表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人類はレベルとスキルを獲得出来ませんでした  作者: 妹尾真拓
ドラゴン来襲編
49/197

ブラックドラゴン

筆が進みました。

普通なら3日はかかります。

ただ、不定期が基本ですのでよろしくお願いします。

探索者組合、自衛隊、警察の各有力チームは日本各地に分散させてこの災害に備えていた。

自衛隊からは黒曜が岩手県の遠野市、金剛が宮城県名取市、写楽と武蔵が静岡県掛布市。

警察からは国家公安委員会直属部隊が2チームが静岡県南伊豆町、1チームが三重県志摩市、1チームが徳島県阿南市、1チームが宮崎県日南市。

探索者組合から『クレーター』の館山学が所属するパーティ・ブラックアイズが静岡県静岡市、『両極』の羽山一郎が所属するパーティ・天翼が沖縄県南城市、『水妖精』の牧山薫が所属するパーティ・ウォーターランドが高知県高知市、『ゲリラ戦』の西馬時也が所属するパーティ・森羅万象が熊本県玉名市、そして『探索者』の渡辺龍雄が所属するパーティ・天斬が愛媛県宇和島市に行っていた。


「天斬が崩壊した。サポートに入っていた警察からの連絡だ。『探索者』の渡辺龍雄がファイアドラゴンに喰われたらしい」


渡辺龍雄のメインスキルは、完全中和という自分を害する攻撃系の魔法や環境を、中和させて問題ない状態にするという僕の生命力吸収も効かないと思われるスキルなのだが、圧倒的に物理攻撃には弱い。

なので、他にも自身を強化するスキルをいくつか持っていると聞いたことがあるが、その人が喰われた。


「特殊な攻撃方法でも持っていたんですか?」

「分からない。動画も何も撮っていなかったから解析のしようがないと報告があった」

「『探索者』の装備に付いていたカメラもぉ、丸呑みされちゃったのよねぇ」


丸呑みとはまた・・・。

口で噛み潰されるか、喉で圧迫されるか、胃で溶かされるか。

どれも味わいたくない死に方だ。


問題のファイアドラゴンの姿の情報も、ほぼない状態。

ただ、その場にいた警察関係者からは「あれは悪魔だ」というセリフがあったらしい。

何が悪魔みたいだったのか言って欲しかった。

まあ、ドラゴンは元々悪魔と同列だったらしいしね。

そんな個体もいてもおかしくない。


「おそらく、外道クラスの攻撃をしてくると考えていた方がいい。人間の魂を使って色々言わせたり、幸せから一転して絶望する幻覚を見せたりな」

「悪魔ならぁ、あり得る攻撃だよねぇ。ちょっと外道すぎるかなぁって思うけどぉ」


確かに、外道中の外道の攻撃だが、心をしっかり持つようにしていれば問題ないはずだ。


道中敵に遭うことなく、外の風景が流れていく。

直接肌では感じないが、空気の抵抗がないため通常より早く移動しているはずだ。


「え? ・・・あれですか?」

「・・・これは」


そこには異様な光景が広がっていた。


黒い炎に侵された大地。

みかんの木が炎に燃やされ黒く変色して倒れていく。それを美味しそうにブラックドラゴンが食べていた。


「倒します。あそこはあいつの好き勝手していい土地じゃない」

「お願いねぇ」

「頼む」


松嶋さんには向こうに残ってもらってて正解だった。

こんなところに来られて、万が一があったら大問題だった。


「少し離れたところで降ります。Uターンして安全な場所で待っていてください」


ヘリから飛び降りて小学校のグランドに立って、僕は一直線にブラックドラゴンを目指して走り出す。

そこから奴の顔がはっきりと見えた。

奴も僕の存在に気づいたのか、一際大きな咆哮を放って、その風圧で僕の足が止まってしまう。


「まだ距離があるのに!」


加重はまだ十分に重くなっていない。

ドラゴンバスターはもう少し冷却しなければ安全に使えない。

それでも、生命力吸収が効けば、奴の破壊行動は止めれるはずだ。


僕は坂道を駆け上ってドラゴンの方へ近づこうと試みるが、黒い炎の球が僕の進む道を破壊した。


「阿蘇の火龍よりも強いだろ! こいつは!」


道が溶けて抉れていた。

道が溶けるのは理解できる。

黒いとはいえ炎なのだからかなり熱いということは推測できることだ。

だけど、どうやって抉った?

