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人類はレベルとスキルを獲得出来ませんでした  作者: 妹尾真拓
ダンジョン排除地域編
154/198

説得の材料

大変申し訳ありませんが、とある作品に触れます。

文書の下の方に注意書きがありますので、そこから先に進むか否かはみなさまにお任せします。

僕にしては珍しく、移動の時に雨が降っている。

僕が何かをする時は、基本的に晴れの日が多い。

阿蘇のアタックでも雨になったことはなかった。


車は東京タワーの南にある病院で止まって、迎えの人が受付で何かを言うと、受付が頷いて鍵を出してきた。

それを持ってエレベーターに入り、地下に降りて鎌谷さんの部屋に入った。


「お待たせしました」


僕は大きな声で言ってから靴を脱ぐが、奥から反応がない。

てっきり鎌谷さんが来るかと思っていたが、話でもしているのだろうか?

そのまま前回案内されたリビングの扉を開けると、そこで待ち構えていた人たちの圧に圧倒された。


「あー、ごめんね瀬尾くん。迎えに行けなかった」


ソファーに鎌谷さんと西田師団長以外に、雨宮さんも座っている。

そして初めて会う人が、ゆっくりと立ち上がって僕に会釈した。


「紹介させて欲しい。こちらは東部方面部隊隊長の中込隊長だ」

「初めまして。これからよろしく頼むよ」

「は、はい。よろしくお願いします」


お辞儀をしてから握手をさせていただき、1人席に座るように指示されたので腰を下ろす。

この部屋には彼ら以外にも人がいて、しかも僕が一回も顔を見たことがない人たちだったので緊張して体が硬くなった。


「さて・・・瀬尾くんに訊きたいのだが、鎌谷を説得するとして、何か材料はあるのか?」


矢田師団長が手を組んで、何か祈るように僕を見る。


「あると言えばあります」

「それって、それを聞いたら俺が死んでも悔いはないって思えるようなこと?」

「鎌谷さん! 不謹慎だ!」

「はいはい」


目尻をあげて抗議する西田師団長に、鎌谷さんはどこか投げやりに手を振る。


・・・らしくない。


前回会ったときの彼とは別人のような気がする。

そう思えるぐらい、鎌谷さんの態度がトゲトゲしい。


僕が違和感を覚えて周囲の人に視線を送るが、誰一人として僕を見ようとしなかった。


「それで? 題材はなに? それだけでもまず教えてよ」

「え? ああ、前回ここに来た時、奥の部屋で見つけたから鎌谷さんもチャレンジしたんだろうなって思ったヤツです」

「チャレンジしたヤツ?」

「ええ、『なく頃に』シリーズですよ。アレの2作目のほぼ正答だと思うものを持ってます」


鎌谷さんが立ち上がって僕を見た。

そういう反応になるだろうなと思っていたけど、まさにその通りの反応をしてくれた。

ただ、想定外だったのは、その姿を見た雨宮さんが「うっ!」と言ってその場に蹲ってしまったことだ。


「雨宮さん! 大丈夫ですか?」


思わず駆け寄ろうとした僕を、彼女の隣にいた西田師団長が止めて彼女の背中をさする。


「どうなった・・・?」

「鎌を上げたわ・・・もう無理よ」

「そうか・・・」


小さい声で話す二人に近づこうとすると、僕の肩を誰かが掴んだ。


「近づかないでください。彼女は大丈夫ですから」


有無を言わせず僕の肩は引かれて、彼女たちから強制的に距離をあけられる。

そこの行動に、誰もなにも言わないため、おそらく正しい行動だったのだろう。

なので、僕もなにも言わずに椅子に座る。

少しだけ心配だったが、雨宮さんも弱々しくも顔を上げたので、ホッとした。


「一つ教えて欲しいのだが、それはそんなに興奮する事なのかな?」

「凄く興奮しますね」


鎌谷さんの隣に座っていた中込隊長が不思議そうに尋ねたので、答えようと思ったら鎌谷さんの方が早かった。


「特に俺たちみたいに原本を持っている奴らが聞いたら発狂レベルのものです。なんせ、作者が解答を放棄してあらゆる非難を受けても反応せず、ネット内でも真実は存在しないんじゃないか? って説があるぐらいです。その正答がある? あの物語の正答が? マジか? 俺を前に、それは冗談じゃ済まさないぞ」

