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人類はレベルとスキルを獲得出来ませんでした  作者: 妹尾真拓
ドラゴン来襲編
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アイスドラゴンとの戦い

ブックマークありがとうございます。

最近ブックマークをいただけるので嬉しいです。

自衛隊の特別隊員から、天空大陸の予測進路が送られてきた。

日本の太平洋側を天空大陸の端が掠っていく予測だ。


「台風の進路っぽい」

「日本を横断しないだけマシかもねぇ」

「被害と恐怖はこっちの方が酷いがな」

「工場などに被害が出ると、こちらとしては大損害なので、早めに撃退して欲しいですね。あ、退治してもいいですよ。素材はどうせ国や探索者組合が持っていくんでしょうけど」

「・・・危ないから早く避難してくださいって言いましたよ? 松嶋さん」


僕の言葉に、松嶋さんはニッコリとほほえんで僕を見る。


「ドラゴンなんてお目にかかる機会はありませんからね。ちゃんと安全圏で待機してますよ」

「本当に頼みますよ」


僕の装備のメンテが終わったとの連絡を受けて、急いで持ってきてもらったのはいいが、この人もなかなか強情で、すぐに帰ってくれなかったのだ。


「こっちに向かってきているドラゴンは1体だけだ。頼んだぞ」

「ええ・・・。確実に仕留めます」


僕は専用装備のフェイスガードを下ろして、今は点でしか見えないそれを有田川町で迎え撃つ。

ドラゴンバスターはまだ使わない。

あれは確実に撃たないと、クールタイム20分は致命的だ。


「向こうに降りるのならドラゴンキラー、こっちにくるのなら僕が相手だ」


徐々にその姿が大きくなる。

何に誘われているのか分からないが、どうやらこっちに来るみたいだ。

僕も覚悟を決めて身構える。


「周囲が光ってる?」


ドラゴンの体の周りを何か光るものが覆っていた。


「氷が浮いている! アイスドラゴンだ!」


それは、数日前に動画で見た個体とほぼ同じ色をしたドラゴン。


「瀬尾さん。貴方の装備は徹底した温度管理がされています。熱ければ冷やし、凍えれば温める。どんな環境でもパフォーマンスが落ちることはありません」

「それはすごくありがたい!」


アイスドラゴンが、僕を警戒しながらゆっくりと降りてくる。

そして、嬉しいことにトランポリンんで上昇できる位置で留まった。


「行くぞ!」


僕はロープを持って一気に走り出す。

それを見てアイスドラゴンが氷の礫を飛ばしてきた。


「トランポリンに当ててくれるなよ!」


大人と同じ大きさの氷がドスドスと田んぼに穴を開けていく。

僕は右足も加重をずっと発動状態にしていたので、畦道に右足の跡がしっかりとついてしまった。

持ち主に謝るのはドラゴンが終わってからにしよう。

僕はトランポリンに飛び乗ってネットを沈め、限界っというところで加重を切った。


急激に上昇する。

姿勢を制御してアイスドラゴンから目を離さない。

跳んでくる僕に驚いたのか、一瞬攻撃の手が止まったが、すぐにまた氷の礫が襲いかかってきた。


「この!」


真正面に来た氷を両手で殴って方向を変える。

氷は横に逸れたが、僕の勢いも完全に殺されてしまった。

これは一度落ちるしかない。

僕は一度体を回転させ、追加で向かってくる氷を殴りつつトランポリンの上に落ち乗った。


「2回目だ!」


もう一度跳び上がりドラゴンを目指す。


「グァァァァアアアアアアアア!!」


アイスドラゴンがそんな僕に咆哮を放った。

だが、僕は確かに圧を感じたが何のダメージも受けていない。

もう間も無く範囲内! と言ったところでまた氷が視界を覆った。


「クソ!」


直撃の氷を防いだ。

槍や剣のように尖っていなくて助かった。

僕はトランポリンに氷が落ちないように蹴って落ち、その上に3度目乗った。


「いい加減に! 落ちろ!」


跳び上がる。

何度も向かってくる僕に、流石に焦れたのかアイスドラゴンが口を開いて向かってきた。


噛み殺す気なのか?

ありがたい!


上昇する僕の前に邪魔者はいない。

口が笑みを浮かべる。

そして・・・ドラゴンがスキルの範囲に入った!


「グガァ・・・ガ!」


僕はすぐさまロープを投げて口に引っ掛け、万が一にもドラゴンがスキル範囲外に行かないようにして、そもまま一緒に田んぼに落ちた。


ズドン! と田んぼに巨体が跡をつけ、土が周囲に飛び散った。

僕の体も跳ね飛ばされたが、しっかりとロープを掴んでいたおかげで、アイスドラゴンからは離れずにすんだ。


「よし! 結果オーライだ」


目の前に横たわっているアイスドラゴンを見て、ホッと息を吐く。

だが、僕は受肉したドラゴンという存在を甘く見ていた。


巨大な氷の壁が目の前に出現した。


「しまった!」


なんとかして致命傷を与えようとしたが、あっという間に全身を氷で覆って攻撃を与える隙間がなかった。


「時間が経てば解除されると思っているのか? いいだろう。それなら持久戦だ!」


僕は氷の繭の上に乗って加重を発動した。


「お前の氷は、どれぐらい僕の加重に耐えれるのかな?」


氷の繭が僕の足を凍り付かせようとする。

僕は繭を歩き回って、繭とくっつく足をベキベキと音を立てて引き剥がし続けた。


20分以上経って、ようやく氷が割れるような音が出始めた。

同じ箇所を何度も踏みつけると、ベキッとヒビが入った。

ただ、それは一瞬で、ヒビは消え去り、元の繭に戻る。

だけど、手応えを感じた。

もう間も無く繭は壊れる。


それから更に10分が経過すると、一撃で大きなヒビを作れるようになった。

もうすぐだ。

間をおかずに何度も蹴りつける。

ドラゴンも、ヒビが入るたびに追撃が入る前に修復していく。


「もう十分だろ」


僕は右足のレバーを上げた。


「行くぞ! アイスドラゴン!」


スキルの範囲から出ないように軽く飛び、右足に力を入れて、繭に踵を叩きつけた。

繭全体にヒビが入り、ドラゴンバスターの威力もあって崩壊していく。


眼下には、こっちを見るドラゴンがいる。


そこからも相手はしぶどかった。

氷の礫が重力に反してこっちに飛んでくる。

僕は落下するだけ。

落下地点を逸らされたりはしない!


真下からくる氷はドラゴンバスターで消し去る。

カーブしてくる氷は僕の方が先に落下している!


「グ・・・ガ!」

「潰れろ! 侵略者!」


右足が頭蓋骨を踏み砕く音を、振動で伝える。

確実に仕留めた感触。

全く動かなくなったその姿を見て、僕は右手を上げた。


「よぉぉぉぉおおし! やったぞ!」


スキルを切ったことを手で合図すると、警察のヘリが飛んできて、土尾さんが縄梯子を僕の前に下ろした。


「乗れ! すぐに愛媛に行く!」


まさかの連続だった。

ストックが尽きました。

だいたい一話を3日〜2週間で書いているため、次回の更新は3日後と考えてください。

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― 新着の感想 ―
ドラゴンバスターで消し去るってあるけど、そういう装備じゃないよね
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