憧れのアリス
読んでいただきありがとうございます。
憧れのあリス……あーあアリスは良いな。金髪に色白の肌、整った顔立ちに青い瞳まさに理想の女の子。そう思うとアリスの絵本を持つ左手が妙に熱く感じられる。だけど持っているはずの絵本をどれだけ強く握ろうとしてもなぜか左手は絵本をすりぬけるだけ。やだな。やっとこれだけ持ちだしたのに
てか全身!!それはきっと家が焼けてしまったせいね。
私はアリスに憧れていた。憧れて、憧れ続けて色んなアリスグッズを買って、しまいにはアリスなろうと、髪を染め、カラコンを入れ、ロリィタ服を着た。少しでもアリスに近づきたくて頑張った。だけど、もうダメだ。陽に焼けないようにあれほど気をつけていた肌も焼け焦げ腕も上手くあがらない。痛い、痒い、全身を掻きむしりたくなる。何かできつく押さえて無いと、皮ごと捲りとってしまいたくなるほど痛痒い。私はもう……アリスになれない
何か眠…気が付くとそこは見知らぬ町ここはどこかしら?あらっ左手に持っていた絵本が無いじゃない!一体何処に?そういえば服が変わってるわ。まるでアリスみたい素敵すてき・・・
はっ、じゃぁ白兎さんがこの前を通りすぎるってことじゃないの。
いけない!急いでメイクしなくちゃ、えっとちょっと黒くなりすぎちゃったお肌はファンデで隠してっと、さぁこないかなっと・・・あっきた。
「急がなちゃ。急がなちゃ。」
うーん。ほんと雰囲気出てるわ。
よーしこうなったらあの兎をとっ捕まえて私がアリスになってやる!
けどどうやって捕まえよう?困ったわ。虫取り網はここにはないし・・・かと言ってか弱い乙女が素手ですばしっこい兎を捕まえるのは無理があるし、有るのは狩猟用の銃だけだし・・・ん?狩猟用の銃!?何でこんなものがこんな所にまあこれで脅せばいいか。それに動かなくたってそこに白兎がいればいいのよ
よしこれで私がアリスよ!
白兎を追いかけて私が不思議の国に行くのよ。
「いそがなちゃ。いそがなちゃ」
「待て!白兎」
白兎を私はどこまでもどこまでも追いかけた。
「ま・・・てぇーー」
息の上がった私は、白兎に追い付けなかった。ので、たまたまあったバケツ型の水を投げつけることにした。バケツの中には、金魚が泳いでるし、やっぱり水?
「水なのになぜか持てる!ふっしぎーもう気が付いてよね!白兎さん。」
私は勢いよくバケツ型の水を白兎に投げつける。
バケツ型の水は白兎にぶつかって、白兎が水浸しになった。
「あっちゃーごめん。そんなつもりは……え!?」
なんと白兎は色が溶けて?茶色まだらの兎になってしまった。
すっかりペンキが流れ落ちた偽白兎は大慌てで一つの家に飛び込んだ。
その家を見上げる私。
ん~大して大きもなく小さくもないいわゆる平凡な家って感じ。
別に後で燃やすからどーでもいいけど中に刃物とかマッチとかあるかしら。
「そう。それがあなたの家なの?もしかしたらそこに本物のアリスを隠しているのかしらそれじゃあ私が直し!」
私は、ゆっくりとドアノブに手をかけ、勢い良くドアを開けた。
「さあ探しましょう。ねえ青い目をした子猫ちゃん一体何処に隠れているの?まさか直ぐに見つかるなんて事つまらない事・・・」
ドアの先にはピカピカに磨かれた廊下と、汗を流しながら必死に床を拭いている茶色いウサギにそれをじっと見下ろす綺麗にブラッシングされた白い毛並みの上品そうな兎がいた。その綺麗な毛並みに一瞬目を奪われる。本当に綺麗。きっとあんなのを美兎っていうのね。
はっこんな事やっている場合じゃない。え~と二匹の関係はどうみても召使と主人って感じ・・・ってこれシンデレラじゃない!これはアリスなのよ!アリス!シンデレラじゃないわ。
二匹は作業に没頭しているのか、私が入ってきたことにも気づいていない。
どうしよう。どっちに話かけよう?
