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第五十一話 この世界の秘密

 ◇ ◇ 謎の迷宮 ◇ ◇


「【スラシァ】!」


 迷宮の中を進みながらモンスターをなぎ払っていく。

 いくつかの素材をストレージに入れつつ、本に死骸を収納していく。

 解体がどんどん上手くなっていくよ。


「しかし、食料とかは大丈夫なのか? その肉を生で食うのは危険だぞ?」


「迷宮とは言え町中判定だからか無限資材が使えるんだよね」


 街そのものを作り替えて出来た迷宮だからだろうね。

 だからこそ、こういう事も出来るんだろう。

 適性をいじれるくせに、こういう所をいじってないのは理解出来ないけどね。

 ひょっとすると適性云々はいじりやすかったけど、町中判定はいじるのが難しかったりするんだろうか?

 その辺は事を起こした本人にしか分からないよね。


「とりあえず、そろそろ軽い拠点を作ろう。手に入れた素材の加工とかもしないとだしね」


 低適性だから、普段よりもかなり扱いづらくなってるけどね。

 でも、状況を打破するためには試行錯誤しないと駄目でしょ。

 少なくとも素材の研究はしておいた方が良い。

 とっさに作るにしても知っておかないと無理だからね。


「ところで呪文は増えたのか?」


「増えてない。でも、【スラシァ】が強化された」


 ソニス曰く、呪文の強化をするためのキャパシティを拡張するのに使っているとのことらしい。

 キャパシティが広がることによりトリガー待機時間、呪文発動時間延長、冷却時間(クールタイム)、呪文の効力などが強化されているみたいだ。

 連発しなかったから知らなかったけど、冷却時間があったんだね。

 初期の呪文で元々そんなに長くないから気楽に連発可能らしいけどね。


「【ケサン】は?」


「ふふふ、【ブルダ・ケサン】」


 呪文を唱えると、私の手に二本のナイフが出現した。

 二本同時召喚が出来るようになったのだ。

 ブルダは2って意味らしいから、そこから3、4、5に相当する単語と繋げることで動じ召喚可能な数を増やせるみたいだ。


 ちなみに今の最大召喚数は15だ。

 最大数はそんなに増えなかった。

 これが一番増えて欲しかったんだけどね。

 単語が増えたから結局一本召喚するのと大して変わらないしね。


「そんなことが出来るんだな。【スラシァ】でも出来ないのか? お前、両手に剣を持った二刀流スタイルもあるだろ?」


「出来るけど、呪文の効力が切れた瞬間をカバーするために同時には使うつもりはないかな」


 二刀流は息もつかない連撃が特徴なのに、【スラシァ】が切れた瞬間火力が落ちるからね。

 片方だけは常に呪文の力を纏わせておくなら、呪文を発動させるタイミングをずらすしか無い。

 だから、同時に発動させるつもりは無いんだよ。

 それに、呪文が長くなるから発動までの時間が少し延びるしね。

 二つ程度だと、使う意味があまりないのはこっちでも同じだ。


「ブルダの使い道があまりないな」


「多分、強くなれば使い道が出来るんだろうけどね」


《その時にはズーカっていう2~10を自由に設定出来る単語が使えるようになるからお役御免になるよ》


 結局ブルダには出番は殆ど無いみたいだ。

 哀れな数字だね。

 まさか上位互換があるなんて・・・・・・

 仕方ないよね。


 上位互換と言えば新規呪文だね。

 未だに新しい呪文が出てこないけど・・・・・・


「ところで、新しい呪文は無いの?」


《スキルページ見てない?》


 スキルページ?

