第七話 訓練所での特訓
10/23 内容リメイク
◇ ◇ ファストクラフトの街 訓練所 ◇ ◇
中には誰も居ない。
ここが訓練所ね。
いろいろな機材が置かれてるけど・・・・・・
「なんで誰も居ないの?」
「プライベートモードで入ったからね。プライベートモードで入れば冒険者達が居ないから待ち時間が無くなるしね。これぞプレイヤー特権だよ」
なるほどね。
NPCはプライベートモードとか使えないから普通は沢山人が居て待ち時間とかあるわけだね。
これは便利だ。
「プレイヤーとはこういう事も出来るんでござるな。ガラガラの訓練所なんて初めて見でござるよ」
「プレイヤーじゃ無くても名の知れた冒険者はスタッフに頼めばプライベートモードの訓練所に行けるんだけどね。それをするには流石に今のオボロちゃんじゃ厳しいかな?」
あ、別にプレイヤーだけが使えるわけじゃ無いんだね。
でも、特定の条件を達成しなくても使えるのはかなり便利だよね。
「ちなみにさっき言ってた試練はプライベートモードを使用中にスタッフルームの扉を開けば挑戦できるよ」
「部外者なのにスタッフルームに入ろうとするのはどうなんでござるか?」
「別におかしくないよ。プライベートモード中にスタッフさんが部屋に入ろうとして発覚した試練だからね。知ってて入る分には問題無いでしょ」
ああ、別にダイアルが見つけたわけじゃ無いのね。
知ってて入る分には何も問題無いね。
「あ、そうそう間違っても入らないようにね。死ぬまで出られないから。生き返るとはいえ覚悟してないと辛いよ」
普通に殺されるんだ。
生き返るから問題無いってことなんだね。
痛覚関係はそのままのゲームだから死ぬのは厳しいものがあるよ。
有料で痛覚を数割シャットアウト出来る機能があるけどね。
私は使わないけど。現実感無くなるし・・・・・
私は何か内側には入れそうな機械の前にたった。
何なんだろうかこれは・・・・・・
「これはバーチャルシミュレーション装置だ。本格的な戦闘体験が出来る装置だな」
ここがバーチャルの世界なのにさらにバーチャル設備があるのか。
まあここの住民にとってはこの世界は仮想世界じゃないから当然か。
普通の人達にとってはここは仮想世界だしね。
「シミュレーション戦闘を始める前に武器を選ぼうか。ちなみにボクはこういうのだ」
ダイアルは鎖の先に剣が付いたものをぶんぶんと振りまわしていた。
鎖鎌ならぬ鎖剣ってところかな?
さらっと後ろに隠してるけどモウ片方の先端にも剣が付いてる。
場合によってはこれで不意打ちとかもするんだろうね。
ダイアルが的を先端の剣で攻撃する。
ビシバシと的確に素早く攻撃されてる。
これ、避けるの難しいだろうね。
それだけ習熟するくらい使い込んだってことなんだろう。
扱うの明らかに難しそうだしね。
「凄まじいくらい扱いづらそうな武器をよくここまで使えるでござるな」
「まだまだ発展余地は残されてるけどね。そのためにももっと試練を乗り越えて適性引き上げていかないと」
結構凄そうに見えたけどまだまだ発展余地があるんだね。
一体どういう風に発展させるつもりなんだろうか?
魔法とかで更に数を増やして自由自在に動かすとかかな?
今は全部魔法無しの技術でやってるみたいだしその適性を手に入れて数を増やせば凄いことになりそうだよね。
私もこういうの目指してみようかな。
でもまずは使う武器を決めないとね。
とりあえず色んな武器を試しに振るってみよう。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
しばらく色んな武器を振ってみて一番いいなと感じたのはシンプルに剣だった。
冒険とかで色々と使えるしね。
これが一番良いと感じたんだろう。
「武器は決まったんでござるか?」
「決まったよ。剣にすることにした」
「無難でござるな。下手に尖った武器を使うよりもその方がいいでござるよ」
確かにね。
ダイアルの使ってる鎖剣なんて尖った武器過ぎるしね。
尖りすぎとも言えるけど。
「ところでオボロさんの武器は何なの?」
「拙者は刀でござる。今は街の規則で帯刀してないでござるがな」
あ~確か町中で武器をすぐに出せる状態で所持するのは駄目なんだっけ。
でもだとすると・・・・・・
「何処にしまってるの?」
確かストレージはクラフターしか使えないんじゃ無かったっけ?
