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飛行練習と試行錯誤

ブックマークありがとうございます。

不定期更新ですが、よろしくお願いします。


コンクールのタグをミスしました。

恋愛モノの応募なのに付けてしまった・・・。

ある意味恋愛してるけど・・・まあ一次で落ちるでしょう。落ちたらこっそり外します。

あの話があったからには、僕も休んでいるわけにはいかず、飛行シミュレーターに何度もチャレンジして慣れることにした。

ただ・・・3人の意見がまとまっていなかった。


「尾翼は尾骶骨だろうが!」

「わざわざ伸ばさせるのか? ありえない! 背中で十分だろ!」

「2人ともダサいです。やはり足につけるべきです」

「尾翼を二つ付けたらバランスが狂うだろうが! もっと考えろ!」

「考えていますよ! 今回形を作るのはエイジくんでその場の状況でいくらでも変更可能なはずです! なら、デザインを少し重視してもいいじゃないですか!」

「そのデザインのせいで戦闘に不都合が生じたらどうするつもりだ! 自由に形作れると言っても、限界はあるはずだ! 足まで伸ばすなど全く無意味! やはり背中の飛行器具にそのまま付けるべきだ!」

「ダメだ! その場所だと衝撃波の影響を受ける! 少しでも頭からは離すべきだ!」


喧嘩腰の議論を聞きながら、そこら中に散らばったデザイン画を拾って見てみる。

誰が描いたか分からないが、とてつもなく絵が上手い。

大まかな人体に対人装備を着せて、飛行モードにした姿に補助翼と尾翼を描き足している。

遊びなのか分からないが、尾翼が頭に付いているのもあった。


「まずは・・・この補助翼だけで試してみるか。エイジ、この絵の模倣はできるか?」

「できますぜ。操作はどうするのがいい? 主人」

「僕が右手を前に出して手を上下左右に捻るよ。それで飛べるか試してみよう」


3人を放置してシミュレーターに入り、装備を着てシステムを起動させて、まずは垂直に飛んだ。


ここからだ・・・。


僕は前に出した右手を上に向けると、補助翼をエイジが動かして、僕の頭が後ろを向き、続いて地面を向いて地面と平行に飛行することに成功した。

さらに手首を右に傾けたり左に傾けたりして、なかなかアクロバティックな飛行を続けることができた。


『瀬尾くん、飛んでいるところ悪いが、そのまま速度を上げて欲しい』


さっき口喧嘩をしていた赤松さんが、隣の部屋に来たのか?


「速度をどうやって上げるのか分かりませんよ」

『エイジくんが覆っている背中の飛行装備に操作盤があるはずだ』

「ありましたぜ、主人」


なんで僕が見れない場所に付けたのだろう。

これじゃ、僕の意思で速度を変えることができないじゃないか。


『エイジくんがそれを操作してほしい。何度も頭の中でシミュレーションしたが、戦いながらジェットの出力と補助翼を操作するなどという芸は1人では不可能だ。それをしたいなら、飛行のスキル以外にも多重思考や高速思考のスキルも同時使用しないと判断が追いつかないという結論に達した』


つまり、そういったスキルを持っていないと、人は空を飛んで戦うことができないということか。


「戦闘機だと1人用のものが多いですよね」

『両手が瞬時に使えるからな。君の場合は右手に武器を持って左手は相手の攻撃を防ぐことに専念するだろう? それとも、左手でジェットの出力を微調整しながら空中戦してみるかね? かなり高度な技術が必要になると思うが?』


戦いながらそれをするのは流石に無理だ。


「エイジ、操作盤を頼む」

「承知したぜ、主人!」


エイジが役割をもらえて嬉しそうに声を弾ませる。


『戦い方はこれから試行錯誤になるだろうが、私たちが想定したところ、おそらく戦闘機と同じスタイルになると考えている。大覚醒・・・だったか? あの状態を想定することは不可能だが、その装備だけで戦うのならば、すれ違いざまに一撃を与えて離脱し、また方向を変えて接近するという流れだ。間違っても空中で止まって殴り合いができるとは考えないように』


まあ、それが現実的なのだろう。

僕は姿勢を安定させて、加速に備えた。


「エイジ、加速してくれ!」

「承知したぜ!」


フェイスガードに映るジェットの出力が上がり、身体にあたる風が強くなる。


「うっ! 姿勢が!」


風の勢いが増したことで、身体強化しているにも関わらず、グラグラと体が揺れて安定することができない!

