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9.出会い

ついに相棒が登場します。

第二の人生が始まってから初めてまともに食べた食事。

あまりの美味しさに?いや、それだけじゃないけど理由は分からない。

とにかくワッとご飯をかき込んで今に至る。




「あ、あの……!ご、ごちそうさまでした。と、とても……っとても!お、美味しかったです……!」


食器を返却しに行くと、先程サービスしてくれたおばちゃんが目を潤ませていた。

盛大にかっ食らっただけに何だか小恥ずかしい。


「私達みたいなモンに『頂きます』『御馳走様です』だなんて随分丁寧に言ってくれるだけじゃなくてさ、あんな美味しそうに一生懸命!はは、作った甲斐があったってもんだよ!」


ん?どうやら『いただきます』『ごちそうさま』にも反応したみたい。

あれ、これも普通言わないのかな?

みんなどうだったっけ?

心にゆとりが無くて全然周囲を見てなかったな。


「そうだね。あんなわざわざ神様にでもお祈りするように手を合わせた御礼を言う人なんて見たことないね」


と、サラさん。


ふーん。

私自身も良くわからないけれど、まるで普通に挨拶するように出た習慣だったんだけどね。


「そ、そうなんですね?わ、私も良くわかりませんけれど……ど、どうやら食べるときの癖のようです……」

「きっとアメリちゃんの居たところは当たり前にそんな事を言うような良い場所だったんだね。お腹が空いたらまたおいで!」

「は、はい……!ありがとうございます……!」


本当に御馳走様でした。

最高に美味しかったです。




食堂を後にし、サラさんが宿舎の前まで見送ってくれた。

その道すがら。


「とりあえず傭兵としての活動以前にサポーターを探した方がいいだろうねえ」


ん、サポーター?

傭兵絡みでは初めて聞く用語。


「サ、サポーター……って、あの、い、一体なんですか?」

「非戦闘員で、傭兵の援助をする人をサポーターっつーのさ」


援助?私の?


「へっ!?え、援助?さ、流石にそんな……えっ、援助だなんて……!」


流石に馬鹿にし過ぎである。


私はちびっ子に見えるけど、この心の感じから察するに中身はそんな子供じゃないと思うんだよ。

むしろ多分大人なんじゃないかな?

それを援助だなんて!

子供じゃないって!

こちとらガキの使いじゃあないんだよっ!


「ほら、アメリ一人じゃ右も左も分かんないだろう?物の相場だとかさ、世の中の酸いも甘いも知らないと簡単にぼったくられて素寒貧になるよ?」


そ、そういう事か!

それは確かに…その通りとしか言えない。


「只でさえお登さんみたいなんだから!一人旅は流石に危険すぎると思うねえ」

「うっ……!た、確かに……!」


そりゃそうだ。


私、地理から何から全てが分からない。

しかも知らない人に話しかけるのが怖い!

いくら強いとは言えあくまで少女?だ。

無知な私なんか悪い大人の恰好の餌だね。

尻の毛まで毟られそう。

生えてないとは思うけど…


サポーターかぁ……

いやーさすれば、女の子がいいな……!

無理かなぁ。


「はは、安心しな。サポーターったってみんなイヤらしいオッサンって訳じゃないよ。とりあえずこの後事務所で相談してみるといいよ」


ほっ、良かった良かった。

それなら安心かな。


「さ、参考になりました……!」


宿舎を出たところで立ち止まる。

この町にいればサラさんと会うこともあるだろうけれど、サラさんとはこれで一旦お別れ、か。

寂しいな。


「第二の人生、タップリ満喫するんだよ?」

「い、色々とっ……あっ、ありがとうございました……!」

「何かあったらいつでも頼ってね?それじゃあ」


サラさんと握手する。

硬い手だ。

苦労している暖かい手。


「は、はい!」


今生の別れじゃないし、ここは笑顔で。

精一杯の笑顔を浮かべてみた。




おセンチな気持ちを切り替えて傭兵組合へと歩みを進める。


町中を歩けば、そこかしこでコソコソと何か言われているのが嫌という程分かる。

しかしまぁ悪口では無さそうだし、別にいいかな。

僅かに聞こえてくる『強い』とか『凄い』なんて単語。

ちょっと気分が良いかも!

