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本栖湖仮設基地

ブックマークありがとうございます。

不定期更新ですが、よろしくお願いします。


コメントいつもありがとうございます。

これからも頑張りますので応援お願いします!

ホワイトドラゴンと遭遇して2日過ぎた。

あれからもう一度シルバードラゴンと強制特訓があったが、そのときはベルゼブブの籠手を着けていたので最高速度を試すことができた。

逃げ切れると期待したが、それでも瞬間移動には敵わないことがわかった。


朝6時に携帯が震えたので確認してみると、自衛隊から今日の集合場所と時間が目に入った。

そして、日野さんから僕の専用装備がある施設で待ち合わせようというメールもきていた。

・・・いよいよか。


タクシーを呼んで工場の入り口まで行き、受付をして装備を納めている建物に向かった。


「・・・」

「おはようございます。お早いですね」

「召集がかかりましたから」


松嶋さんが入り口で待っていた。

表情から・・・今回のことを知っていることが伺える。


「取り止めていただくことはできませんか?」

「・・・申し訳ありません。決着をつけないといけない相手がいます。これだけは何があってもしないといけません」

「そうですか・・・」


松嶋さんは僕と一緒に建物の中に入り、装備が待っている部屋に向かう。


「あの日・・・衝撃を受けました。死なんてものは、寿命以外で私の身近なものですはなかったので・・・。いきなり突きつけられたような感じでした」

「・・・」


あの3人の顔が思い浮かぶ。

あの日常がいつも有ると・・・僕も思っていた。


「死んだら終わりですよ。生きて戻ってください。私は瀬尾くんの将来に、この国の未来を見ているんですから」

「僕には重いですよ」

「大丈夫ですよ。今までと同じことをすればいいだけです」

「・・・あ、これを預かってもらえますか?」


僕はベルゼブブの籠手と同じケースに入れていた、一枚の鱗を取り出して松嶋さんに渡した。


「これは?」

「ホワイトドラゴンの鱗です」


松嶋さんの歩みが止まった。


「もし何かあって、僕がどうしようもなくなったら、みかんを集めたとき、それでホワイトドラゴンを呼んでください。会いたいと強く願えばいいそうです」

「・・・重いですよ」

「可能な限り、生きて戻ります。ただ、預かってください」

「分かりました・・・。ふぅ・・・こんな世界なので、神頼みでもしておきます。瀬尾くんに神のご加護がありますように」

「・・・ありがとうございます」


装備の部屋の前で松嶋さんと別れて、専用装備を装着して、時間を確認して外に出た。

そろそろ日野さんが来る時間だ。

そう思っていたら、日野さんは既に僕を待っていた。


「よう、時間通りだな」

「日野さん。僕が来たときはいませんでしたよね?」

「ああ、俺は今来たばかりだからな」


少し待たせてしまっただろうか?

僕は日野さんの車の後部座席に座るが、装備の関係で座りずらいし前屈みにならないと飛行装備が入らない。


「助手席を倒すから、少し我慢してくれ」

「分かりました。・・・日野さんも参加するんですか?」

「ああ。久我山がいるという情報が入ったからな。反神教団とDFが全員集結しているらしい」

「山梨県側の方にいるかもしれませんよ?」

「その時は連絡が入るようになってる。アイツだけは確実にこの手で殺してやる」

「日野さんみたいに・・・ヤツらに恨みを持っている警察は他にも?」

「久我山に関しては主に俺だが、ファンタジスタはかなりいるぞ。アイツはかなり無差別に警察のスキルホルダーを殺したからな。見つけ次第発砲許可が出されている」


ファンタジスタということは・・・百乃瀬順平か。

でも、あの人は自衛隊に所属していたはずなのにそういう事ができたのか?


「どういうカラクリかは分からないが、ヤツのスキルなら可能だ」

「どんなスキルなんですか?」

「・・・正式名は分からない。便宜上、俺たちは幻想世界と呼んでいる。二つ名もそこから付けられた。ヤツが望んだ空間が作り出されて、気づいたら仲間が死んだ状態で発見された。偽装の類いのスキルなのだろうが、かなり凶悪だ」

「スキル発動のタイミングも不明なんですか?」

「ああ。俺の周りでは運の良いことにヤツの犠牲はいないが、聞くところによると、瞬きしたら仲間が死んでいて、アイテムが取られていたらしい」

「本当に凶悪ですね」


あの時の男性を思い浮かべる。

殺人なんてするイメージがないけど、僕は騙されていたのか。


それから向こうのメンバーとメインスキルを確認しながら仮設基地に到着した。

車から降りると、鬼木さんが待っていたが、その姿に驚いた。


「鬼木さんですか?」

「そうよ。どう? 私の専用装備。素敵でしょ」


色はワインレッドだろうか?

