第六十三話 幻想の書の呪文
◇ ◇ 幻想迷宮 ◇ ◇
さて、本契約したことで出来るようになったことを見ていこう。
まず、呪文が増えた。
【ブイフト】、【ブイスラン】、【ブイスブレ】、【ブイシル】の炎系の呪文。
そして【スラスリィ】、【スラシィグ】、【スラシィガ】、【スラシィル】、【パリガァス】の剣系呪文だ。
一気に増えすぎでしょ。
把握しきれないよ。
しかも、剣系なのに【パリガァス】はなんか法則から外れている気がする。
【スラ】が剣を示すものだと思ってたけど違うのかな?
《とりあえず、今は所持しているスキルの単体呪文だけを解放したよ。一気に増えすぎると混乱するだろうからね》
《まだ増えるの!?》
《【ブイ・スラシァ】とか炎の剣を振りまわす呪文とか出てくるからね。召喚系は契約している契約獣なんかが居ないから増えなかったしね》
スキルが複合した呪文なんかもあるわけね。
一気に十一種類もの呪文を得たから相当ややこしくなってるからね。
増えた呪文の頭に【ブイ】がついて炎が宿るだけじゃ無いんだろうね。
的確に呪文の詳細を確認していった方が良さそうだ。
《ところで、製作系の呪文は無いの?》
《新たなスキルを習得しないことには出てこないね。まあ、幻想の書が特殊な契約手段になってるから馴染むのに時間掛かってるからすぐにスキル習得するって訳にも行かないけどね》
そう簡単にはいかないか。
なんか、妙なことになって契約が早く済んだとか言ってたもんね。
《仕方ない。それなら、優先的に適性の縛りを緩める準備をしてて。一気に切り替えられるように万全にね》
《分かった、最優先で適性の縛りを緩める準備をしておくね》
とりあえず、幻想の書の確認は終わった。
試作に入ろうとソニスと相談したら、適性の縛りを緩められる準備が一つしか済んでいなかったから改めて確認したんだけどね。
幻想の書の力でなにかを作れれば適性を無視出来たんだろうけど、そう簡単にはいかないよね。
「さて、それじゃあ試作を始めようか」
迷宮の構造変化を停止させ、敵対者がこの場所に近づけないようにする錬金道具。
それが壊れる理由は連続でダメージを与えられるからだ。
これをどうにかするにはダメージに耐えられる錬金道具を作るしか無いけど、それは無理だった。
だから随時修理していく感じにしてあったんだよ。
でも、シャウラの言葉で完全に見落としていたことに気が付いた。
一発で壊れるわけじゃ無いなら錬金道具に掛かるダメージを引き受ける錬金道具を別に作れば良い。
ダメージは時間をかければ修復する仕組み自体は既に出来上がっているんだ。
再生が間に合うレベルまで衝撃を分散出来るようにすれば良い。
今の私なら、衝撃を分散させることは簡単だ。
最も、一撃で破壊する程のダメージを叩き込まれたら一度は錬金道具を経由する以上ぶっ壊されてしまうけどね。
そうで無いならどうにでもなるんだ。
断続的に叩き込まれるダメージを無力化するならダメージを引き受ける錬金道具を大量に作れば良い。
それの修復速度が一撃で破壊されるダメージを上回れば断続的なダメージで破壊されることは決して無い。
設計した感じだと十個くらい用意すれば、一撃で破壊されない限りは耐え続ける代物になりそうだ。
エネルギーは迷宮から奪ってるから何個作ってもエネルギー問題は無いしね。
ちなみに、メタトロンがエネルギー断つことはない。
迷宮を維持するエネルギーラインから奪ってるからね。
エネルギーを断ったらそこから強制的に迷宮を砕けてしまうからそんなことはしないはずだ。
とりあえず、本格的な代物を作る為に設計を・・・・・・と思って気が付いたことがある。
これ、適性上げなくても出来るんじゃ無いかってね。
迷宮に直接繋がる錬金道具と同期させる際には必要かも知れないけど、物自体を作るのに必要は無い気がする。
「思いついたら吉日。やってみようか」
そして、そのまま作ってみたら出来た。
小ホムラのバックアップありきなら適性10程度でも作れないことも無いね。
よし、このまま一気に全部仕上げてしまおうか。
そして十個完成させた。
ソニスに頼んで適性の縛りを解放して錬金道具に繋げてようやく破壊されることは無くなった。
よし、これで大丈夫かな。
「完成したの?」
「バッチリ完成したよ。もうこれで壊れることは無い」
「それは良かったよ。とりあえず、ボクは見張りやっておくから堕兎みたいに休んでおけば」
「堕兎って酷いあだ名だね」
どうやらトリューとコクウは相当関係が悪いみたいだ。
堕兎って酷い悪口だね。
相当毛嫌いして居るみたいだ。
そんな関係でも、ちゃんと何もせずに見張りはちゃんとしているらしい。
背中を預けるときには預けるとかいうそんな関係かな?
