第五話 オボロとの出会い
10/23 内容リメイク
◇ ◇ 拠点 事務所 ◇ ◇
さて、付与術を取得していこうと考えたところで何かシャウラからメールで呼び出しを受けた。
一体何のようだろうか?
私はシャウラのいる事務所に来た。
一応工房だからこういうのがあるんだよね。
シャウラがソファーで寝てるからちゃんとした事務所と言えるのか怪しいけど・・・・・・
近くのソファーには白い髪のエルフの女の子・・・・・・いや、アルビノのエルフの女の子がそこに居た。
・・・・・・お客が来てるときくらいはちゃんとしてほしいものだね。
いくら病気なんだとしても流石にこれはどうかと思う。
「シャウラ・・・・・・いくら何でもその格好で客人を招くのはどうかと思うよ」
「もういいでしょ。雇った後だしね」
「雇われた直後にだらしなくなったのには流石に面を喰らったでござる」
エルフの女の子を雇った後?
私と殆ど同じ身長の子だ。
大体130~140ってところかな。
「雇ったってどういうこと?」
「っと、失礼したでござる。拙者の名はオボロ。今日、ホムラ殿の専属冒険者をやらせて貰う者でござる」
この子冒険者なんだ。
って事は・・・・・・
「昨日の今日で雇えたんだね」
「いや、工房の完成前に既に雇ってたよ。昨日は私が対応できるか分からないから今日の昼頃にしたんだよ」
なるほどね。
って事は目の前でだらしなくなったのは今日の話じゃ無いってことね。
本当に何やってるのシャウラは・・・・・・
「まあ良いでしょ。それよりも、オボロに護衛して貰えるなら外に出ても問題無いよ」
「あ! そうだね!」
そうだよね。
オボロは冒険者だ。
戦闘が可能だからこんな見た目でも私を護衛できるんだ。
つまりこのまま冒険に出ることも・・・・・・
「ちなみに冒険に出るのは無しね」
「流石に拙者一人で護衛しながら冒険できるとは思えないでござるよ」
「ですよね」
まあ、街に出られるだけでも大きな進歩だ。
街で冒険者候補を探せば良いしね。
色々と散策できるよね。
図書館行ったりとかいろいろと出来るでしょ。
「そういえば、オボロさんはアルビノだよね? 長時間外に出てても問題無いの?」
「外でも室内でも関係ないでござるからな。それを抑える薬をつけてれば問題ないでござるよ」
なるほどね。
そういう痛みを抑える薬があるってことね。
アルビノとはまた別の症状が出てる訳ね。
それは私も欲しいね。
ゲーム内でも律儀に私の体質を再現してるから地味に全身が痛いからね。
その薬でどうにかなるかは話は別だけど。
「にしても、フードを深くかぶってるのにアルビノだと気がつくんでござるな」
「ホムラって自分の事には疎いけど他人のことには聡いからね。病気をホムラ相手に隠すのは無理だと考えた方が良いよ」
失礼な。
ちゃんと自分の事も分かってますよ。
病気とかちゃんと分かるから。
分かってても無理するときはするけど。
・・・・・・だから疎いって言われるんだという言葉は聞こえない。
「それじゃあ、出発しようか」
「今すぐにでござるか? いや、街に出るだけならそこまで準備は必要ないでござるな」
まあ、軽く散策するだけだしね。
分からなくなる程遠くには行かないつもりだから別に良いんだよ。
「迷ったらステータスウィンドウで帰還を選択してよ。町中ならこれでいつでも戻れるからね」
なんというか醍醐味を台無しにする機能あるんだね。
いや、冒険に出かけたときにはありがたい機能なんだろうけどね。
これで街の散策から帰るのは正直ちょっと無いかな。
でも、万が一のこともあるし一応覚えておこう。
問題が起こる可能性も否定できないからね。
「それじゃあ行ってくるね」
そう言って私はオボロさんと共に街に出かけた。
◇ ◇ ファストクラフトの街 ◇ ◇
ついに私はこの広い世界に一歩踏み出した。
空は青く果てが無い。
そして多くの人で行き交っている。
これが街なんだね。
「凄いはしゃいでるでござるな。軽く事情はシャウラ殿から聞いているでござるから分かるでござるけど・・・・・・」
あ、内心ではしゃいでたらオボロさんが苦笑いしてきた。
表面に出てたみたいだ。
それにシャウラは勝手に私のことを話していたらしい。
そう言うことするのは良くないと思うけどね。
「そりゃ人が行き交う場所にも初めて来たからね。押さえきれない程興奮してるよ」
実際押さえきれてなかったしね。
だからオボロさんにばれたわけだし・・・・・・
「へぇ~冒険者連れて歩いてるからてっきり冒険を経験しているかと思ったんだけどそうじゃ無いんだね」
後ろから声かけられた。
いつの間に後ろに人が!?