フェイスガードは僕と同じだが、とても・・・スタイルが目立つ造形で目のやり場に困る。

これで胸が大きかったら、ちょっと困ったことになっていたかもしれない。


「何か失礼なこと考えた?」

「いえ、ただ、ちょっと目のやり場に困ると思っただけです」

「ふふふ。動き重視で作ってもらったの。どう? 素敵でしょ」

「防御が不安ですよ」

「そうだよな・・・もうちょっと腹とか太腿はどうにかならなかったのか?」

「重さと可動域を考えたらこうなったのよ。参考にしたのか昔の漫画だけど、結構理にかなっていたわ」

「僕のは飛行関係の機能を付けてますけど、鬼木さんの装備は何か特別な機能がついているんですか?」

「私のは生命維持と探索関係を伸ばしてもらったわ。攻撃関係は私のスキルで十分だからね」


そう言って、鬼木さんが持っていた金属バットを持ち上げた。


「私の最初の相棒よ。出ておいで、小雨、時雨」


鬼木さんの呼びかけに、金属バットの近くの空間が歪んで、狐が2匹飛び出てきた。

片方は顔に赤い化粧をしていて、もう1匹は青い化粧をしていた。


「般若とこの子達で私の攻撃は十分なの。だから・・・宮下は私が相手するわ」

「・・・彼女もいるんですか?」

「いない方がおかしいでしょ? あんたは安部の相手に集中しなさい」


ああ、これは彼女なりの配慮なのだろう。

他の人であれば、もしかしたら莉乃を殺すか、殺される。

その点、鬼木さんであれば莉乃を殺す心配はないし、莉乃が殺すことも想像できない。


「日野さんはそれでいいんですか?」

「玲花よければ俺は問題ない。ただ、俺はアイツを殺す気でやるから、後で文句言うなよってだけだな」

「言わないわ。紗良先輩には申し訳ないけど、後輩を優先するわ。首取ったら見せてね」

「分かったよ」


日野さんは頭をボリボリと掻きながら、「原型保てるかな?」と小さく呟いた。

正直、その言葉はちょっと怖いです。


「瀬尾は今回、どの組織として参加するんだ? それによって配置も変わると思うんだが?」

「その指示はまだ受けてないですね」

「警察の方は確認しておくか」

「瀬尾くんは私と組合関係者に会いましょう。自衛隊はその後で」

「分かりました」


そうして鬼木さんと基地の中に入ると、プレハブの建物がいくつも建てられていて、一目でどこの所属のものか分かるようにマークが描かれていた。

そこに辿り着くまでに何人もの人とすれ違うが、探索者の人たちで参加していた人たちは、誰も彼も覚悟を決めた目をしている。


そして、僕たちは二階建てのプレハブの上の階に上って、奥の部屋に入った。

部屋の中には館山さんたちブラックアイズのメンバーと、西馬さんたち白い狩人のメンバーがそろって椅子に座っていた。


「勢ぞろいね。巻田さん・・・貴方まで出てきて大丈夫なの?」

「俺より若い奴らが集まっているのに、俺だけ本部でゆっくり待っているわけにはいかないだろ」

「・・・本部も大変ね。稼働力が落ちるでしょうに」

「こっちが終わったら昼食を全員に振る舞うつもりだ」

「それで済むと思う?」

「さあな。本部長と一緒に頭を下げてまわるさ」

「あの人も絡んでいるのね。ならいいわ。ところで、瀬尾くんなんだけど、どこの所属になっているか分かります?」

「いや、聞いていないな。遊撃の可能性もあるが、もう決める時間もないだろ?」

「そのはずなんだけどね」


今この時に僕の立ち位置が浮いている。

まあ、装備もあるから最前線に配属でいいと思うけど、流石に僕だけ突進して生命力吸収を使うなんて策じゃないよね?


僕たちはその部屋から出て、自衛隊のプレハブに向かうことにした。


「誰が知っているのかしら?」

「この前の打ち合わせで、東部方面隊隊長の岩本さんがいたので、その方がいれば分かると思います」


2階から外を見渡す。

何人かで固まったり、落ち着かずに歩き回ったり・・・。

その中で・・・見逃せない人が僕と目が合った。


「あのバカ!」

「瀬尾くん!?」


鬼木さんを置いて僕は階段を下りる。

そして僕の視線の先に、逃げるのを諦めたのか、木下が口を引き締めて立っていた。

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