貴婦人の方よねやっぱり。
茶色い方は熱心に磨いてるし、邪魔しちゃ悪いか
私が少し考えていると廊下の掃除が終わったのか茶色い兎が立ちあがった。
「ふうこれでやっと終わりだ。すみません。ミルキーさん。出かけにお掃除なんて始めてしまったせいで随分待たせてしまって、けどそこでずっと待っていてくださらなくて良かったのに。」
「・・・・・・・」
「そうですか。別に早く一緒に出かけたくて待っていたわけじゃないだからね。ですか」
私は心のなかで(ツンデレかい。ってか無口のツンデレって意味ないような。)っとツッコンだ。
「・・・・・!・・・・!!」
「そうですね。今日はお買い物に行けそうもないですね。けど、良かった。あの子はお客さんがきても出てくれそうに有りませんから。」
「!・・・・!!!!!」
「突然あの子が帰ってきてくれたことには驚きましたけど、」
「・・・!・・・・?」
「しかし、あの子とその後にきたお客さんはどんな関係なんでしょう?」
(気づいてたんかい。)
「!・・・・・・・・・」
「きっとまたあの子が人様にご迷惑をおかけしたのでしょう。はあ」
「すみません。ミルキーさん。」
「!・・・・・!!!」
「今日は、一緒にお買い物に行けそうもありません。あの子に変わってこちらのお嬢さんに誠心誠意お詫びしなければ」
「・・・・・・!!えっあんな小娘ほっとけば良いって。」
「!」
「茶色兎の私なんかと一緒になったばっかりに、
「!!!(怒)」
「えっ、そんなこと気にしてないって」
「・・・・・・・!」
「ありがとう。だけど、やっぱりあの子に申し訳ない気がするのです。白と茶色の両親から生まれたがゆえにあの子は『白い体』に執着している。それも母親と同じ雪のように真っ白な綺麗な毛色にね。知っていますか?あの子は自分の茶色斑のまじる体に真っ白なペンキを塗り、自分に半分交じる茶色兎の血を否定しながら、アリスに出てくる白兎の真似事をしているのです。」
「!!!!!!!」
「あの~。」
「そう。あなたの先祖の、です。」
「もう良いですか?」
「まるで、自分は正当な白兎の後継者だと言わんばかりに」
「そしてあのお嬢さんは騙されちゃた被害者と言うことで、」
「・・・・・っぷ。」
「ちょっとそこ何で笑うのよ!!しかも無視しないでよ。気づいてるんなら」
「そうでしたね。お嬢さん本当に申し訳ない。」
「親に謝られてもしょうがないわ。まずは本人出しなさいよ。本人!ついでに匿っているアリスもね。」
「アリス?アリスはここにはいませんよ。というかアリスはここ数年この世界には来ておりません。」
「嘘!白兎といったらアリスだわ。あいつがあの格好していたんだから、絶対にアリスはいるはずよ。」
「コスプレですよ。」
「そんなわけ有るはずないでしょ!!さあとっとと出して偽白兎を」
「そしてわたしを本物の白兎の所に案内して頂戴。これで私が本物のアリスよ」
「それは出来ません。」
「何故?」
「あなたの探す白兎はもういないです。」
「そんなことないわ。白兎何てそこら辺に。そうあなたもあの子を庇うんだ。まあ隠れんぼしてても後でゆっくり見つけてあげる。そしたら飴玉をあげましょう。アリスあなたはどんな色が好き?まあ今は赤しかないけど、あなたを見つけたら青色も増えるわ」
「だからアリスはいませんって、純粋なのはですけど。詳しくは童話に出てきた白兎の子孫はなのですけど・・・。」
「フ~ン。でどこなのよ!偽白兎は。」
「私の妻は最後の白兎でした。そして息子は母から受け継いだ高貴なる血を誇り、それと同時に自分の中に流れる荒地に住む野蛮な民の血を否定している。だから私が悪いのです。」
「それってかなり悲しくない?親なんてさ誰にも選べないのに、」
「またそんな話をするんですか?父さん。」
その声と共に偽白兎が現れた。偽白兎は、テーブルから耳だけ出している。
こう見ると可愛いわね。
「やっと現れたわね。偽白兎さん!」
「貴方もしつこいですね。」
「さっき貴方のお父さんが聞いたわよ。あんた純粋な白兎じゃないのね?」
