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方言との闘い その2

 仮眠から意識を取り戻したときに目の前にはバイザーに写った笑顔の顔文字があった。


「起きましたか、ミイラさん?」


 そう言ってアンドロイド看護師は揺すっていた僕の肩から手を離した。


「あぁ……、ええ、起きました」


「そうですか、では、警察の方が待合スペースでお待ちなのですが、歩いて行けそうですか? それともこちらに来てもらいましょうか?」


「行けます」


「そうですか、では、立ち上がって下さい」


 そう言って看護師は僕の介助をしてくれた。


「どうも」


「いえ、お仕事ですから」


 その後、病室を出て、手すりを頼りに待合スペースに向かう。

 待合スペースには明らかに違和感がありそうな二人組が備え付けの椅子に座っていた。

 一人は中年でぼさぼさ頭のスーツ姿の男、もう一人は顔にリベットが野球ボールの縫い目のように両側に対照的に打ち込まれている人型ロボットだ。こちらはトレンチコートを着ている。


 二人組は僕を見た後、ロボットの方がが中年男性に向かって頷くと、中年男性は立ち上がり僕に声を掛けてきた。


「はじめましてミイラさん。私は中央警察署の江垣エガキです」


 そう言うとエガキは手を差し伸べてきたので、思わずそれに応えて右手を差しだし、握手をした。


「どうも、ミイラです」


 手を離し、エガキは隣にいるロボットに目配せをする。


「ああ、こいつは相棒のルビアです」


 ロボットが立ち上がり、自己紹介をした。


「どうも、ミイラサン。ルビアと申します」


 そういってルビアは手を差し出してきた。

 エガキと握手を交わしたため、ルビアのそれにも応え、握手をした。


「……成る程」


 ルビアはそう言うと手を離した。


「なんでしょうか?」


 僕の問いにルビアは応えずエガキが言葉を発した。


「いえ、何も。とりあえずお座り下さい。体調も優れないと思われますので、早速本題にいきましょうか?」


 エガキの言葉を聞き、少し納得が行かないが言われたとおりに向かいの席に座る。


「昨日あったことをお聞きしたい。ミイラさんが見たことを正直にお話頂けませんでしょうか?」


「分かりました」


 そう答えた後、ソエギ女医に話した内容を憶測を加えずにあった事実だけを伝えた。


「成る程、ヘルメットを被った人物が警備ロボットは破壊し、逃亡したということですね」


「はい」


「声は聞きましたか? 性別などの特徴は?」


「声は聞いていません。服は真っ黒でしたので暗くて身体のシルエットまでははっきりとしませんでした。ただ、男物だったと思います。身長は160センチ位で小柄だったと思います」


「そうですか……、ちなみに友人の方で似たような体型の方はいますか?」


「そうですね……。たぶんいません」


「ちなみに、貴方に恨みを持っていそうな人いますか?」


「はあ、たぶんいないと思いますが? ぱっとは思い浮かびません」


「そうですか……、お聞きしている限りですと、ヘルメットの人物も、警備ロボットも加害者の可能性はありますね」


「すいませんが刑事さん。ロボットのカメラ映像とかはないんですか? 夜間に工事現場にロボットが居たのは工事現場の資材泥棒対策のためですよね?」


「それなんですが……、残っておらんのですよ。映像が……どうやら映像の送信機が破壊されていて、内蔵されていたデータも消えていまして」


「そうなんですね、でも街のそこらじゅうにカメラがあるでしょ? 逃げた人物の映像はないんですか?」


「その一環でミイラさんに話を聞いて、モンタージュ写真を作ろうと思ってたんですがねぇ、まあ、バイクに乗って逃走したのであれば、服装の特徴もあるのである程度、犯人の『男』も絞れるでしょう」


