第四十七話 闘気と創気
◇ ◇ 拠点 訓練所 ◇ ◇
「では、まずは基本の闘気活性からだ。と言っても、其方等は無意識か意図的かはしらんが使えておるだろうがな」
「一応俺とレクトは意図的に使って居るぞ」
「オボロも使えますよ。僕とオボロはリエラ姉から教えて貰っていますから」
当たり前だけど、レクトさんとドルフィスさんは闘気活性を意図的に扱えるみたいだ。
って事は・・・・・・
「まあ、錬成までは使えないんですけどね。実用的な量を練り上げるのに時間がかかりすぎるからどうしようもありません」
「俺は転生も錬成も初めて聞いたからな。そっちに関しては知らない」
って、錬成使えないんだ。
でも、レクトさんは一応使えるけど実用的な量を練り上げるのに時間がかかりすぎるから実質使えないも同然って感じみたいだね。
確かに、私の闘気錬成はそこまで多くない。
「闘気錬成の実用的なラインってどのくらい?」
「錬成闘気を半分以上全身に回せるレベルを数分維持出来るかどうかだ。最低でも一分で全身の闘気を錬成出来なければ扱えるとは言えないぞ」
あ、だとしたら私も扱える範囲では無いね。
全身に満たそうと思ったら五分はかかる。
「ちなみに、ボクは闘気錬成が今まともに扱えないと思って貰って良いよ。武器が壊れる」
「武器が壊れるとは・・・・・・以前の槍がへし折れて今の槍が脆いのだとは思うが、それでも壊さないようにする術が・・・・・・」
「壊れないようにする術ってアレでしょ? ダイアルが鎖に使ってる物質を強化する技術。見て覚えて使っててなおだよ。磨いていくつもりではあるけど、活性闘気もそれに伴って成長してるから完全にいたちごっこなんだよね」
「想像以上に規格外だな。そうなると、根本的に武器の強度が高くならないとどうにもならぬな」
あ、そういえば確かに強化していたね。
意識してなかったけど、記憶では確かに鎖の強度が異様に上がってる。
どうやって強度上げてるかは、よくよく観察してみれば分かると思うけどね。
流石に記憶の中を解析してもざっくりとしかわからない。
まあ、そう言う風に観察してなかったし、当然だけどもね。
しかし、コクウは気が付いてたんだね。
こういうのはクラフターである私が気がつかないといけないことなのにね。
素材に目を取られすぎて、強度強化している所まで目が行ってなかったよ。
「とういうことは、実質誰も錬成までは出来てない感じか。レクトとドルフィスとやらはよくそんな体たらくで第五の街までいけたものだ」
「僕達は基本、援護しかしてないからね。ちなみに、さっきドルフィスはああ言ってましたが、ピンチになると無意識に使ってますからね」
「え、マジか!?」
「スイッチが入らないと使えないので、瞬殺されると意味ないんですけどね」
あ~ドルフィスさん、なんかやけに自信満々だったけど、スイッチ入った状態で一度ドラゴンの何かを防いでいたのね。
瞬殺されてたから闘気錬成使う前にやられちゃった訳か。
自覚してないのが非常に残念なところではあるけどね。
「無自覚で錬成使うタイプか。ってことは動きながら闘気を練り上げることができるな。自覚出来たら強いタイプだろう」
「お! 俺強いのか!?」
「使えるようになったら、調子にのってやられそうではあるがな」
確かに。
兎竜に対抗出来るようになったドルフィスさんと戦わせると、ドルフィスさんが調子に乗ってた結果、足下をすくわれて負けそうだ。
調子に乗ってたら、兎竜なんかだと普通に対策してくるしね。
一応レアミッションの大ボスを務めてるだけはあるよ。
「上げて落とすなよ・・・・・・」
「でも、事実でしょ? そんなに君のことを深く知らないはずの人にすら言われるくらいには」
うぐぐとドルフィスさんが唸る。
その辺は私も直した方が良いと思う。
盾役がこんなのだと不安しか無いからね。
「さて、まずは闘気とはどういうものなのかを説明していこうか」
オルファンさんの説明を聞く。
闘気とは生きとし生けるものが必ず宿している気の一種らしい。
その気を戦闘用に活性化させたものが、闘気とよばれるものらしい。
気とは生きていれば必ず発生させる力で、普通は無意識に放出しているらしい。
意識がある者ほどより多くの気を発生させるとのこと。
気がどういうものなのか、何故発生するのか?