「はいはい。そうですよ。あなたもまた僕たちを笑いに来たんですね?」
「笑いってそんなつもりじゃ……」
するとドアが少し開き銀色のカプセルが投げ込まれ、そこから大量の煙が吹き出し瞬く間に部屋の中が煙だらけになっていった。
そしてその煙がはれた時、偽白兎の美しい母親はいなかった。
「大変!無口ツンデレ子がいないわ。無口なのにツンデレって意味ないのにね。どうしよう。誘拐!誘拐なの。で警察。警察に行かないと。」
「いいですよ。優しいお嬢さん。またどこかの殿方がミルキーさんを見初めたのでしょう。
その方の所に行って、同じような環境で幸せに暮らしてもらった方が・・・。」
(いやいやいや。そんな事言ってる場合じゃないから。
身代金とか必要かしら。)
「ちょっちょっとあんたのお母さん。攫われちゃたわよ。」
そんな私の慌てた様子を知り目に偽白兎は慣れた様子で部屋の中を片づけ始めた。
「ちょっと、そんなことしてる場合じゃないって、あんたのお母さんさ・ら・わ・れ・た・のよ!早く助けに行かないと・・・。」
「いいんですよ。助けにいかなくて、母さんが攫われるの何て日常茶飯事です。我が家ではもう生活の一部と化してるので気にしないで下さい。」
「気にするなって言われても。変よとっても。」
「どうせ贅沢三昧の日々を過ごして、相手の家を食いつぶして帰ってくるんですから・・・。それに本人も喜んでいるんじゃないですか?久しぶりに贅沢な生活が出来るんです。ほんのちょっと間ですけど、」
「それで良いの?」
「良いんです、むしろ相手の方に申し訳ないくらいです。逆に訴えられるんじゃないかともう冷や汗出まくりですよ。全くあんなおばさんの何処が良いんだか。」
それでも偽白兎が箒を動かす手を休める事は無い。
「それでもおかしいわ。攫われすぎでしょ。あんたの母さん。」
「さぁどうしてでしょう?」
「冷めてるわね。あんた」
「そうですか?」
「だけどあんた男で良かったわね。女だったらきっとひねくれてたでしょうね。あんなもてもてで綺麗なお母さんがいたんじゃ。」
その時私は何気なくいった一言が偽白兎の心を傷つけている事を気が付いていなかった。
「そうですね。僕のは母さん見たいな綺麗な真っ白な色じゃないから、昔からなんで僕の毛色はこんなにも汚いだろうってずっと思っていました。どうせなら父さんみたいな茶色い毛色だったら良かったのに、それならまだ諦めが付いたのに、中途半端に白くて茶色の斑があるから僕は願ってしまうんです。もしかしたらこの汚い斑模様を覆い隠せば、母さんみたいな道ゆく兎達が振り返る綺麗な兎になれるじゃないかってね。そうすれば僕は正真正銘の『白兎』になることが出来る。あのアリスを不思議の世界に導いた伝説の『白兎』にね。そうすれば、もう父さんが他の兎達に責められなくて済むから、貴族の一人娘を〇〇した野蛮な民と陰口を叩かれる事も日々の生活に困る事も無いから。」
そんな偽白兎の呟きを聞いた私は閃いた。
「そうだ。それならもう一層の事全身真っ茶色にしちゃえば。それかいっそうの事私みたいに真っ黒に」
そういった私の手にはこの家で見つけたマッチが握られている。
「えっ!?あんた僕の話ちゃんと聞いて……ってそのマッチで何をするおつもりで」
「聞いてたわよ。つまりあんたは無いものねだりしているわけね。それにあんた自分でもちゃんと言っていたじゃない。『どうせなら父さん見たいな茶色だったら良かったのに』って。マッチはその燃やしちゃおうかとその毛皮の色が嫌なんでしょう?それなら真っ黒にしちゃえば全て隠せるじゃない。」
「それは……違います!燃えたら普通死にます。死ななくてもやけどで重症です。」
「どう違うって言うのよ。ちゃんと言っていたでしょう?私はちゃんと生きているわよ!!もし駄目でも美味しく供養するわよ。良いじゃない別に。黒兎になるくらい。気にすること無いじゃない」
「言っている意味が全然違います。あっちは、毛皮。こっちは、燃えた後!!だから僕は真っ白な白兎になりたいです。」
「そう?あんまり変わらないじゃ」
「そうそれがミルキーさんの・・・・・・」