何だかニヤニヤしてしまいそうになる。

にやけそうになるけど、同じくらい聞こえてくる『魔女っ子』という単語がニヤニヤしそうな私を現実へと引き戻す。


今度は臆さず組合の扉を開ける。

受付のカウンター…おや?立っているお姉さんが早朝とは別のお姉さんだ。

泣きほくろが印象的な色っぽいお姉さんだ。

女の人なら話しかけやすくて良いねー。


「あ、アメリです…」

「お待ちしておりました。あちらの部屋へどうぞ」


言わずとも既に伝わってた。


「あ、ありがとうございます!」


よしよし、お姉さんが促した部屋へ行こう。


軽くノックをしてみる。

中から先程のビクターさんの「はいよ!」という大声が聞こえてくる。


「待ってたぞ!」


扉を開けた先にあった部屋はビクターの部屋らしい。

そんな声を上げたビクターさんのいる机は書類や本が山積みだった。

何となくイメージ通りの机で思わず苦笑いが出てしまった。


「よし、そこ空いてる席に座ってくれ」


ふむ、このソファー…ん?

応接セットのようなソファーとテーブルに視線を向ける。

あらら?自分より小柄な女の子。

緊張の面もち。

ちょこんと座っている。

んー誰だろう?


挿絵(By みてみん)


女の子は少し癖っ毛のブロンドヘアを背中まで伸ばし、目は緑色でクリクリしている。


秘書かな?秘書にしては子供過ぎる気が…

って言うか可愛いな!

いやー小動物みたいで可愛い!


待て待て。待ってよ?

あれ?まさかビクターさんの奥さん…?

このオッサン、やばい奴なんじゃ…!?


「がはは!おいおいっ!なんだその視線は!何を勘違いしてるのか知らんが、ソイツはお前さんに紹介しようと思っていたサポーターだぞ?サポーターについては説明受けたか?」


あ、良かった。

なんかすんません…

ゲラゲラと豪快に笑っているビクターさん。

ソファーにちょこんと座ってた女の子もクスクス笑ってる。

かわええー…


ビクターさんは私にサポーターによる手助けが必要だろうと踏んで目星を付けてくれていたんだね。

いやー、有り難いっ!


「あ、はい。わ、私は、とっ、特にサポーターが必要そうだなーと……」

「だろうな!丁度良いサポーターが居たんでな?是非組んでみたらどうかと思って呼んだんだ。まぁそこに座ってくれ」


とりあえず座ろう。

女の子と向かい合う形でソファーに腰を下ろす。

ビクターさんは机の椅子から勢い良く立ち上がる。


「よっこらしょっと…うわっ!あーあ…」


ビクターさんの机の上は派手に雪崩を起こしてしまった。

あーあ、もう机の上も床も滅茶苦茶だ…


「軟弱な書類の方が悪いな!うむ!違うかっ!ははっ!!」


しかしビクターさんは思った通り、こーゆーの気にしないなぁ。

豪快に笑い飛ばすだけで微塵も気にしていないよこりゃ。

本当に見た目通り豪快な人だなぁ。


「紹介する。ハーフリングのフレヤだ」


フレヤさんかぁ。

頭を下げる仕草も可愛い!

ハーフリング族?言われてみたら耳が少し尖ってるから人間とはちょっと違う気がするな。

おっとっと、私も頭を下げなきゃだ。


「ハーフリング族のフレヤと申します。歳は17歳です」

「は、はじめまして……!た、多分……人間族のアメリです。ね、年齢はすいません、わ、分かりません……」


我ながら良くわからない自己紹介だ。


本当に人間族なのかも怪しいし、名前も仮名で年齢も不明。

これ、何の紹介にもなってないね……

普通に失礼に当たんないか?この挨拶……


っていうか……フレヤさん17歳っ!?

ええっ!?子供じゃないんだ!?


