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人類はレベルとスキルを獲得出来ませんでした  作者: 妹尾真拓
阿蘇ダンジョン攻略編
103/197

スキルシステム

いいねをいつもありがとうございます。

この章はあと一つあります。

皆様が楽しめるよう頑張りますのでよろしくお願いします。

今回はスキルについての説明になります。

楽しんでいただければ幸いです。

分配の会議が終わって僕たちは会議室を出た。

誰が虹色魔石を持つかで松嶋さんたちが揉めていたが、松嶋さんが結局持つことになったらしい。

目がすごく震えている。


「館山さん・・・護衛を本当にお願いします」

「分かりましたよ」

「館山ぁ~。私たちの商売敵を助けて何になるか!」

「人類のためになるでしょ」

「ふんが!」


若原さんが色々言っていたが、何とか護衛をしてもらえるらしい。

魔石の金額については4社で話をして探索者組合に後日提示するそうだ。

・・・最低でも300億はするらしい。


それから僕は支部長に指示されて支部長室に入った。


「あれ?」

「待ってたわよ」

「よっ! 元気そうだな」


中には日野さんと鬼木さん、副支部長に鬼教官がいた。


「日野さん! その目は!」


日野さんの右目が黒いアイパッチで塞がれている。


「ん? ああ、時間があるときに話すよ」

「何もったいぶってるの。博多駅で久我山と戦って、目を取られたの。相手の指を何本か切り落としたらしいけど、相打ち? 私を呼べって言ってたのに」

「お前、バラすなよ。あの時は俺もあいつを見つけて頭に血がのぼったんだ。新幹線に乗りそうな雰囲気だったしよ」

「久我山って、アイズでしたっけ?」


確か、日野さんの恋人だった人を殺したやつだ。

そんな奴と戦ったなんて。


「あと二人いたからな・・・あいつらがいなければ、久我山の両足ぐらい切り飛ばせたと思うんだが・・・」


日野さんの左目が殺気を帯びて何もない空間を睨む。

その頭をバチーンと鬼木さんが強めに叩いた。


「いてーな!」

「こんな場所で殺気を出さないで」


日野さんと鬼木さんの言い合いが始まった。

仲のいいことでと思いながら支部長を待っていると、扉が開いて木下と城島さん、そして先ほどの警察の人と支部長が入ってきた。


「待たせたな」


支部長は自分の席に座り、他の人は思い思いの場所に座る。

流石にこの人数だとソファーの座る場所も足りなかったので、パイプ椅子が追加されていた。


「さて、色々話さなければならないことがあるが、まずみんな気になっていると思う事から進めよう。瀬尾・・・その右腕は何だ?」


皆んなの視線が僕の右腕に集まった。

まあ、確かに説明しないと分からないよな、これは。


「名前はエイジ。元々は生命力吸収のスキルなんですが、皆さんに秘密にしていたことが色々とあって、縄文杉の時に手に入れた進化の実を使用したらこの姿に変わりました。エイジ挨拶してくれ。ここにいる人たちは、僕を守ってくれる人たちだから」


右手の甲についた目がグルリと動いてみんなを確認する。


「主人の指示なら仕方なしだぜ。俺様はエイジ! 元々主人の右手に存在していたスキルだったが、新参者に住処を追われ、命からがら逃げ延びた場所でひっそりと暮らしてたところ、主人からお前が必要だ! って言われてよ。こうして舞い戻ってきたんだぜ! 皆さん、主人共々よろしくだぜ!」


自己紹介・・・なかなかユーモアに溢れているが、これは分からないだろ。


「えっとですね。元々、僕の右手は腕の半ばぐらいのところで切られていたんです。それを装備した際、腐敗防止というスキルが付いたんです。そのせいか分かりませんが、二つのスキルが一つのアイテムの中にいることができないみたいで・・・容量不足とかでエイジが僕の体の方に移動していたんですよ」

「・・・研究家の間で何度も議論されていたことだが、ダブルスキル以上がないのはそれが理由か」

「容量不足ですか。アイテムが保有している魔力の事でしょうか? それとも単純に入れ物の大きさでしょうか?」


警察の人と城島さんが呟く。

僕に直接聞いていないため、答える義務はないだろう。


「今回、以前から持っていた進化の実を使用した際、僕が使用しているスキルに色々働きかけてベルゼブブの籠手を吸収して右腕に戻り、僕の魔力を50%占有しているらしいです」