ぱっと見だが、炎が渦巻いている様子はなかったし、爆発もしなかった。


「まさか・・・気化させたのか? 化け物かよ、あいつは! 化け物だよ、あいつは!」


もし本当に気化させたのなら、黒い炎には絶対に触れてはいけない。

触れたら最後、人間の体なんてあっという間に焼却処分される。

僕の専用装備でも、そんな高熱は想定していないだろう。


僕は抉れた道から外れて、みかん畑の中に入り、木々を避けて走る。

そんな僕に、ドラゴンは、身体中から触手を出して何かわからない液体を打ち出した。


「うお! 汚い!」


流石に当たりたくないので後退してそれらを避ける。

液体というか、粘液を避けてドラゴンを目指そうとすると、巨大な黒い炎の壁が遮った。

・・・一定距離から近寄ることができない。

まるで、僕のスキルの範囲を嫌っているかのように・・・、


「まさか・・・僕のスキル範囲を知っているのか?」


生命力吸収が届かない!


「この野郎!」


ドラゴンの周囲から突破口を見つけ出そうと全速で走るが、必ず僕に正面を向いて炎の壁で遮る。

長期戦を狙っているのか?

アイスドラゴンといいこいつといい、ドラゴンは長期戦が好きだな!



1時間以上経っただろうか?

3回ぐらい加重を入れ直した記憶はある。

重すぎると地面に右足が沈んで走りづらいのだ。

これはきつい。

もちろんその時間走りっぱなしというわけではない。

緩急つけながら走っている。

身体強化もあるから体力もこの長期戦にもっている。

自衛隊での訓練と、その後の鍛錬がなければこれだけ運動し続けることはできなかっただろう。


「こいつ、いい加減しぶどい!」


今だに一回もスキル範囲内に入れない。

後ろからも別の自衛隊か探索者か警察が攻撃しているはずなのに僕しか見ない。

後は全部、尻尾と粘液で対処している。


こいつ・・・ドラゴンの中でも上位種だろ!

日本に来るなよ!

確かに愛媛のみかんは美味しいけどな!

木ごと食べるものじゃないんだよ!



・・・夜になった。

ブラックドラゴンはまだいる・・・。

アホだろこいつ! なんでまだいるんだよ! いい加減帰れよ! 居てほしくないんだよ!

周囲は自衛隊と警察が照明をつけて、昼並みに明るく見える。


「いい加減帰ってくれないかな?」


言葉が通じないのを承知で口から言葉が漏れてしまった。

目の前のドラゴンも、鼻息を大きく鳴らした。

帰る気は無いようだ・・・。

夜はどうしても運動範囲が狭くなる。

明るくしているとはいえ、体の時計が休憩を欲するからだろう。

だけど、僕の代わりはいない。

僕がいなくなれば、こいつは遠慮なく周辺を破壊して食らい尽くす。

・・・寝れない!

後ろにコトンと物が落ちる音がした。


「栄養ドリンクです。カフェインも含まれていますので眠気が、あ!」


袋が黒い炎に燃やされた。


「本気で殺す!」



だいぶん疲れた。

3時間ぐらい前は、あいつを殺そうと必死に近寄ろうとしたり、効果があるか分からないが後ろから投げ入れられた銃を撃って跳ね返されて諦めたり、いっそ水は? と思って2リットルのペットボトルを投げたら飲まれたりした。


「お前は眠く無いのか?」

「グルルルルル・・・」


なんだか向こうもつらそうだ。

ドラゴンって24時間でどのくらい寝るんだろうか?

誰か研究してくれないかな?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