 そういえばスキル一覧があったね。

 スキル名は空白で何も記載されてなかったけど、剣Lv1と召喚Lv1の二つがあった。


「これがスキルね。これがどうしたの?」


《これがレベルアップしないと新規呪文は取得出来ないよ。呪文そのものを強化していかないとレベルは上がらないからね》


「結構使っているように見えるけど、レベル1なんだな。簡単には上がらない感じか?」


 確かに、多分呪文が出た辺りでどっちかが出てきているはずなんだよね。

 結構呪文も使って強化しているはずなのに未だにレベル1だ。

 そう簡単に新しい呪文は生えてこないんだろうね。


《仮契約だと出力が無いからね。レベルはそう簡単に上がらないよ》


「なら、本契約のデメリットを提示した上で契約するか選択させてよ」


《やだよ。私は契約する気は無い》


 契約をする気が無いみたいだ。

 何か理由があるにしても、ここまで意固地になるとはね。

 この状況下ではかなり便利だから使いこなしたいんだけども・・・・・・


「流石にウゼェな。ソニス、俺がホムラを選んだんだ。契約の為のリスクくらいは話しても良いだろ」


《君が指図するのはお門違いだよ。所詮は兎畜生が力を得ただけでしょ? 幻想の書を何も知らないくせにどうこう言わないでくれる?》


「・・・・・・なあ、ホムラ。本当に曲解せずに復唱しているのか? だとしたらその幻想の書を殴りつけたくなったんだが・・・・・・」


 トリューがキレ気味だ。

 というか、ソニスも煽らないで欲しいけどね。


「燃やすとか言い出さないんだ」


「燃やしたら俺がソウラ様に怒られるからな。多少破損させたくらいなら直るから問題無いが、燃やしたら完全に駄目になるから怒られる」


 ソウラ様ね。


「ソウラ様ってどんな人?」


「あ~、運営のトップだ。正真正銘のな。はっきり言うと、この人以外はこの世界の構築に一切関わってない。だから俺の生みの親と言えるな」


 正真正銘のトップでしかもこのゲームを作りあげた当人ってこと!?

 ということは、この人以外は管理しているってだけなんだろう。


「知ってるか? この世界は、クラフティングオンラインというゲームではあるが、ソウラ様によって作り出されたプログラムとかではない正真正銘の世界なんだよ。だからコクウとかみたいなゲームとは無関係な他の世界の迷い人なんかが現れるんだ。まあ、そいつ等も一部の例外を除けばゲームのシステムに縛られるわけだけどな」


「これ、紛れもないもう一つの世界だったの!?」


「ああ、クラフティングオンラインの為に作られたと頭に付くけどな。だからこそ、ゲーム外に技術を持ち込めるんだ。恐らく、幻想の書と契約すると現実でも幻想の書の力を使えるんじゃ無いか?」


 ただのゲームでは無いとは思ってたけど、まさか実際に世界を一つ作ってそれをゲームの舞台にするなんてね。

 ってことは・・・・・・


「この事態って他の世界からの侵略者の可能性は・・・・・・」


「あるな。というか実際にそうなんだろう。未管理の幻想の書の力を使っている奴らだしな。てか、今思い出したが天使騙りって確かこの世界にしょっちゅうちょっかい出している奴らだったはずだ。バグとかいうモンスターをこの世界に放って大災害を引き起こしたことあるしな」


 本当にやっかいなのがいるんだね。

 面倒なモンスターまでばらまいているとはね。


 にしても、世界を一つ作ってまでともなると明確な理由がありそうだよね。

 クラフティングオンラインの掲げている製作技術の向上は建前なんじゃ無いかな?


「この世界が作られた理由って知ってる?」


「知らないな。製作技術の向上は建前ではないが、それ以上に大きな目的があるのは確かだろう。何故こうも簡単に天使騙りって奴らがこの世界に侵入してこれるのか、その辺に秘密があるんじゃ無いか? 試練受けさせた記録は残ってないし、恐らく元々適性とかで縛られてないんだろう。適性で縛られているならこんな体逸れたことを出来るとはとても思えないからな」


 トリューも詳しいことは知らないのね。

 でも、天使騙りの存在が何かしらに関わってきている可能性があるのか。

 ソニスは語らないけど、天使騙りの存在を知っていたしね。


「っと、またモンスターだよ。面倒だな」


「一気に片付けるよ」


 とりあえず、色々とゆっくりするために軽い拠点を作ろう。

 一応、そういう道具は作ってあるからね。

スラシァ 発動時間1 冷却時間3

 剣を強化し振りまわすための呪文

 初期に使える剣呪文で最も扱いやすい呪文

 汎用性が極めて高く、強くなっても使う者は多い

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