「冗談でもなんでもありません。僕の解答で、全ての事象に答えることができたので、『ああ、これなんだろうな』って悟った・・・ですね。あと、作者が解答をしなかった理由も説明できますよ」

「マジかよ・・・マジかよ」


鎌谷さんがソファーに座り直すが、落ち着くことができないのか、貧乏ゆすりをしている。


「そうか・・・それほどか・・・。後悔は?」

「あるわけが無い。この場所でやりたい事を好きなようにやらせてもらえた。親友にできた。俺のことを気にかけてくれるやつもできた。満足です」

「分かった。この業務を最後に、君を天空大陸ムーの監視者から解任する。ご実家にも知らせるが・・・いいな?」

「もちろんです」


僕は嫌な予感がして眉間に皺を寄せた。

僕が鎌谷さんにこの事を話すことによって、鎌谷さんに何かが起きるような気がしてならない。


「何か・・・あるんですか?」

「あ? いや? 何もないよ。どうかしたのか?」

「いえ・・・明らかにおかしいでしょ? 僕は空気が読めない馬鹿じゃないですよ?」

「気にすんなよ。俺の出処進退の話だ」

「僕が説得することで迷惑がかかるんですか?」

「迷惑? いや? 元々、超広域認識阻害スキルホルダーを探せっていうのは上からの指示だ。瀬尾くんはそれに応えているだけだろ」


ダメだ。

この人の方が口が上手い。

僕じゃ本当のことを聞き出すことはできない。


他の人たちに目を向けても、全員が意志を持って口を閉じている。


「ささ、あっちに行こうぜ。こんな話、俺たちじゃないと興味もへったくれもないからな。中込隊長、退席してもよろしいでしょうか?」

「そのまま任務に就くつもりか?」

「はい」

「・・・分かった。私は瀬尾くんが出てくるまで待たせてもらおう」


鎌谷さんが、立ち上がって敬礼をし、僕の手を引いて、彼の趣味部屋兼仕事室に入った。



中に入るや否や、彼は凄まじい速度でその話の原本・・・というか、CDを棚から取り出してパソコンの近くに立て積みし、その後さらに漫画を持ってきて床から立て積みした。


「ヒャッホイ氏、そこにいるか?」

『いるよ。でも、本当か? うさぎ氏。アレは俺もチャレンジしたけど、もう何が何やらで混乱するだけの話だったぞ。はっきり言って、作者が重大なミスをして作品として成り立たなくなったという説が有力だと思っているぐらいだ』

「ヒャッホイ氏もチャレンジしたんですね。まあ、作者が解答を放棄してますから、本当の答えは分かりませんよ? でも、この答えなら、もし作者が生きていたのなら、僕は自信を持って尋ねていましたね」

「そんなに自信があるのか?」

「ええ。さっきも言いましたが、全ての設問に解答できました。ただ、この解答を思いついたので他の解答を想像できなくなったという弊害も生じましたので、もしもっと有力な解答があったら教えてください」


実際に、僕はこの解答を思いついて、その後も何度か他の解答ができないか考えてみたが、この解答が邪魔をして思いつくことができなかった。


「分かった。正しい答えかどうかは抜きとして、まずはうさぎ氏の答えを聞こうか。あの暴風雨に遭った孤島の殺人事件の真実を教えて欲しい」


緋緋色氏と僕は椅子に座り、互いに目を見る。


「あの孤島の真実は・・・



(大変申し訳ありませんが、あの作品のほぼ正解だと思われる解答を下に記載します。どこを探しても同じ解答はなかったため、見たくない、まだ自力で解きたいという方は見ないようにしてください。

また、この解答は僕の個人的な解答で、作者は正答を発表しておりません。

あくまで、私の勝手な解答になります。

それでもいいからのみ・・・下へ進んでください)








































・・・殺人事件ではなく死亡保険金詐欺事件です」

ここまで進まれた方へ

次回、全てを解説します。

すでに明かされている事はそのままに、密室も4つの財宝も。

他に全て説明できる解答があったら教えてください。

よろしくお願いします。

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