第六話 この世界の役職
10/23 内容リメイク
◇ ◇ ファストクラフトの街 ◇ ◇
私はダイアルの案内に従って一つの建物にたどり着いた。
そこは冒険者ギルドの横にある建物だった。
「ここだよ。ボクのオススメはね」
「訓練所がどうしてオススメなんでござるか!」
ダイアルが案内してくれたのは冒険者の訓練所だ。
なんでここがオススメなんだろうか?
「知らないと思うけど実は試練受けるとクラフターは戦闘可能になるんだよ。冒険者程の戦闘力は持てないけどね」
「そうなの!?」
それは知らなかった。
プレイヤーは強制的にクラフターにされるから戦闘要素は無いと思ってたけど・・・・・・
「といっても火力は冒険者の五パーセントレベルでござるよ。それでまともに戦えるとは思えないでござる」
「いや、五パーセントじゃないよ。特化させれば20に届く」
「特化させる?」
どういうことだろうか?
「この世界には三つの役職がある。戦闘者、冒険者、作成者の三種類だ。
戦闘者は戦いに極特化していて全ての純戦闘スタイルを構築可能。
戦闘力は100%だけど生産能力はゼロと完全に全ての力が戦闘に割り振られている。
作成者であるクラフターはその逆。
全ての生産活動が可能な代わりに戦闘能力はゼロと作成能力に全て割り振られている。
対する冒険者はその二つの中間に位置する。
戦闘能力も生産能力も50%と低くなってるし適性のあるものしか出来ないというデメリットもある。
まあ戦闘者にしろ冒険者にしろ手を広げすぎることは無いから適性のある者しか出来ないのはそこまで致命的なデメリットにはならない。
適性のあるものだけに行動を絞ることが出来るというのは大きな強みだしね。
何より戦闘可能で生産活動が出来るから適性次第でソロで活動出来るというのは大きな強みだよ。
戦闘者は料理すら出来ないから単独で活動するのは厳しいものがあるからね。
これが三種類の役職の全てだ」
戦闘者ってのもあったんだね。
知らなかったよ。
でも、戦闘者の方がクラフターが雇う相手としては良いんじゃ無いかな?
「細くすると戦闘者はちゃんとしたところで雇われている者以外はガラが悪い者が多いでござる。自分が強いからと冒険者とクラフターを舐めてる者が多いでござるからな」
「そういうのに限って弱いけどね。いくら戦闘者といえど真面目に鍛えてなければ冒険者どころか試練を超えて戦えるようになったクラフターに劣るからね」
ガラが悪いし弱いんだ。
多分真面目なのはちゃんとしたところに雇われるせいで変なのしか残らないんだろうね。
ちゃんとしたところの護衛にはぴったりだし仕方ないか。
「クラフターが戦えるようになるって話だったよね。特化させる云々が今の話と何の関係が?」
「重要なのは冒険者の所だよ。才能があるって話をしたよね?」
「確かにしたね。あ、ひょっとしてそういうこと!」
「そういうこと。適性は細かく区分分けされてるんだよ。戦闘能力の解放は全部いっぺんにだからそれを一点に特化させることでマシに出来るんだ。と言っても1%の壁が上がるごとに分厚くなっていくから全部を特化させてようやく20%に届くレベルだけどね」
なるほどね。
細かく区分分けされてるから全部に割り振られるのを一点に特化させることでマシにするわけだ。
全部割り振られても全部の戦闘方法を使うわけじゃ無いもんね。
「ちなみに試練の解放で得られる適性解放は冒険者のほうが多かったりする。冒険を乗り越えていけば最終的に冒険者の方が強くなるんだよね」
なるほど。
戦闘者とクラフターは自分の分野は全部100%で出来るのに冒険者は適性のあるものでしかも完全な形では無い形でしか使えないというのはちょっと冒険者の方が劣ってる感じがしたけどそうじゃないんだね。
大器晩成型ということなんだろう。
「でも一つの試練だけでそこまでいくんだね」
「初回限定の試練だけプラスされるから行くだけだけどね。以降は同レベルの試練を20突破してようやく全体が最初の1%に届くレベルだよ」