「あ、ごめんごめん。驚かせちゃったか」
そこには両目を目隠しで隠している女の人が居た。
黒髪で何というか力で常に苦しんでそうな人だ。
シャウラと同様表面には出してないけどね。
目元を覆う目隠しは何かしらの理由があるんだろうね。
推測は出来るけど。
「いきなり背後に立って声を掛けるのはどうかと思うでござるよ。下手したら不審者と見間違われることがアルデござるからな」
「そうだね。次からは気を付けることにするよ」
「折角声かけて貰ったんだしお互い自己紹介しようよ。私の名前はホムラだよ」
オボロさんも挨拶を済ませて女の人の番になった。
「そうだね。ボクの名前はダイアルだ。リアルネーム付けられることが多いけどボクはちゃんとしたアバターネームだよ」
「本名とクラフターネームを持っているんでござるな」
このゲームってリアルネームが付けられることが多いんだね。
私も瓜得焔だからリアルネームをアバターネームに付けてるしね。
でもアバターネームがあるってことはこの人はプレイヤーなんだね。
このゲームってNPCとプレイヤーが全然分からない。
それだけ完成度が高いってことなんだろうね。
「にしてもその目隠しはどうしたんでござるか?」
「これ? ああ、気にしないでよ。一応ちゃんと認識出来てるからね」
「いや、聞きたいのはそれではなく・・・・・・」
「オボロさん。あまりその辺は深く突っ込まないであげて」
余り吹聴して良い物じゃ無いだろうしね。
「いや、別にいいよ。普通眼を隠して歩いている人なんて居ないし当然の疑問でしょ。見えすぎて困るから付けてるだけだよ。目が良すぎるというのもいいことでは無いんだよ」
厳密には違うんじゃ無いかな?
詳細に話しても信じてもらえず面倒なことになるから大雑把に説明してる気がする。
大雑把すぎて真実から少しかけ離れてる感じがするね。
他人の秘密を吹聴する気はないから口には出さないけどね。
「ところで街に出るのは初めてなんだっけ? 折角だしボクが案内しようか?」
「良いの?」
「やること無くて適当にぶらぶらしてただけだしね。良い暇つぶしになるし構わないよ」
町中を適当に歩いているだけで良い暇つぶしになるんだろうね。
冒険に出かけてないのは専属冒険者が外に出られない状況なんだろう。
武器が無いとかその類いだろうね。怪我なんかは街に戻れば一瞬で回復するしね。
「なら折角だしダイアルのオススメの場所教えてよ」
「オススメね。君が気に入るかは分からないけどボクにとってはオススメの場所があるよ。行ってみるかい?」
「行ってみようか。あ、オボロさんはどうする?」
「護衛なんだから付いていくでござるよ。ホムラ殿は危機感が足りてないでござるな」
まあ、初めて会った人にホイホイついて行ってるわけだしね。
でもこの人は問題無いと思うけどね。
いくら隠しててもそういう人は分かるからね。
というわけで私はダイアルのオススメの場所まで案内して貰った。
さて、どんな場所なんだろうね。
楽しみだ。
ダイアル「オススメの場所ね。ボクにとってはいい場所だけど気に入るかどうかは分からないんだよね」
オボロ「何処に案内する気でござるか?」
ダイアル「冒険者の君なら間違いなく知ってる施設だよ」