第六十六話 陽光纏・フェーズ1
◇ ◇ Sideオボロ 幻想迷宮 ◇ ◇
ホムラちゃんがやってきた冷凍睡眠ポッドを整理している。
この一件が終わるまで街の人達はここで眠ることになるから、ちゃんとしておかないといけないからね。
ちなみに、冷凍睡眠を維持するエネルギーは迷宮から徴収しているらしい。
なんでも、迷宮の構造を作り替えるエネルギーを奪っているとか何とか・・・・・・
迷宮作ったメタトロンもこうも簡単に利用されたら腹立つだろうね。
それで攻めてきてくれれば楽なんだけど、典型的な戦闘者みたいに馬鹿じゃ無いだろうからやるわけないよね。
ホムラちゃんは色々やっているし、私は私で動こう。
なんか、子ホムラちゃんが陽光の力鍛えてる感じがするからホムラちゃんも生産だけをやっているわけじゃ無いみたいだしね。
全部の子ホムラちゃんでバックアップする程の作業じゃ無いんだろう。
にしても、今までこのフィードバック受け取ってた気が付いてなかったんだなって思ってしまう。
でも、無意識にフィードバック受け取ってた経験が【陽光一閃】を産み出したって事なんだろうね。
多分、それがなければ出来なかった気がする。
【閃陽斬】もそのうち身につけたいところだけどね。
多分、私が覚えたらホムラちゃんも使えるようになるんだろうけどね。
というか、多分自分に合ってないから使わないだけで【陽光一閃】もホムラちゃんはその気になれば使える気がする。
折角だし、フィードバックを利用して【閃陽斬】の習得をして見ようか。
まずは陽光の力を自在に出力するところからだね。
イメージはビュウスさんの部分的な風槍の鎧だ。
手のひらに陽光の力を纏わせる。
上手い具合に出力出来ている。
子ホムラちゃんのフィードバックが効いている感じだね。
この調子なら陽光の力を自在に出力させることも操遠い未来の話では無いかもしれない。
・・・・・・でも、なんか子ホムラちゃんのフィードバックがなんかおかしい気がする。
なんか、陽光の力を文字通り纏わせているみたいな・・・・・・
出力した結果纏ってる感じでは無く、纏うことを目的にしているみたいな感じがする。
あ!? もしかして、陽光纏をやろうとしてたりするのかな。
だとしたら、私の練習もそれと似てる感じに引っ張られちゃってるかもしれない。
う~ん、子ホムラちゃんの数が数だからフィードバックで引っ張られるのも難点だよね。
でも、私一人よりかは素早く成長するから使わないのも考え物・・・・・・
まてよ?
そういえば、ビュウスさんの鎧って全身鎧で一部しか展開していないって話だったよね?
陽光纏も一部だけを纏わせるというのもありなんじゃ無いかな?
よし、設計を考えよう。
以前見かけた本に出てくる精霊の力を身に纏う主人公を参考にして見ようか。
四分割にする。
最初は腕だけ。肩まででそれ以外は纏わない。
その次が体。頭以外の上半身は陽光纏いされる形だね。
次が足まで。この地点で頭以外は全身身に纏っている。
最後が頭を身に纏う。これで完全体ってところだね。通常の陽光纏いだ。
子ホムラちゃんのフィードバックを参考にして組めば、四分割の最初であるフェーズ1はすぐに行けそうだ。
武技はイメージ、武技とは違うけど似たような方法で出来ないこともない。
イメージするんだ。
文字通り両腕に陽光の力を纏わせる。
片腕だと不安定になるから両腕に、左右対称に展開する。
陽光の力が纏われて腕の色が太陽のように変わる。
熱を持つけど服は燃えない。
熱を与える対象は選ぶ特別な熱だから。
燃やしたい対象だけを燃やす火であり熱だ。
陽光の力を纏いて太陽の腕を手に入れる。
その力の名前は・・・・・・
「【陽光纏・フェーズ1】」
「え!?」
部分的にだけど、陽光の力を纏って・・・・・・あれ?
陽光の力がすぐに消えて・・・・・・
あれ?