「いや、寝る前にちょっと確認してみたいことがあるんだ」
とりあえず、暇が出来たし手に入れた手札の確認だけでもしておこう。
まずは・・・・・・
「【ブイフト】」
火の玉が手のひらから飛んで行く。
そして着弾地点が燃え上がる。
ファイヤーボールって感じかな?
火の呪文の初級ってところかな?
「お次は・・・・・・【ブイスラン】」
火の槍が腕の近くに形成されて飛んで・・・・・・行かない。
なんでだろうと腕を振ると飛んでいく。
速度は腕を振った速度に比例している感じだ。
着弾すると【ブイフト】以上に燃え上がる。
初級より上って感じの呪文なんだろうけど・・・・・・
「ソニス、なんで飛んでいかないの?」
《【ブイスラン】には火と槍状のって意味の単語しかないんだよね。つまり・・・・・・》
射出を意味する単語が無いんだ。
つまり【フト】が単語に含まれないと自動的に射出されないのね。
動きが腕に同期している感じだから上手く使えば一つの呪文で二回放てるとか出来そうだけどね。
《ちなみに、【ブイフト】は扱いに慣れれば一部だけ待機させたまま一つずつ射出するって事も出来るよ。だから、【フト】が含まれないことによるメリットって無いんだよね》
結局の所メリットは無い訳ね。
多分【ブイフト】と違って、強くなると使われなくなるんだろうな。
モーションが必要になるとはいえ火力が高いし覚えておく価値はありかな。
「次は・・・・・・【ブイスブレ】む!?」
呪文を唱えた途端、口の中に違和感を覚え思いっきりはき出したら火炎ブレスをはいた。
何これ!?
「ドラゴンみたいにブレスを吐ける呪文なんだね」
「知らずに使ってビックリしたよ」
いきなり口の中から火が出たらビックリするよ。
私が火に強くなければ火傷していたんじゃ・・・・・・
いや、自分の呪文で傷つくわけ無いか。
《ちなみにそれ、熟練すると手からも放出出来るよ。放出型の呪文の単語が【スブレ】だからね》
口からしか使えないのは私の力不足な訳ね。
複数同時に使うには熟練しないと無理なんだろうね。
「さて、最後は【ブイシル】!」
呪文を唱えると火の盾が目の前に現れた。
炎の渦のような盾だ。
これは、炎の盾を作る呪文なのかな?
「ハリボテの盾?」
「え、ハリボテって?」
「どう見てもこれ・・・・・・物理攻撃通す見た目しているよね」
そういってコクウが槍でつついた。
すると、あっさり火の盾を貫いた。
え・・・・・・えぇ・・・・・・・
《これって同属性の呪文の攻撃を防げるだけのハズレ呪文なんだよね。火と盾だから物理的な防御力が無いからね。物理系の属性だと話は変わってくるんだけど、火だとね・・・・・・》
どうやら大はずれみたいだね。
まあ、中にはこういう呪文もあるよね。
「でも、役に立つ場面はある・・・・・・はず・・・・・・」
とりあえず、剣系の呪文も確認していこう。
ブイシル 発動時間3 冷却時間10
火の盾を展開する呪文
同属性の攻撃を防ぐそれだけ
故に基本このタイプの呪文は役に立たないと言われている
呪文整理する際に消される第一候補である
ダイアル「本当かなぁ?」




