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人類はレベルとスキルを獲得出来ませんでした  作者: 妹尾真拓
ダンジョン排除地域編
155/197

[閲覧注意]うみねこのなく頃にの別説[読み飛ばし推奨]

前回の最後を見た方のみ読んでください。

また、大変申し訳ありませんが、混乱を避るために、あの作品の登場人物をそのままの名前で出しています。

隠して書こうとすると混乱するため、あえて出しました。

なので、閲覧注意としております。


できたら、これ以外で全てに無理やりでも説明できる解答があれば、愛を持って説明できる解答があるなら教えてください。

これはあくまで、私の解答です。

「死亡保険金詐欺事件!?」

『いやいや! ないだろう! 絶対!』


僕の答えに、二人があり得ないといった顔に変わった。


『アレはどう考えても殺人事件だろ! あんなに嫌な表現ばっかりして! 実際に人が殺されている。それはゲーム内のルールとして赤文字で表現されていたはずだ!』

「ええ、ヒャッホイ氏の言う通り、あの話の中で確かに殺されたということが赤文字で書かれていましたね。赤文字は真実で絶対。なので、まずは現実世界から解読しましょう」

「現実世界という事は、突拍子のない表現はなく、誰が生き残って誰が死んでということを第三者目線で確認すると言うことか?」

「そうです」


怪しい表情の二人を僕は見て、僕はあくまで真面目な顔で話を続ける。


「まず、生き残ったのは絵羽。そして、病気で行けなかった縁寿。最後に砂浜で見つかった記憶障害を起こした戦人。次に、館の状況です。館は爆薬による爆発で完全に崩壊しています。ここで確認ですが、完全崩壊です」


僕の言葉に二人は頷く。

ここは共通認識で大丈夫ということだ。


「それでは、各エピソードを思い出せますか?」

「漫画版の方ですぐ読めるようにしているよ」

『俺も準備した。進んでくれ」

「では・・・現実世界と同じように館が崩壊したエピソードは最後以外ありますか?」


読み返す二人・・・。


「・・・ないな」

「そうです。ありません。全て館がある前提のストーリーです。館が崩壊したのは最後のストーリーだけ。館が崩壊していない時点で、殺人も密室も推理も全て間違っています。絵羽が生きて戻ってきて、警察が現地を確認した時には・・・館は存在していなかった!」


二人は黙ったまま漫画を確認していく。


『いやいや、確かに現実とこのストーリーは違うだろうよ。ストーリーの中でも言ってるだろ、色々な人が同じようにストーリーを作ったって。いくつかは真実に迫る内容があってまた議論を繰り広げているって!』

「ええ。だから、原作のストーリーも漫画のストーリーも・・・全部嘘なんです」

『はぁぁぁぁぁああああああ!! 何を言っているのか分かっているのか!? 作者は全てのストーリーにヒントを残し、漫画を発行して出せる全てを出したって言ってただろ!』

「言ってましたね。でも、真実を出したとは言っていません。漫画の内容が真実なら、そう発表されていて、今もなお正答なしの状態にはなっていないはずです。アレすら作者にとってはヒントでしかない。魔女の伏線を回収したとされたストーリーも、僕から見たら茶番なんです」

『じゃあ、うさぎ氏はストーリーが作れるのか? その死亡保険金詐欺事件とやらで! 同じように!』


ヒャッホイ氏が厳しい目で僕を睨む。

緋緋色氏も睨んではいないが僕を見ている。

だから僕は冷静に答えた。


「出来ます」


ヒャッホイ氏が目を見開く。

そして、悔しそうに視線を逸らした。


『言ってみろよ・・・納得できなかったら笑ってやる!』

「分かりました・・・。それでは死亡保険金詐欺事件の視点で話をします。


まず、時代がポイントです。

1986年。

これが後々ポイントになります。

登場人物はすでに死んでいる当主の金蔵、長男一家から蔵人、その妻・夏妃、その子・朱志香、長女一家から絵羽、その旦那・秀吉、その子・譲治、次男一家から留弗夫、その妻・霧江、その子・戦人、次女一家から楼座、その子・真里亞、使用人?から呂ノ上源次、紗音、嘉音、郷田俊朗、南條輝正、熊沢チヨ。

この18人限定です。

金蔵は死んでいますが、1人として考えます。

これはゲームの中のストーリーの中で決められていることの1つです。


さて、10月4日に縁寿を除く全員が島に集まります。

この集まりは1年に一回の行事で、互いの近況を確認し合うためのもので・・・この時にはすでに各家が借金で火の車の状態であり、もうこの館にあるだろう黄金に縋るしかない状況でした。

