“黒槍”まで来たの!? これはもう、“彼”も動いてる……!」
ナギが振り返る。
「“彼”って……まさか、王都評議の――」
風が、また吹いた。
ただの木刀を背負った少年が、一歩前に出る。
「行こう。俺たちの答えは、まだ“これから”なんだろ?」
ナギとジノがうなずく。
そして、ライナが苦笑して言った。
「やれやれ……君たち、本当に“風の外”から来たみたいね」