「っていうかあんたのお父さんほっといて良いの?何かあっちの方にいってるけど」
「良いですよ。母が攫われるといつもこうなんです。数日したら元に戻るので気にしないで下さい。」
「本当に良いの?」
「本当に良いんです。」
「本当にいいの?」。」
「いいの!」
「本当に?」
「良いの!!」
「そう。じゃあ耳とか触っても大丈夫かな」
「さあそんな事よりさあ行きますよ」
「どこへ?もしかしたらアリスに……」
「だって人間の女の子が現れたら『アリス』としてお城に連れて行かないといけないから。」
「あんた今アリスって言った!?」
その言葉を聞いた瞬間、私は歓喜した。ずっと憧れていたアリス例え本当のアリスを殺してでも奪いとってでもなりたかったアリスに私は今……
「だけど気をつけてくださいね。お城に『アリス』として行った娘は皆帰っては来ないのです。だって女王様の……になってしまうから。」
その時の私は嬉しすぎて偽白兎の忠告が耳に入っていなかった。
「分かっているわよ。はぁやっとアリスになれるのね」
中世の街並みが通り過ぎていく。少女は一人城への道を急ぐ。胸に希望を抱きながら、その先に待っている絶望を知らぬまま。二度と通れぬ死への道を全力疾走で走りぬけていく。
通された部屋で
「アリス~」
向こうからどたどたと丸い球体が転がってくる。
「ボールのくせに遅いわね」
贅肉を無理やり押し込んだ赤いドレスのおばあさんが小走りにこちらにかけてくる。
(ソーセージだわ。ありゃドレスも可哀想ね。)
おばさんが走る度に突き出たお腹が上下に揺れ、見事にハムそのものに見えた。
「厚化粧ね。若作りなんてしたって意味ないのに」
それはあまり言わない方がと言う偽白兎に食って掛かる。
「何故別に若作りなんてしなくても充分なのに。その年代にはその年代にしかない美しさがあるって母さんが言ってたわ。まあ当の本人は毎晩パックをかかさないけどね。しみ、皺その他諸々を隠そうと必死になってるし。言ってる事とやってる事が違うけど」
「はぁはぁアリスすっかり大きくおまけに黒くなちゃって。」
「ねえおばさん。本物は何処?」
「知らないわ。」
「嘘っここに居るって聞いたわ?」
‘アリスはどこ?‘
あたしが求める答えはそのひとりだけ。
「ん-知ってるけど……知らない。それよりねぇアリス久しぶりに美容ジュースをを飲まないい?」
「なっそれ一体どういうこと……」
城中の明かりが消えた。突然現れた暗闇に何も出来ず立ち尽くしていると不意に腕を強い力で引っ張られ、どこかの空き部屋に押し込められる。扉の閉まる音と共に振り返った。
「いった~何のつもりよ!あんた。言っとくけどあたしは高いわよ!あんたの安月給なんかより……」
「*£###◎§?ぷっけらっけらけら」
「え~通訳しますと、あんたばっかじゃない?さっき私達が助けに入らなかったらきっと今頃あの馬鹿な厚化粧の女王陛下の翌朝の美容ジュースの材料にされてたわよ。だっそうです。」
「えっ今の声って……」
「£#+*§*≡ξБ」
「おまけに今の今まで気付かなかったのってあんたが初めてだわ。全く今回のはアリスオタクって聞いてたけど、どんだけなりきってるのよ!いい加減に目を覚ましなさい」
「やっぱり」
電気が付くとあたしの目に飛び込んできたのは、真っ白な純白の毛、偽白兎の母本物の白兎後、偽白兎だった。
「何で結構酷いことしたのに」
「####*@」
「かっ勘違いしないで、別にあんたの為にやったわけじゃ……私もねあの馬鹿にはいい加減目を覚まして欲しいのよ。過去には戻れないけど未来なら行けるわ」
「まま~ん」
「あっ飛び込むのは止めて下さいね。」
感動のあまり偽白うさ母の胸に飛び込もうとした瞬間不意に視界に現れた偽白兎に止められた。が、時既に遅し、自分で自分を止められず、その勢いのまま突然現れた偽白兎の胸に飛び込んだ。かに見えた。だが実際は違った。今私は偽白兎母のふくよかな胸の中にいる。っと言うか抱き締められてる?うぅ~女の私が言うのもなんだけど、なんと豊満なバストで。息が出来なくなりそう。いつか私もこんな素敵なおばさんになれるかしら?けどなんかお母さんの胸の中にいるみたいで暖かいなぽかぽかしてどこか違うところに行けそう……。
