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方言との闘い

 その発言を聞き、僕はややあきれた顔で女医を見て言う。


「ここまで話させといてそういうことを言うんですね貴方は」


「だって、ミイラさんとは今日会ったばかりですしね。とんでもない嘘つきだという可能性もありますし、頭部を強く打っていますので記憶が曖昧なのかもしれませんし」


 先ほどまでとは違う女医の冷静さにやや面を食らいつつ、こちらもやや息を吐きこぼす。


「はぁ、そうですか……、まあそうですね。でも医者なら患者が嘘をついている位は分かるんじゃないですか?」


 女医は僕の言葉に反応し身体の前でブンブンと片手を振る。


「そんなぁ……、私の専門は外科ですよ。精神科医ではありませんので、そいった精神や心理の分野に明るい訳ではありません。ですがアドバイスをするのであれば、事情聴取の際はありのままにお話されることをオススメします」


「そうですか……まあ、僕にそう言うのであれば僕の症状に関して、特に頭の状態に関して、警察にちゃんと説明して下さいね先生」


「……そうですね。そうします。ではしばらく安静にして下さい。明日、再度検査をして、何もなければ昼には退院して下さい。ではお大事に」


 そういう女医がモニターから消え、看護師の声で「リンク切断」という声と共に看護師のアンドロイドは意識を取り戻した。


「ではミイラさん、1日入院になります。何かあればナースコールを押して下さいね。警察の方が来られた際はこちらからも連絡しますね」


 そう言い残して、看護師も部屋を出ていった。


 また、一人の時間になったため、手持ちぶたさに携帯を見た時に着信が入った。相手はバイオハザードマークの人物、所属している映画研究会の鬼怒キド先輩だ。


 正直、電話に出たくはないが出なかったら出なかったで更に状況が悪化する事態にしか想像出来ないため、しぶしぶと通話ボタンを押す。


「やっと電話出たな、ミイラ!! あほかお前は!!」


 開口一番ひどい言われようだ。


「すいませんキド先輩」


「何やってんねんよ!! 昨日話ししたやろ、今日はロケハンするって、お陰さんで一人でやってるわ、ほんま」


「すいません。……実は」


 話も最後まで聞かずにキドが話す。


「どうしたんや? 寝坊か?」


「……だったらよかったんですが、そのぉ~」


「なんやはっきりせいや!!」


「……でも言っても先輩は信じてくれない気がするしなぁ~」


「まどろっこしいこと言うやっちゃなぁ~、聞いたるからはよ言えや!!」


「そうですか、実は暴漢に襲われて入院しています」


「へぇ!?」


「でも、明日には退院出来そうなんですが、これから警察の事情聴取もあるので、今日は外出出来ません」


「嘘やろ?」


「ほら言った。信じてない」


「いやそういう意味やなくて、驚いてちょっというてもうただけですやん。……マジで入院してんのん?」


「そうですね」


「警察の事情聴取も?」


「ホントみたいです」


「おいおいおい、めっちゃ良い取材になるやないか。どこおんねやお前?」


「……なんか映画の取材のネタにされる雰囲気があってなんだか嫌ですよ、場所言うの」


「ちゃうがな、見舞いやがな。一緒におるお前の同期も連れて行くしな」


「さっき一人って言ったじゃないですか先輩」


「……そんなんゆうてへんよ」


「言ってましたよ。嘘つきだな」


「そんなんどうでもええねん、だからどこにおんねや?」


 キドにしつこく聞かれ、しぶしぶ位置情報をキドに送った。


「わかったわかった。だいだい1時間もせんうちに着けそうやわ」


「そうですか」


「入院の差し入れの定番位は持って行ったるわ」


「ありがとうございます、メロン」


「持って行くかそんなもん……ヒントは最初に『ビ』がつく」


「いらないですよ。えっちな本(正確にはビニボン)なんて、むしろ、そんな言い方、最近の子はしないですから、メロン」


「わざわざ二回も語尾にメロンつけるな!!」


「…。」


「なんか言えや!! まあ、フルーツは持ってったる」


「ありがとうございます、いやぁ~言ってみるもんだな」


「そうかぁ~? まあええわ、ほあな、また後で」


 そう言ってキド先輩は電話を切った。


 携帯を見ると目が覚めてから1時間位経過し、約束すっぽかしの件も済んだと意識した瞬間『ぐぅ~~』と腹が鳴った。

 先輩が来るにしてもまだ時間が掛かるため、ベットから立ち上がり、用意されていたサンダルを履き、病室から出てみた。


 窓がない中廊下を備え付けられた手すりを頼りに歩き、エレベーターホールを目指す。


 たまたま見つけたトイレで用をたした後、エレベーターホールに到着し、案内板とフロア図を見、売店を探した。



 なんとか軽食のパンと飲み物を売店で買い、現在は日が射し込む、病室のあるフロアに併設された待合いコーナーでパンをかじりながら、携帯片手に昨夜の(僕の)事件の記事がないか探す。


 ……今のところ、記事はないようだが、ロボットによる人への傷害事件や破壊されたロボットの器物破損事件がここ数ヶ月で増えているような気がする。


 昨日自身に起きた事件を振り返り、女医と話した内容を思い出すに不穏な事件が目に見えていなかった範囲で起き続けているのだと自覚した。


 とは言え、空腹から急にメシを喰ったためか、やや眠気に襲われる。いそいそとパンの袋を近くにあったゴミ箱に捨て、手すりを頼りに病室に戻り、やっとの思いでベットに横になり仮眠をとった。

暫く朝の7時に投稿します。気になったチェックしてください。


面白いと思って頂けたら、嬉しいです。


道 バターを宜しくお願いします。


他にも作品をアップしています。


作者ページを見て頂くと、なんと!?すぐに見つかりますw

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