隣の部屋からもその様子が見えたのだろう。

VRゴーグルの右端に映っている隣の様子を見ると、3人が僕を指さして何かを言っている。


「システム停止」


僕が言うと、飛んでいた体が徐々に失速していき、ゆっくりと床に足を着ける。


「風が強くて体勢が崩れてしまいますね」

「やはり垂直尾翼が必要だな」

「さっきの動きから足に付けるのが1番だと思いますが?」

「何を見てそう思った? 背中一択だろ」

「尾骶骨が1番だ。お前たちは少しは頭を使え!」


また睨み合いが始まりそうだったので、僕はすぐに間に入って手を広げた。


「一旦全部つけましょう」

「ふむ」

「ほう」

「なるほど」

「もし不要なら実戦で試しながら考えましょう。この施設はすぐ横にダンジョンがあります。広い空中なら色々な動きもできるはずです」

「・・・今から?」

「はい」

「・・・ここからダンジョン?」

「はい」

「・・・みんなで?」

「・・・御三方はここで僕からのライブ映像を観てもらいましょうか。小型の配信用カメラって今から付けれますか?」

「すぐに取り付けよう。小美野、手伝え」

「はいはい、承知しましたよ」


僕の提案が通って、穂積さんは小美野さんと一緒に装備の方に向かい、赤松さんは白紙のスケッチブックに、サササっと3人が考えていた尾翼を描き出す。


「こんな感じだな。俺たちが考えた尾翼だ」


描いた絵を見ると、実にわかりやすくイメージできる。


「エイジ、これを再現できる?」

「大丈夫ですぜ。ただ、大鎚は出せないかもですぜ。翼やらジェット機材にも俺様が使われているから、総質量が不足する可能性が高いぜ」

「限界があるってこと?」

「そうだぜ。俺様は硬さや柔軟さにも気を遣っているから、それなりに質の良い状態を維持しているんだぜ。これ以上質を落とすとなると、戦闘中に割れる可能性があるんだぜ」

「そっか・・・。ということらしいです、赤松さん」

「分かった。他の2人にも言っておく」


言い方を考えないと、また喧嘩になりそうだけど・・・まあ、いっか。


僕が装備を受け取りに行くと、小美野さんがカメラ以外の物を必死に取り付けていた。


「小美野さん、何を付けているんですか?」

「これは君の状態を確認するセンサーだよ。飛行する際の筋肉の動きや体勢を数値化してフェイスガードに映すことも考えないとね」

「それは・・・数日で出来ることなんですか?」

「流石に数日が無理かな」


小美野さんが笑いながら答えるが、こちらとしても、その数日中に大規模な戦闘を控えている身だ。

出来る限りのことはやってもらいたい。


「簡易版で構いませんので急いで出来ませんか?」

「・・・穂積さん、時間はありますか」

「・・・捻り出すしかないだろ。赤松も引っ張り出す」

「了解しましたよ。・・・何かあるから言っているんだろうけど・・・2日待って」

「分かりました」


2日以内に状況が変わったり、集合の号令がないことを祈ろう。

僕としても、空中で戦えるぐらいの技術は身につけたい。


装備に入ってベルトのボタンを押すと、装備が僕の身体にフィットしていく。

右腕のエイジも同じように形作ったが左腕は何もないため、臨時で小美野さんがアームガードを用意してくれた。


「あまり高くは行かないようにしてください。防寒機能はほとんどありませんから。無茶な飛行もしないようにお願いします」

「ベルゼブブの籠手も持ってきていないので、変な飛行はしないつもりです」


そして身体強化を使って外に出て飛行システムを起動させた。

翼が開いてジェットが音を立てる。


「エイジ、あの絵のとおりに頼む」

「承知したぜ、ういしょ・・・えっしょ!」


背中は見ることができないが、足はエイジと同じ色をした線が白い装備に幾何学的な模様を描き、赤松さんの絵の通りに形を作った。


準備は出来た!


「飛ぶぞ!」

「オールグリーンだぜ! 主人!」

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