どうやらそんなにうまい話は無かったみたいだ。
これはクラフターは戦えないと考えても良いかもしれないね。
「ところで試練ってここで受けられるの?」
「ここのは流石に駄目だね。難易度が高すぎるから無理。最低でも戦闘スタイル確立してないといけないから戦えない状態でここにある試練に挑むのは自殺行為だよ」
「ここに試練があるんでござるか!?」
どうやらオボロさんは知らなかったみたいだ。
「そうだよ。アホみたいに難易度高いから挑むのはオススメしないかな。突破するまでに何回も敗北してるからね。その分報酬も馬鹿でかいけどね。一点に特化して60%まで行く程の潜在能力解放してもらえるよ」
つまり試練の中でも高難易度のものってことね。
挑むのはどうかと思うね。
「ちなみに試練にも種類があるから間違っても生産系統の試練に期待しないようにね。潜在能力解放はされずに報酬だけもらえる感じになるから」
「戦闘系と生産系で解放してくれる潜在能力は違うってことね」
最初から全解放されてるクラフターが生産系統の試練受けたところで意味ないってことね。
報酬がもらえるらしいから全く意味が無いわけでは無さそうだけど。
「・・・・・・道理で生産系統が出来ないわけでござるよ」
「・・・・・・知らなかったんだ。ドンマイ」
どうやらオボロは生産系統の潜在能力を獲得しようとしたことがあるらしい。
盛大に勘違いしていたせいで解放出来なかったみたいだけど。
「でも、冒険者の場合は料理とかの冒険に必須な生産技能以外は全部戦闘にも使う生産技能に割り振った方が良いよ。何処まで行ってもクラフターの劣化版にしかならないからね」
「戦闘に使うつもりの技能でござるよ。生産技能が必要になるから目指していた感じでござるからな」
そうか。
戦闘と行っても生産が絡むことがあるからクラフターと違って戦闘者は完璧じゃ無いんだね。
だからこそ冒険者が最強になり得る訳なのか。
必要な技能だけを簡単に引き上げられるからね。
どのくらい簡単なのかは分からないけど。
「じゃあ簡単な試練は・・・・・・」
「それも容易じゃ無いよ。戦闘があるからね。一時的に全ての戦闘技能が50%まで引き上げられる類いの試練だから戦う力が無くても戦えるとは言え準備無しにできるものじゃないよ。だからこそここがオススメなわけだよ」
なるほどね。
戦いの手段をここで学んでおけってことね。
それで試練を受けられるわけだ。
「最初に特化のオススメとしては武器系統かな。あの中でなら 適性が50%以下ならあの中では一時的に50%まで引き上げられるから自分に合った武器を探すのにも役に立つよ」
おお、そんなことも出来るんだ。
だからこそここがオススメな訳だね。
「ところでダイアルはどんな武器を使ってたり?」
「結構変わってる武器だよ。剣系だけどね。剣適性とか振り適性、突き適性とかの剣系統の適性に加えて色々と獲得しないとまともに扱えない奴だよ」
・・・・・・適性細かすぎ!?
剣だけじゃなくて動作にも適性必要なの!?
多分剣適性だけで剣で攻撃出来るようにはなるんだろうけどね。
振りとか突きも適性あげないとちゃんと火力出せないんだろうね。
下手すると振り下ろしとか振り上げとかその辺の適性なんかもあるのかも知れない。
「あ、予想以上に適性が細かくてビックリしてるね。ちなみに振り適性なんかは振りをする武器の適性が10%無いと意図的には割り振れないから。全部に割り振ると関係なく割り振られるけど」
思ったよりも面倒な仕様なんだね。
でもレベルアップさせていくみたいなのはゲームみたいだよね。
結構面白そうだ。
よし、試しに訓練所で色々とやってみることにしよう。
そう思いながら私達は訓練所に入っていった。
ダイアル「ちなみに突き適性は剣のものと槍のもので別ということはない。突き適性さえあれば突き関係の武器は扱えるからね。突きと振りがあれば大抵の武器扱えそうだけど」




