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人類はレベルとスキルを獲得出来ませんでした  作者: 妹尾真拓
宝箱探索編
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新装備とアタックの日

祭りが終わって、街は通常に戻った。

莉乃と一緒に見た花火もまるで幻だったかのように感じる。


あれからまだ・・・僕は答えを貰っていない。


でも、指輪はつけてくれて、たまにそれに視線を落として微笑む彼女を何回か見た。

その顔を見るたびに、渡してよかった、と思った。

付いたスキルは、僕が確認しようとしたら隠されてしまった。


「秘密!」


強く拒否されたので、それ以来聞くこともできない。


それからまたしばらくのんびりした日が続いて、コートが必要になる季節になる頃に、僕たちの装備の更新が完了した。

今回は前回ほど大掛かりではなかったが、それでも厳重な警備のもと、一の宮体育館に運ばれていく。


「凄い」


思わず声が漏れた。


全てにカラーがついていた。

僕は白だが、所々光の加減で虹色に見える。

莉乃のはスカイブルー。

空を飛ぶ彼女にピッタリの色だ。

高城さんが赤色で、リーダーカラー。

また、動物系モンスターを翻弄する色なので、残像使いの彼女と相性がいい。

植木さんは本人に一番似合うピンク。

麻生さんは緑色だが、周辺に溶け込んで見えなくスキルから来てるのかな?


「他のエリアで使うことを考えてないですよね? 森の中でも目立つ色がいますよ?」

「そこは使用者の腕です」

「腕で何とかできる次元ですか?」


ピンクや赤が緑に混じることはないだろう。

植木さんとか、最大出力で魔法使ったら体力が尽きてしまうのに、どうするつもりだ。

ただ、僕以外の人はみんな気に入ったようで、みんな自分のカラーを嬉しそうに眺めている。


「やっぱり、自分の色の専用装備って、すっごく憧れるのよ。これぞ私! って思えるからね」


確かに、自分の物という感じは出てくる。

昔のアニメでも、赤い彗星や白い悪魔は有名な機体の証しみたいだし。


「性能も上がってますよ。瀬尾さんの装備は私が説明しましょう」


僕を連れて松嶋さんが白い専用装備の前に立った。

外見上は、前回から虹色のパーツが取り付けられただけのように見える。


「まずは、冷却システムが簡略化されました。これはアイスドラゴンの素材を使ったことによって効率がグッと上がった為ですね。前回と同じパフォーマンスを発揮できます。次に外装について、アイスドラゴンの鱗を縄文杉に覆うように取り付けました。これにより不燃性が格段にアップしましたので、大抵の火に関する攻撃は無効化できます。ただ、スキルではないので、超高熱には耐えることができませんのでご注意ください」


ここで一旦説明を切って、松嶋さんは息を整えた。


「メインの足です。今回アイスドラゴンの鱗を組み込んだことで、即撃ち即冷却が可能となりました。これにより、ドラゴンバスターの短時間撃ちが可能となりました!」


短時間撃ち、つまり20分待たなくていいということだろうか?


「具体的に言いますと、足のレバーを上げてドラゴンバスターを撃つところまでは一緒です。新装備は、それから足の内側にある冷却ボタンを押すと、熱を持った機械を即冷却してくれます。多少は待ちますが20分も待つ必要はありません。連続撃ちができれば一番よかったのですが、現段階ではこれが精一杯でした」

「冷却ボタンを押して発射可能になったら、何か合図はありますか?」

「ボタンを押すと、まずフェイスガードの右下に赤い丸が現れます。発射可能になったらそれが青に変わりますので、そちらで判断が可能となっています」

「およそ何秒かかりますか?」

「15秒です」


微妙な数字だ。

連発したい時にできないが、一撃必殺ではないので助かりはする。


「緊急では・・・使いづらそうですね」

「秒数を数える状況ではない時はきついですね」


僕以外の人たちが標的になったら、15秒を待つことができるか・・・。


「連続して撃ったらどうなりますか?」

「撃てません。セーフティとしてレバーが上がらなくなります。例え死にそうになっても上がりませんので、ご注意ください」


上がらないのか。

なら、今まで通り、一撃必殺のつもりで行ったほうがいいのだろう。

連発を期待して致命的な15秒になるのは避けたい。


「うむ、反応が悪いですね。凄く短縮できたと思ったのですが」

「命がかかった場面で15秒は長すぎます」

「そうですか・・・参考にして次回の更新に活かします」


他の人の装備はどう変わったのか。

気になるところだ。



みんなの表情でアップグレードに差が出たことがわかった。


植木さんと高城さんは笑顔で麻生さんは微妙そう。

莉乃は難しい顔をしている。


「ちょっと性能を打ち合わせる必要がありそうですね。良かった人からいきますか」

「じゃあ、私から。私のは光の反射を利用して、残像体が増えることになったわ。さらに、目があるモンスターには強力なレーザーを当てることができるの。対動物戦では確実に優位に立てるわね」

「次に私ね。私のは細かい制御が出来るようになったわ。最大出力で全体攻撃や超質量攻撃も魅力的だけど、土魔法の一番いい点って敵の足元を安定させないって思ってるの。前回よりもより深く落とし穴を作ったり、足を岩でロック出来るようになったはずよ」


モンスターへの撹乱や行動阻害系のバリエーションが増えたということか。


「次は難しそうな顔をしていた莉乃さん」

「うーん。背中のジェットの出力を上げて、手足に姿勢制御用の空気噴射器を付けてくれたんだけど、これって一つ間違えれば大事故起きそうなんだよね」

「狭い空間で使ったら壁に衝突ですね」

「韋駄天を前提にした装備だから、速さを重視してくれたみたいだけど・・・外なら慣れれば良さそうだけどね」

「それじゃ私か。私のは存在を薄くする装備になっていたよ。匂いも音も出さないたてない勘付かせない。バフ支援をメインに考えられてるの。私も攻撃するんだけどね」


何とも現場を知らない人たちが考えた、極端な装備に変わっていました。

どうしたものかと考えていたところ、莉乃が手を振って何か言いたそうにしていた。


「どうかしました?」

「一回これで行ってもいいんじゃないかな?」

「事故を起こすかもしれませんよ?」

「前の装備から、極端になったと言っても、基本的な性能は変わっていないから、私は自分のことだけを考えたら問題なさそう。何より、2人はアップグレードしてるから、連携次第だと思うよ」


莉乃の言うことも一理ある。

1日だけの探索なら問題ないし、青いやつに遭わなければ大丈夫だろう。


「それじゃ、いつ行きますか?」

「明日がいい人」

「「「はーい」」」


3人が手を挙げた。

僕はもうちょっとのんびりしたかったけど、しょうがないから付き合いましょう。

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