ただ、そこで問題が起きました。

当主である金蔵がすでに死んでいたということです。

なので、大人たちは協力して謎を解きます。

もしくは、もうすでに解いていたのかもしれません。

そして、黄金を見つけますが、その時に紗音が自分の身を明かし、金蔵が残した遺書を渡します。

ここで4つの財宝が判明します。

一つは黄金。

一つは他の肉親の死亡保険金。

一つは資産家からのさらなる融資の算段。

一つはそれらを遂行する方法。

最後の遂行する方法によって、受け取れるのは1人だけだとここで大人たちは理解します。


そして大人たちは誰が残るか決めます。

問題はその際に誰もが生き残ることを拒否した。

だって、それは今ここにいる愛する存在と別れることを意味するから・・・。

最終的に絵羽が選ばれて、子供たちと使用人を集めてその事を伝えた。

最後まで反抗したのは戦人。

だけど、結果としてみんな納得して戸籍上死ぬ事を決めた。


当主の死体を焼き、いくつかの部屋を血で染め上げ、肉を撒き、扉に血の魔法陣を描き、爆薬を仕掛けて・・・館を破壊した。


生き残ったのは絵羽のみ。

そして警察に話すストーリーを決めます。

誰が悪役になるか・・・そのストーリーを・・・。

誰も悪役になりたがりませんが、その際に霧江が手を挙げます。

条件としては、残してきた縁寿の安全と保護。

絵羽が譲治を愛するのと同等に愛する事。

そして、最後の章のような話が現場検証をしにきた警察に絵羽から伝えられます。

爆発で死体は砕け燃え散ってありません。

でも、いくつかの部屋だった場所で血の痕跡が確認されます。

死体は当主の焼死体のみ。


警察は絵羽の供述をもとに、遺産をめぐる身内の争いと結論づけます。

そして、それを元に保険会社から死亡保険金が絵羽と縁寿に渡されます。

そして・・・遺産を全て相続したことによる、一族の負債を縁寿と共に支払い、資産家から黄金を担保に融資を受け、相続税を支払います」


『ちょっと待てぇぇえええええ!!』


僕の推理の途中でヒャッホイ氏が大声で止めた。


「何ですか? ヒャッホイ氏」

『何だよ、その相続税ってのは! 事件に関係ないだろうが!』

「いえ、大有りです。なぜなら、金蔵の遺書に記載されているからです」

『それはお前の推測だろうが!』

「ええ、推測ですが、ほぼ確定です」

『何でだよ!』

「この相続税の回避方法が・・・この話のメインだからです」


ヒャッホイ氏の目が大きく開かれた。


『ふざけんな! 何処にそんな記述がある!?』

「最初からです。この話が遺産相続争いである時点で相続税の話はセットで発生していました。200億の金塊ですよ。金は相続税の対象として扱われます。そして200億ともなると、相続税はおよそ100億です」

『半額じゃねーか!』

「はい。日本での相続税は一定ラインを超えると半額が徴収されます。200億はそのラインを軽く超えているんです。作者はストーリーに借金と遺産を入れ、現在まで話を飛ばしました。絵羽は全ての事業を持ち直し・・・縁寿に全て渡して死んだ」


ヒャッホイ氏が目を大きくしたまま黙って震える。

話の流れを作られたことで何も言えなくなったのだ。


「まだだな・・・。いくつか納得できないことがある。まず、なぜ遺産を1人限定にした?」

「それには死んだ当主が、過去に事業が倒れそうになったとき資産者に黄金を見せることで融資を得たという話がありました」

「ああ、何話か忘れたけど、原作にあったのを覚えている。だけど、それだけでは分けない理由にはならない」

「いえ、それだけで理由になります。考えてください。200億の金塊が目の前にあるのと、その4分の1が前にあるのと、どちらが資産家にとって大きな安心を得ますか? 分散しても50億です。相続税は半分取られます。登場人物たちの背景から、自分の資金で相続税を払うことはできません。必然的に黄金で融資を得るか、黄金を現金化して支払うか・・・。各々さらに借金があるんです。リゾート地の開発費用なんて何億かかっているか・・・。手持ちの黄金は全部消えますよ? それを・・・1つも無くすことなく右代宮家が受け継ぐ方法が資産家からの融資です。担保は黄金。やらなければならない事は相続税と負債の清算と全ての事業の立て直し」

「なら、部屋に撒いた血や肉は何処から調達してきた? さっきの言葉からすると、島には18人しかいない。まさか19人目がいて、その人をバラしたか?」

「まさか。島には18人限定ですよ。バラしたのは別のものです。緋緋色氏もヒャッホイ氏もそれを観ていますよ・・・原作の中で」

「・・・」

『・・・』


2人は考えたが、時間の無駄だと思って諦め、両手を上げた。


「錬金術師の側にいたでしょ。魔術師となった戦人の側にも・・・それは側に必ずいた・・・。舞台の参考となった台湾にもいるそうですよ・・・山羊はね」


誰かの歯がギリ! っと鳴った。


『獣の血肉なんて、少し調べればわかる!』

「時代は1986年。この時代にDNA検査はありません。しかも爆発による火と熱で焼け焦げていたと推察できます」

「もし、誰かがその真実に気づいたら・・・」

「最後に残った縁寿と戦人、そして生きてるだろう譲治と朱志香は保険会社から死亡保険金の返還を求められるでしょうね。だから隠す。作中でベアトリーチェを暴く側だった戦人が何故魔術師となって欺く側になったか・・・。共犯だからです!」