「フレヤは大変優秀なサポーターなんだがな?女のサポーターってのは案外珍しい。優秀なんだが、荒っぽい男どもと組ませると、どうしても力の差もあって萎縮してしまってなぁ。優秀なのにどうしたもんかと思ってた訳だ」


確かにこのフレヤさん、荒くれ者と対等に渡り合えそうな感じはしない。

怖いにーちゃんに何かワーッと言われて乱暴に腕でも掴まれた日にはやり返す事は出来なさそう。


ビクターさんが眉尻を下げてポリポリ頭をかくあたり、本気で何とかしてやりたかったんだろうなぁ。


「かといって女の傭兵ってのはその辺を見て分かる通り、そんなに数が居ない。そもそも登録も少ないと来た。居たとしても女で傭兵になる奴は大抵しっかりしてる。そこでお前さんという訳だ」


なるほどなるほど。

いやいやっ!私がしっかりしてないって言いたいのかっ!?

して……ないか。


げふんげふん、確かに私は女で単独。

横柄な態度も取らないけど腕っ節なら強いから柄の悪い輩とのトラブルも乗り越えられる。

そして絶賛記憶喪失中だから右も左も全くもって何も分からない。


こんな絵に描いた適材適所は他に居ない訳だ。


こんな『なるほど!』な話、他にある?いや、ないね。


「わ、私は喜んでお願いしたいところですが……そ、その……こ、雇用期間とか、いっ、移動範囲とか賃金とか……そ、その辺りの雇用条件は……?」

「お前さん、本当に見かけによらずしっかりしてるなあ。その辺はフレヤ、直接説明してやれ」


ビクターさんに促されたフレヤさん。

私みたいに話を振られてもビクッとしない。

っていうか「見かけによらず」とな?

いやいや、気になるでしょ!


「はい。期間や範囲に指定はありません。賃金については寝食さえ整えて頂ければアメリさんの報酬から分け前を僅かばかり貰う形で構いません」

「ええ……?な、なるほどですね……ん、えっ?サ、サポーターの皆さんも……その、た、大抵そのような条件なんですか……?」


フレヤさんの提示した条件って……何というか、提示してないも同然のフリーダムな条件。

私にとってあまりに有利すぎるよ。


そんな訳ある?いや、ないでしょ!?

召使いとか奴隷じゃあるまいし!

なんだこりゃ、詐欺?


「いや、大抵のサポーターはその場限りの臨時パーティーだな。『この依頼遂行中のみ』『場所は依頼に準ずる』『報酬は報酬額の二割』とかな」


ふーん、だよね?

ますます意図が分からん。

私に得があるばっかで、フレヤさんに得がないよーな……

んんーっ?


「だっ!…だとしたらフレヤさん……ほ、本当にそんな無条件みたいな条件で、い、いいんですか……?あ、あの……フレヤさんに得がないような……?」


フレヤさん、ニコッて微笑んだ。

小さく頷く姿も可愛い。


「あれだ、フレヤはな、世界を旅して冒険譚を書きたいって夢があるんだよ」


なんと!冒険譚!

へえ!作家さん志望なんだ!?


「お前さん、本当にもうこれ以上いねえってくらい最適な傭兵なんだよなぁこれが。見た目は使用人。記憶喪失してて魔法も使えて腕っ節も超一流。絶対旅が面白くなるだろ?そんな要素しかないな!だろっ!?」


確かに言われてみれば絶対面白そう!かな…?

とは言え、こちらこそ喜んで!だね。


「あ、わ、私なんかで良ければ……!ぜぜ、ぜっ、是非お願いしたいです……!!」

「これからよろしくお願いします!」

「決まりだな!」


フレヤさん、緊張がほぐれたのかな。

にっこり満面の笑顔だ。

良さそうな人がこんなトントン拍子でサポーターになってくれて良かった。


順調な滑り出しかなー。

面白かったという方はブックマークや☆を頂けますと幸いです。


なお、挿絵についてはAIに必死に頼み込んで作成しました。

どんな感じのキャラクターなのか参考にしてください。

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