「エガキ警部、まだ男とは判断できません。身長の面から見ても女の可能性は十分にあります」


「だが、鉄パイプでロボットの頭をねじ切るんだそ?」


「アンドロイドの可能性もあります。この際、性別は決めつけない方が良いかと」


「そうだな。……それではミイラさん、本日はご協力ありがとうございました。何か他にも思い出したことがあればこちらに連絡下さい」


 そういってエガキ警部は名刺を差し出した。僕は名刺を受け取り生返事をした。


「はあ」


「まだ犯人の目的が分かっていません。くれぐれも用心して下さい。何かあれば警察を呼ぶように、では、これで失礼します」


 そう言い残し刑事二人は病院を後にした。

 その二つの背中を見送り、緊張した空気からの開放感から「ふぅー」と息を吐いたとき、「見てたで」と後方から声が聞こえた。……案の定、キドであった。


「なんですか、先輩。居るなら、声を掛けて下さいよ」


「いや、取材するゆうたやん」


「そうですけど、なんだかなあ」


 キドは先ほどまで刑事達が座っていた席に座る。そして、その隣にもう一人の人物が座った。


「大変だったね、ミイラくん」


「お気遣いありがとう、アマミさん」


 そう返答したのは天海雪アマミユキさん。同期の女性だ。

 メイクと大道具担当で結構本格的な衣装を作ったりするが、彼女自身はあまり凝った格好はしないようだ。

 メガネを掛けていて痩せていて、第一印象も地味な感じだった。今日も白と黒のモノトーンコーデの服を着ている。

 ちなみにキドの服はごりごりのオタクといった感じだ。恰幅が良く、今日もギンガムチェックのシャツを着ていた。ある意味、分かり易い。


「体調はどうなの? 頭殴られたんでしょう?」


「とりあえず大丈夫かな、まだ首は痛いけど」


「そっかぁ、しばらく入院しないといけないの?」


「それは大丈夫。問題がなければ明日、退院出来そうだって」


「そうなの? それは良かった」


「なんや明日には退院かいな」


「キド先輩、そんなこと言わない」


 アマミさんは人ができているのでこんな感じにキド先輩を諫めてくれる。


「まあでも、そんなに症状が重い訳ではないので、直ぐにサークルにも復帰しますね」


「まあ、あまり無理しないでね。ミイラ君」


「復帰祝いに飲みに行かななあ」


「そうですね。でも昨日の飲みに行った後に暴漢にあったので、ちょっと怖いですけどね」


「まあまあ、そんななんども暴漢には会わんって」


 僕は苦笑いをしながら、「そうだといいですけど……」と答えた。


 やや気まずい雰囲気を察してか、アマミが持参した紙袋をテーブルに置き僕の方に差し出してくる。


「そう言えばまだ渡してなかったねお見舞いの品、どうぞ」


「ホント? ありがとうございます。何だろ??」


 そう言いながら、キドの顔を見るがキドはすこぶる澄ました顔をしていた。


「おお、メロン……のカタチのパン、メロンの容器のアイス、メロンの匂いがする消しゴム、メロン味のキャンディ、メロンソーダ、メロン味の歯磨き粉、メロン色したハブラシ」


「メロンが好きって、キド先輩から聞いたから」


「……こんだけメロンだと逆にメロンが嫌いになりそうですけどね、で本物は?」


 僕は鋭い視線でキドを見ながら言う。


「なにがあ?」


「リアルメロンは?」


「そんなもんこんな時期にあるかいな、6~8月が収穫時期やで」


「いや、なら今がその旬の時期でしょ? なくてもハウス栽培のがあるでしょ、ハウス栽培のが!!」


「この国には四季があるんや、旬に逆ろうたらあかん」


「持ってきた物のどこに旬があるんですか!! というか、絶対に買えたでしょ、メロン」


「あれ? 話違った、ミイラくん」


「ああ、すいませんアマミさん。先輩に『フルーツの』メロンを頼んだんですが、ま・さ・か・の・この体たらくで」


「約束なんかしてないやろ、知らんけど」


「あんだけお願いしたら空気読んで持ってくるでしょ、普通」


「普通ってえらい曖昧やね」


「いきなり二人がケンカしだした」


 いきなり喧嘩し出した僕とキドにアマミはオロオロしていたが、その場に仲裁が入る。


「すいませんがここは病院ですので、お静かに」


 そう言って、アンドロイド看護師が注意を促してきた。


その言葉に「「すいません」」と僕とキドは同時に答えた。


「お願いしますね」


 優しい声音でそう言うとアンドロイドはその場を去っていった。

暫く朝の7時に投稿します。気になったチェックしてください。


面白いと思って頂けたら、嬉しいです。


道 バターを宜しくお願いします。


他にも作品をアップしています。


作者ページを見て頂くと、なんと!?すぐに見つかりますw

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