黒いメロン
「……改めて、お見舞いに来てくれてありがとうアマミさん。と、キド先輩」
「何かご期待に添えずごめんね、ミイラくん」
「アマミを困らせるなんてサイテーやな。人には気を使うもんやで、ミイラ」
「今、僕は人生史上最大級に弱っていると自己認識しているんですが、……そんな弱っている僕に対してキド先輩の気遣いや優しさがないことはよく分かりましたよ、まあ、もう良いですけど」
「そうかw」
「そういえばキド先輩、僕が入院した事って部長には伝えてくれたんですか?」
「ああ、まあ、いちような。でもミイラとの電話の感じやと大事なさそうやゆうことはゆうといたで。様子見も兼ねて代表でアマミと二人で来たんや」
「そうですか、すいません。後で僕からも部長に直接連絡しときます」
「その方が良いよミイラくん。部長、心配してたよ」
「了解、アマミさん」
その後、キド先輩とアマミさんがロケハンしてきた場所の話になり、アマミさんが撮影してきた写真片手に話をしていたが、面会時間も終わりに近づいた。
「ほな、切り上げるかアマミ」
「そうですね。じゃあ、ミイラくん。退院が正式に決まったら連絡して」
「了解しました」
「おおそうやった。アマノは先に行ってて」
そう言った後、キドが近づいてきた。
「なんですか先輩」
「ご所望の品や」
そういうと真っ黒いビニール袋を手渡される。
「えっ!!」
「ほしがってたやろ」
「えっ!?」
「メロンや」
その言葉に袋の中身を確認する。
……薄い本が入っていた。
この袋は大量に薄い本を取り扱っているメロンを売っていない本屋のものだった。
「ちょ!?」
また違うメロン(の本)を持ってきたキド。
「アンドロイド看護師ものや」
「よりにもよって!?」
「見つかったら……、どうなるんやろなw」
「持って帰れよ!!」
「おいおい素直になれよw」
「素直な感想だよ!!」
「またケンカですか、ミイラさんとそのご友人の方」
そう言って今一番会いたくないアンドロイド看護師が現れた。
「あっいやそうでは……」
「本当ですか? まあいいです。すいませんが、もう面会時間も終わりですので」
そう言ってキドに帰宅を迫る看護師。
「はい、分かりました。ほなな、ミイラ」
そう言ってキドは足早にアマノが待っているエレベータまで走る。
「ちょ、コレ!?」
「大事に使ってやぁ~」
腹立たしい位、今日一番の笑顔でキドがそう言った。
「つかえねぇよ」
そう小声でつぶやき、キド達に手を振って別れた。
貰った見舞いの品を自室に持ち帰る際、親切心からかアンドロイドが手伝うと言ってくれたが丁寧にお断りし、自分の手で自室に持ち帰り、袖机と食べ物は備え付けの冷蔵庫に詰め込む。
その後に携帯にてキド達や部長にお礼のメールした。
……ちょっと疲れた。
冷静に考える時間が出来ると改めて、キドの茶目っ気に殺意さえ覚えた。だが、わざわざ見舞いに来てくれたこともあって、あまり非難も出来ない。
ただ、仕返しは何か考えておこうと思いつつも目の端に黒い袋が入ってきた。
……ちょっと気になる。
のどを一度鳴らして、袋を引き寄せ、袋の中身を隙間からのぞき込むが、セロハンテープで袋の口を締められており、中身が見えない。
まあ、そうだよなと思いながら、テープを剥がし、袋の中身を手で掴み引き出そうとした時に……部屋のドアをノックされた。
「すいませんミイラさん、お夕食をお持ちしましたので、お部屋に入ってもよろしいでしょうか?」
アンドロイド看護師が声を掛けてきた。
「なんてタイミング!!」と思いながらも、急いで袋を元の袖机に戻し、平静を装い返事をする。
「どうぞ」
「入りますね」
そう言うとアンドロイドは夕食がのったトレーを持ってきた。
「こちら、夕食です。食欲はありますか、ミイラさん?」
「ええ、お腹は空いています」
「そうですか」
そう言うとアンドロイドはベッドテーブルを設置して、その上に食事を載せた。
その後、改めて、生体スキャンを掛けているようだった。
「むぅ~、ミイラさん。少し体温が上がっていますが、体調が悪いなら迷わずに呼んで下さいね」
それは不意打ちのようなアンドロイド看護師の登場に自分でも意識出来るくらいバクバク動く心臓のせいで体温ぐらい上がるだろうなとは思いつつも「分かりました」とは答えておく。
その後は病院食を食べつつ、普段のタンパク質過多の食事に思いを馳せながらも食事を終え、看護師を呼びトレーも返して、あれよと言う間に照明が暗くなり始め、就寝時間になった。
普段よりは2、3時間程早い消灯であり、今日はほぼ一日眠っていた為、そうそう寝付けそうになかった。
結局は携帯をいじっていたが、携帯のバッテリーもついには切れた。
「終わった……」
そう一人つぶやき、おとなしく眠ろうと目をつむるが時たま病室の窓から光が差し込んできた。
一度は我慢していたが、その後何度も室内に入ってくる光に耐えきれず「なんで今時、自動カーテンじゃないんだ。」と悪態を付きながら、窓際にあるカーテンを閉めに向かう。ついでに光源の正体を確認してやろうと思い窓の外を観察する。
外の道路があり、丁度、病院を避けるように道がカーブしている。車やバイクが病院を避けるように曲がる際にハイビームの光がこの病院の特徴的な湾曲した窓ガラスに反射してこの病室に入ってきているようだった。
カーテンを締めれば問題がないのかもしれないが正直建物としては設計ミスを疑うレベルではあるなぁ等と考えながら、カーテンに手を掛けた際、外から爆音を鳴らし、一台のバイクが近付いてきたので思わず目でバイクを追った。
闇に溶けるような黒い車体のスーパースポーツ型のバイクだった。
最初は搭乗者がいないのではないかとも思ったがその姿はすれ違った対向車のライトによって現れた。
それは……昨日出会い今も鮮明に覚えている真っ黒なフルフェイスの人物だった。
暫く朝の7時に投稿します。気になったチェックしてください。
面白いと思って頂けたら、嬉しいです。
道 バターを宜しくお願いします。
他にも作品をアップしています。
作者ページを見て頂くと、なんと!?すぐに見つかりますw