だからアイテムを収納できるのはクラフターだけだった気がする。
「クラフターと違って冒険者はインベントリが使えるでござるからな。どの辺が違うのかはさっぱり分からないでござるが物を収納できるという点では同じでござる」
そういえばゲームとかのアイテムを入れる所の名前はインベントリだったよね。
なんでクラフターはストレージって名称なんだろうね。
・・・・・・ここで考えても分からないか。
今度調べてみることにしよう。
もしかしたらシャウラが何か知っているかも知れないしね。
そんなことを考えているといつの間にかシミュレーション設備に入っていたのかダイアルが出てきた。
対して疲れた様子も見せてないね。
余り難易度が高くないのかな?
「舐めプで挑んだけどやっぱりこの程度のシミュレーションじゃもう歯ごたえ無いね」
「それの最高難易度で遊び半分でクリアできるんでござるか? クラフターなのに凄まじい強さでござるな」
オボロさんの反応から結構難易度は高いみたいだ。
クラフターでクリアできるって・・・・・・
「あ、適正値を今のに合わせてないからでござるな」
「いや、今のに合わせてそれだよ。そもそも使ってる技能は全部適正値50%超えてるしね」
もはや冒険者と変わらない適正値まで引き上げてたんだね。
それも複数の適性を・・・・・・
「凄まじい適正値でござるな」
「高難易度試練を沢山挑んでいる内にこうなった。クラフターでここまでの適正値をいくつも持っている人なんてそうそう居ないでしょ」
普通は10~20%にしてじわじわと適正値を上げていくからとのことらしい。
ダイアルは一個を50%まで引き上げたら次ってやっている内に増えていったとのこと。
つまりダイアルも最初は剣で戦っていたってことなんだね。
「ダイアルって凄いんだね」
「そうだよ。ボクは凄いんだよ」
「でもなんで50%で止めるの?」
そこが気になるんだよね。
冒険者と同じなら60%まで行けば良いしね。
「丁度半分だから切りが良いからねそれにこれ以上は適性値稼ぎ効率が悪いから50%過ぎたら別のをあげた方が良いでしょ。他の適性値を上げることで出来ることは山程あるしね」
確かに、冒険者より少し劣るとはいえほぼ同じだしね。
それだけあるなら出来ることを増やしていった方が良いか。
その後から引き上げても遅くは無いだろうしね。
「それと、適性値は揃えた方が良い。適性値上昇ごとに扱いが狂うからね」
あ~いきなり今までの感覚が通用しなくなって狂っていく訳ね。
適正値を揃えれば大きく狂わないで済むからその方が良いってことか。
意外と奥が深いんだね。
「よし、それじゃあ私も試練突破を目指してシミュレーションで戦ってみようか」
いざ勝負・・・・・・・
数分後私は敗北してシミュレーション設備から出てきた。
「お帰り。どうだった?」
「何か強くない?」
私の動きより遙かに速い兎がビュンビュン動き回ってたんだけど・・・・・・
あれが低ランクのモンスターの動きなの?
「なんかモンスターの設定おかしくないでござるか?」
「最初の試練と同等のレベルのモンスターだよ。そこそこ強めだからこれに勝てないと試練突破は無理だよ」
断言された。
なら技術力を高めて倒せるようになるまで特訓するしか無いよね。
よし、明日からここに通おう。
午前中は錬金術を、午後からは訓練所でモンスターを倒す訓練を行っていこう。
これを乗り越えたとき初めて冒険に出られる。
そうと決まれば・・・・・・
「もう一度再戦だ!」
「負けたばかりなのに!?」
「ボクに負けず劣らずの打たれ強さだね。遠くない未来に最初の難関を突破できそうだ」
私は二人に驚かれつつもシミュレーションで再戦し再び敗北した。
いつか必ずあのモンスターに勝つ!
ダイアル「ちなみに最初に受けられる試練は地味に難易度高めなんだよ。なにせ適性無しでも出来る試練だからモンスターのレベル高いからね。といっても下級試練には違いないから戦闘能力が高ければそこまで苦労はしないけどね」