全員がザワザワし出した。


「瀬尾、ちょっといいか?」

「はい」

「これは・・・エイジくんに聞くべきことかもしれないが・・・スキルという存在はもしかして全て意思を持っているのか?」


支部長が手を口元で組んで聞いた。

・・・確かに聞きたい内容ではある。

でも、この場にいる人たち、特に鬼木さんはもう答えが分かっている質問だ。


「あるに決まってるだろ。でないとさ、気に入らない奴が持ち主とかになったりして最悪だぜ? そっちの炎の小僧みたいに独占することもできねーしよ。虫みたいな意思でもスキルは必ず持ってるぜ」


皆んな、自分の持っているアイテムや刺青に触れて確認する。


「あ、でもよ、適合性が20%ないと、普通のスキルは我儘言えないから安心してくれ。召喚系は15%あれば呼び出せるけどな」

「ちょっと待って。私の般若って以前使えなかった時があるんだけど、それは?」

「あ? あー、太って歪んだのか? ブホ! マジか! 確かにそれは嫌だよな!」


なんかエイジが勝手に喋り出した。


「エイジ?」

「あ、すまねえ、主人。そっちのスキルが色々教えてくれてよ」

「喋れるのか!?」

「喋れるの?」

「他のスキルと?」

「会話出来るのか!?」


ツッコミが色々な場所から入った。

流石に無視できず、エイジを前に出す。


「喋れるぜ。意思をしっかり持ってる奴限定だけどな。そっちの般若の姐さんは適合性30%あるからしっかり意思があるぜ。そっちのしぶちょーさんのは10%だ。そうなると会話は出来なくなる。相手も夢を見ているような感覚になるからな。因みに俺様が持ってる占有率50%になると、外界と話ができるようになる。最小値は主人が持っている腐敗防止が3%。アイテムだけにしか影響を与えないとそのくらいになるぜ」


僕と木下を除く全員が、頭を抱えたり目頭を摘んだり頬をつねったりして何とか考えをまとめようとしている。


「ん? 適合性と占有の差って何だ?」


日野さんが何かに気づいたように聞いてきた。


「適合性は土台だぜ。この数値が高くないと主人の魔力と同調しにくい。スキルも意思を強く持つことができずに眠ったような状態になる。中途半端に高いと我儘みたいに見える意思をしめすけどな。占有率は主人の魔力をどのくらい使えるかの数値だ。これが高いほどスキルを効率よく高威力で使えるぜ。あと、スキルが外界に影響を与える基準だ。今の俺様みたいにな。ただし、占有率は適合性を超えることはない。例外はあるが、主人に負担がもの凄くいく」

「両方とも高くないと、スキルを十分には使えないってことか」

「その通りだぜ、風使いの兄さん」

「その数値を後で上げ下げすることは出来るか?」

「基本的に出来ないぜ。特に適合性は上下出来るもんじゃない」

「そうか・・・」


日野さんがフーっと息を吐く。

同じように他に人も息を吐いた。

スキルが強くなるかもしれなかった可能性。

それをスキルが否定したことで、今の自分が上限なのだと受け入れているのだろう。


「まあ、そっちの小僧みたいにスキルが我儘言わなければ、占有率100%までアイテムを装備できるけどな」


追加で言ったエイジの言葉に、皆んながこっちを見た。


「つまり、自分の占有率を確認しながら装備を色々と試す必要があるということか。警察内部でもアイテムの調整が必要だな」

「自衛隊でも、この知識は共有するようにしましょう。衣類にもスキルは付きますから、最低3%というところで調整するしかないですね」


城島さんと警察の人が話をしている時に、僕の後ろで木下が不貞腐れていた。


「どうせ俺は他のアイテムを装備することができねーからな」


確かにその境遇には哀れみを感じるが、炎帝はそれだけで万能なので、それ以上を求めるのは贅沢だろ。


「炎の小僧の炎帝は、適合性70%、占有率30〜40%だろうぜ。どうせ他のアイテムが入り込めないように試行錯誤してたら自分の占有率のことを忘れてたって口だろう。ざま〜。あ? だってざま〜だろ。独占欲強すぎて、主人との会話ができねーんだからな。笑えるぜ。羨ましいか? 主人とお話しできる俺様が羨ましーんですかね〜」


説明していたエイジが、途中から煽り口調に変わった。

多分、炎帝と会話しているんだろうが、そんなに煽って大丈夫なのだろうか?

後日、ギャフンとかならないのだろうか?

・・・心配だ。

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― 新着の感想 ―
[一言] スキルそれぞれが意思を持ってるのは面白いですねぇ 新品大量に持ち運ぶより昔から大切に使ってきた物の方が適正や相性、能力などいいのついたりして エイジは吸収したモノをどっかにため込んでたり色々…
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