「ってこんな事してる場合じゃないわよ!偽白!偽白は?」
偽白兎母は何も言わず、部屋の一角を指差した。っとそこにはぐるぐるとのびる偽白兎の姿が合った。
「*****!!プンっ」
「何て?」
「えっと私とこの子の感動の再会を邪魔したから罰が当たったのよ!だそうです」
「ねぇ。あんたの母親ってもしかして……」
「はい。大の女好き。しかも女の子に目がなく、男には全くと言って興味がないゆえに容赦もない。おまけに絶世の美少女との抱擁を男に邪魔されたとあっては息子と言えど黙ってはいられなかったようです。」
「じゃああんた邪魔しちゃ駄目じゃない。」
「突っ込まないんですね。『絶世の美少女』って所」
「何故?私が可愛いって事は世界中誰もが知ってる事じゃない!」
「はぁ僕もこんな自信家になりたい。」
「もうあんたにはあんたの良さがあるわよ。」
「分かっています。けどけど……」
「それよりなんで早く助けに来てくれなかったのよ!」
「それは母を回収ついでに、ごにょごにょ、」
「あの時あんたが説明してくれていればこんなことにならなかったんだから。」
「うーそれは・・・女王様の命令なんです!僕たちは誰も逆らえない!だからしょうがなかったんです。」
涙目の偽白兎は母を指さす。その指さす方に従って母を見ると、さっきまで気付かなかった高価そうな貴金属の数々が目に飛び込んできた。その余りにも豪華な宝石の輝きに唖然としていると偽白兎の悲痛な叫びが聞こえてきた。
「これらに傷を付けたく無かったんです。少しでも高く売れるように!!」
「え~とあれは……」
「はい。母に貢いで下さった方からの贈り物の数々です。家の収入源の一つです。」
「確か前にも言いましたよね?相手方の家を食い潰して来ると」
「それって」
「はい。男に興味がないが故に良心も痛まない。おまけにその美貌とあっては、まさに……」
「入れ食い状態?もしくは宝の持ち腐れ?」
偽白兎はコクリッと頷く。
「大変だわね。あんたん家も」
ん?けどまてよ。女好きの母から子は生まれる?ん~~
「けどあんたちゃんとにここに居るわよね?あの兎の子よね?」
「そんな母が唯一興味を持った男が父でした。」
「母の性癖に困り果てていた祖父はこれ幸いとばかりに父に母を押し付けたんです。」
「それはまた」
「それに、母は女の子が欲しかったんです。ピンクのひらひらのレースの付いた服とか。そう言うのを着せたかったみたいですよ。我が子が女なら愛する事が出来るから。けど生まれたのは僕でした。たまに思うんです。僕なんて……」
「シャラープ!良い!またあんたは無い物ねだりしてるわね。良い?無いものは無いのよ!他人のを見て凹んだりより多くを求めようとしないで、少なくたって、なりたい自分じゃなくたって良いじゃない。一個一個を丁寧に磨いていけばいつかきっと沢山持ってる人より何十倍も綺麗に光輝くようになるから。」
「あの~途中から話変わってません?だけどありがとうございます。僕、これからありのままの自分で頑張ってみようと思います。」
「まぁいいから。うん。頑張って。」
「あの~この場合抱きついた方が良いのですか?」
「ぷっぷっぷ」
「どちらでも良いわ。さあ逃げるわよ。」
こうしてあたしたちは、城から脱出するために行動を開始した。
といってもほとんどあたしと偽白兎母の無双状態だった。
色仕掛けが効く相手には、偽白兎母の色仕掛けが、効かない相手にはあたしがこれまたなぜか手に持っていた武器で無双していく。正直助けてもらわなくても良かったかもしれない。偽白兎は足手まといだった。そして出口近くまでたどり着りつく。やっぱり赤いドレスの女王が待ち構えていた。
「アリス。お願いよ。私と栄養ジュースを飲みましょう!」
「いやよ!あたし何が入っているか知っているんだから!」
立ち止まることなくあたしは赤いドレスの女王のお腹に飛び蹴りした。靴に肉が食い込む感触に思わず顔をゆがませる。なるほど気持ち悪い。