『待て・・・殺されたとか死んだが赤文字だった理由は? 死亡保険金詐欺なら、全員生きてるはずだ』

「殺すも死ぬも、一定条件をクリアすれば生きていても出来ますよ」

「・・・警察の現場検証を受けた上での死亡届の受理、もしくは7年間以上の行方不明か」

「正解です。戸籍上死ねば社会的に死を意味します。誰も殺していない。でも本人は殺されているという矛盾が成り立ってしまいます」

『密室の謎は? あれも茶番って言うのか?』

「茶番も茶番。だって、どう足掻いても無理でしょ。絶対に死ぬしかない密室と逃げ場もない密室。そして追い詰めたのにいない犯人。茶番です。だって、死亡保険金詐欺が前提なら! 殺すや死ぬが書類上だけのものなら! 殺人事件自体が発生していなくても問題がない!」

『ならなんであんな話を作者は書いたんだ!?』

「そこで誰かが死んだと思わせるためです! 作中で言うなら、警察と保険会社にです! この二つを騙しさえすれば、死亡届が受理さえされれば、遺言は達成される!」

『作者が・・・正答を出さなかったのは・・・』

「作者も共犯関係にあると、おそらく作者自身が決めたからです。作者が先に死ねば作者と右代宮家の勝ち。誰かが暴けば、作者の負け・・・そして右代宮全員が犯罪者に堕ちる」


緋緋色氏とヒャッホイ氏が黙って下を向いた。

時計もないこの部屋で、パソコンの稼動音だけが響く。


「もし作者が正答を出すとしたら、生きていたら答えていたと思うか?」

「時効までは答えてくれたと思いますよ」

『時効?』

「ええ。僕の推測が正しければ、エピソード1が発表されたのが2007年? 詐欺行為は、民事ではそれが分かって3年、行為があって20年が時効で罪が消滅します。2027年以内か、漫画の最終話が発表された後から20年以内なら・・・多分答えてくれたと思います」

「そうか・・・」


緋緋色氏が天井を仰いで息を吐く。

画面の中でヒャッホイ氏が両手で頭を掻いていた。


「最後に聞かせてくれ。どうしてこの結論に辿り着いた? 普通ならこんな結論は思いつかないはずだ」


緋緋色氏が何かを覚悟したかのように僕を見つめる。


「・・・この作品のテーマが・・・愛だからです」

「愛がなければ見えないか?」

「ええ。だから、キャラクター全員のことを愛して考えました。なのに作中では、全員が殺し殺される。救いのない描写しかない。愛があるのなら、こんな結末にはならない。みんな生きていなければならない。だから僕は・・・盤をひっくり返したんですよ」

「チェス盤か?」

「はい。ただ、僕の対戦相手はベアトリーチェではなく、作者でした。どうしたら愛がテーマなのに死ぬのか? 殺すのか? 全員生きていないのか? そして・・・エピソード1のボトルメッセージに違和感を覚え、戦人が生きていた事で確信しました。殺人事件は起きていない。全員生きていたのだと」

「だけど、うさぎ氏のその考えだと・・・ベアトリーチェは・・・」

「はい・・・ベアトリーチェは存在していません。島にいたのはどんなに考えても18人。例え精神体だろうと霊体だろうと死体だろうと18人。錬金術師や魔女が入る余地は少しもない。ベアトリーチェは詐欺行為が空想の上で実体化しただけの存在です。もっと言うなら、現実で錬金術師という職自体が詐欺師の代名詞です。本来なら魔女として出せばよかったベアトリーチェをわざわざ錬金術師で出した理由を考えたとき、錬金術師が詐欺師と結びつきました」


また全員が沈黙した。

予想通り・・・2人とも、この答えに囚われた。

こうなってしまったら、今の僕のようにそれ以外に解答を出せなくなってしまう。

何故なら、全ての問題を、殺しや死の概念を無理やり説明できてしまうから。

そして、ヒャッホイ氏の身体が少し震えた。


『うわー・・・嫌な考えに辿り着いた』


顔を歪ませて僕を見る。

そう・・・この推測だと、必ずそこに辿り着く。


「俺もだ・・・。この作者は・・・最後まで謎を残すよな」


緋緋色氏も両手で顔を押さえている。


『ちょっと、俺から言う。続いて。

・・・

戦人は

・・・』


「・・・

本当に記憶を

・・・」


「・・・

失ったままなのか?

・・・」

竜騎士07さまへ

既に解答は締め切っていると思いますが、本文に書いた時効の不成立を持って、私から解答を提出します。

上記を持って、私は右代宮家全員を死亡保険金詐欺で断罪するとともに、次の言葉をあなたに送ります。


「魔法は、魔術は、錬金術は、存在していなかった!」


私には、右代宮家を罪人に落としたくないと思うだけの愛も、ベアトリーチェの存在を否定したくないと思える愛も、ありませんでした。


この話が竜騎士07さまの目に届く時があるのなら、解答をお願いいたします。

もし可能なら、終われなかった物語に終わりが来ることを願っています。

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