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
目が覚めるとビュウスさんが居た。
いつの間にか戻ってきていたみたいだ。
周りを見渡すと、結構時間が経っていたみたいで冷凍睡眠ポッドが増えていた。
これは、いつの間にか気絶していたみたいだね。
「目が覚めたか?」
「拙者は・・・・・・何故気絶していたんでござるか?」
「覚えてないのか? まあ、陽光の力を改良したんだ。それ相応の負荷は掛かるだろう」
陽光の力を改良?
あ、思い出した。
「思い出したでござる。【陽光纏】を一部だけ使えるように改良したんでござる」
「俺の【風槍の鎧】を参考にしたとは言えよくたどり着けたものだ。何をモデルにしたかは分からないが、明確なイメージが無いと出来ないだろう。俺だって部分展開くらいは考えたのに出来なかったんだぞ?」
そうなんだ。
でも、一度展開したから何となく分かる。
私は完全系を意識していた。それを四分割にして段階を定めた。
多分ビュウスさんはそれをしてなかったんだろうね。
私のイメージしたモデルが良かったって所だろう。
気づけていたらビュウスさんも出来ていた気がする。
「シャウラからお前の陽光の力を増幅させろと言われた。完成させたとはいえ今のお前がそれを使えばすぐに倒れる。振るうんじゃなくて維持するだけで凄まじい消耗みたいだからな」
維持するだけで凄まじい消耗って、それは使えないも同然でしょ。
使う事に意味があるのに、維持で精一杯だと動けないじゃん。
それじゃあ意味がなさ過ぎるよ。
完成させても使えないんじゃあね。
「ビュウス殿は使えないんでござるか?」
「お前の【陽光纏い・フェーズ1】のことか? 使えるが、俺の場合はフェーズ1は使えたところで意味が無い」
あ、そうか。
ビュウスさんには【風槍の鎧】があるからね。
完全展開出来るならフェーズ1程度は意味が無いんだろうね。
どっちも陽光の力を纏っているのは変わりないし。
「そして、上のフェーズはお前が作り出した技術と言うこともあって、お前が到達するまでは使えない。仮にイメージ元を教えて、どういう仕組みなのか懇切丁寧に教えて貰っても無理だ」
「なんでなんでござるか?」
「単純な話だ。産みだした本人にしか作りあげることは出来ない。特に【陽光纏】は俺達が色々やってもたどり着けなかったことだからな。無意識下で使えるように最適化しているんだろう」
無意識下で最適化ね。
でも、確かに言われてみれば・・・・・・禄に【陽光纏】について理解出来てないのに四分割で最適化出来てる。
多分、ホムラちゃんがやったフィードバックする腕輪とも関係しているんだろうね。
「ホムラ殿は【陽光纏】を元々・・・・・・」
「使えたよ。今は使えないけどね」
やっぱり。
ホムラちゃんのフィードバックがあってこそ出来たことなんだろうね。
「ってことは、やっぱりその腕輪が原因か。元々体質が似てるからその影響もあるんだろうな。ますます、お前以外では再現出来ない代物だよ」
体質が似てる?
ああ、ホムラちゃんも確かに体痛むって聞いたことあるからね。
似ているといえば似ているんだろう。
「ホムラ殿が、力を取り戻す可能性は・・・・・・」
「ホムラは力を取り戻さないと記憶が戻らないんだ。だから、記憶を取り戻せば力を取り戻す可能性を考えるのはやめておけ」
力を取り戻さないと記憶が戻らないんだ。
ビュウスさんはホムラちゃんのことを良く理解しているし、実際そうなんだろうね。
ある意味、私がホムラちゃんの復活の鍵を握る形になっちゃってるんだろう。
だからこそ、私が強くなることに協力してくれている感じなんだろうね。
「・・・・・・ホムラ殿について教えて貰っても良いでござるか?」
「ホムラが居ないところでな。ここだとどう足掻いてもホムラに聞こえるから」
ああ、今は記憶をむやみに思い出させるのは御法度らしいからね。
とりあえず、陽光の力を学んで強くなって、この一件を終わらせよう。
フレイフィル「【陽光纏】って難易度高いよね。どうにかして難易度下げたいけど・・・・・・どうしたら良いんだろう」