「ぐえ。」
「ぷっぷ」
「女王様に飛び蹴り!死刑だ!僕たち死刑になる!すみません。すみません。これお詫びのアクセサリーです。」
涙目になりながら偽白兎が投げたアクセサリーが兵士たちにあたって倒れていく。
(うん。見事なコントロールだ。)
「さあ逃げるわよ!」
あたしたちは必死に走って城から脱出した。
「はぁはぁはぁここまで来れば大丈夫です。」
「そっそう?」
「〆〆〆」
「なんて?」
「全力で走ったのは久しぶりなので、疲れたそうです。」
「そう。ここどこ?」
「城の庭です。女王様ご自慢のバラ園があるんです。」
「隠れてください。」
あたしと偽白兎母は偽白兎の声と共に物陰に身を隠した。偽白兎の目線の先を見ると、やってきたのは白いペンキの缶を持った一体の老トランプ兵だった。トランプ兵は表面に複数の細かい傷があり、端の所がかけている。その城の様子など知らないようで、偽白兎に親しげに話しかける。
「これはこれは、白兎殿。お元気ですかな?何やら城から騒がしいようですが、我々には関係ありませんな。」
「そうですね。」
「ここに来たということはまた身体にペンキを塗ってもらいに来たのですかな?」
「いえ。今日は、塗らなくて大丈夫……」
「へぇ?」
「だから……」
「はて?」
「だからもう偽白兎は、ペンキを塗らなくて大丈夫なんだって!」
平行線な2人の会話にあたしはつい会話に入ってしまった。
「ふんが!?」
「」
突然現れたあたしに老トランプ兵士は、腰を抜かしている。ついでに持っていた白いペンキが宙を飛んで偽白兎にかかる。
「あっアリス!なんでここに?まさか城の騒動はアリスが原因?」
「だからあたしはアリスじゃないって!本物はどこよ?」
「いいえ。アリス。この世界では、貴方は本物アリスです!何故ならここは火事に遭って生死を彷徨っている貴方が作り出した貴方だけの不思議の国。思い出してください。何故今まで都合よく道具が出て来たのかを!」
「え!?」
その瞬間あたしは目の前が真っ暗になった。徐々に世界が暗く黒色に変わっていく。
(あたしはアリス?いや違う?あたしはただアリスになりたくて憧れていただけだ……別に名前だってある。じゃあなんでここに来た?それは、遭ったから)
「〇〇さん!」
(黒すぎる肌をファンデで隠して、それで…アリスみたいになりたくて……)
「〇〇さん!」
(本物のアリスにあって、それからあたしは、どうしたいの?)
「やっと気が付きましたか?〇〇さん。」
気がつくとあたしは、バラ園のベンチに偽白兎母の膝枕で寝かされていた。なぜか周りには偽白兎、母、女王他の面々があたしの周りを囲い心配そうに見つめている。
「良かった。心配していたのよ。」
「しゃー!」
まんまる体型の女王はあたしに抱きつこうとして、白兎母に威嚇されている。
「あれから直ぐに僕達は女王様達に見つかりました。ですが事情を話して皆で目を覚ますのを待っていたのです。」
偽白兎はここまで言うことは、耳を垂れて謝ってくる。
「ごめんなさい。アリス。」
『ごめんなさい。アリス。』
「ごめんなさいって、皆どうして謝るの?」
「だって気を失っている間に貴方は元の世界に変える術を無くしてしまったのです。もう時間切れなんです。」
『うわーん。わんわんわん。』
「本当は様子を見て元の世界にお返しする予定だったのに!貴方はもう帰れない。」
「何だそんな事、別に良いわ!」
「何だそんな事って!もう帰れないですよ。」
「だってあたしは、アリスになりたかったんだから、ここであたしなりのアリスを続ければ良いわ。」
「良いんですか?アリス!」
「良いのよ。」
『やったやったぞ!これでずっとアリスはこの世界にいるぞ!』
大騒ぎする面々を尻目にあたしはふと考える。
「さてあたしはなんと名乗りましょうか?今は色んな世界線のアリスがいるからね。そうね。それなら憧れの世界のアリスと名乗りましょう。」
最後まで読んでいただきありがとうございます。この作品は途中まで若いころに書いたやつで、最近完結したやつです。