それはオルファンさんにも分からない。
唯一分かっていることは、生きていくのに重要な力で意識の持ち方次第でいかようにも扱える万能な力だって事だね。
気は大きく分けると二種類に分かれてる。
戦闘特化の闘気と、生成特化の創気。
闘気は戦闘能力を高め、創気は再生能力などを高める力があるらしい。
「創気の扱いは特に難しい。意識的に使うなら、医学知識は必須だ。無意識ならまだしも、意図的ともなると創気を扱うにはどういう風に肉体が動くのかを理解せねば使えぬ。儂とてまともに使えぬ故にな」
「それなら、回復魔法の方が優れてるな」
確かに。
魔法の中には優れた回復魔法があるしね。
難易度高いなら回復魔法の方が優れてるでしょ。
・・・・・・肝心の回復魔法が使える人が居ないんだけどね。
錬金道具でそういうことが出来るように作るのが良いだろうね。
「いや、真闘気で無くとも武技の構造次第では相応の反動がある。それを防ぐのは創気以外では出来ぬ」
「そうなの!?」
「というより、熱鎖縛葬クラスともなると相応の反動があると思うが・・・・・・ダイアルと違って超越能力や魔法などを使った代物では無いのだろう? 自分に根ざした力を引き出して行使しているなら確実に反動があるはずだ」
確かに、陽光の力は私に根ざした力だね。
なら、【小星斬】で反動が無いのはおかしい。
なんで反動が無いんだろうか?
・・・・・・うん、反動はあるね。
それを打ち消す程の再生能力があるから強引に押し通してるだけだ。
普段から全身が痛むから気が付かなかったよ。
「・・・・・・無意識に創気を使っているのか? クラフターなら知識も豊富だろうしあり得ない話では無いか」
オルファンさんが勝手に解釈した。
そういうことにしておいて。
私の体質に関しては言うつもりは無いからね。
これ明かしたらなんで痛み感じてないんだって突っ込まれることまず間違いないしね。
「さて、創気については以上だ。次は闘気だな。闘気の用途は身体強化および武技行使のエネルギーだ」
闘気を武器に纏わせ、イメージを固めることにより繰り出すことが出来る。
繰り出されたその技が武技とのことらしい。
イメージして繰り出せるのは明確な技術な無ければ不可能らしい。
元となる技を反復練習して、それがイメージ出来るようになり初めて繰り出せる。
「僕の【縫い撃ち】なんかは、矢がまるで至近距離で放たれたみたいに奥深くまで突き刺さるイメージを遠くに飛ばす矢に乗せてる感じかな」
「儂の【居合一閃】は居合斬りを武技にしたものだ。其方の弓の武技よりも単調だ。その分イメージを固めやすく習得が簡単だがな」
兎竜の所で使った【一射縫い撃ち】って武技だね。
にしても、【縫い撃ち】ってわざわざ言っている辺り、ひょっとしなくても数を増やせるようになっているんだろうね。
「というわけで、闘気はイメージが重要だ。活性化させた闘気を万全に扱うのであれば常日頃からの反復練習で、肉体の動きをイメージ出来るようにならないといけない。錬成闘気になると話は変わってくるがな。だが、今はイメージが重要である。そのことだけを覚えておけば良い。錬成闘気の使い方を知るのは基礎が出来上がってからだ」
なるほどね。大体分かった。
小星斬は小ホムラの訓練のフィードバックを受けたからこそ明確にイメージして使えた武技なんだろうね。
だとしたら、使いやすい武技を作るのもそんなに大変では無いかも知れない。
そうすぐには作れそうに無いけどね。
とりあえず、今日の所は戻っていろいろと試行錯誤してみよう。
戦闘関連は小ホムラに任せて私は、練習道具を作る。
どうすれば効率よく鍛えることが出来るのか?
そういう道具を作れば良いからね。
ダイアル「なんか、街の雰囲気が不穏だね。しびれを切らして動き出すか?」




