第四十六話 闘気について聞いてみよう
◇ ◇ 拠点 訓練所 ◇ ◇
今日私はある疑問があってここに来た。
武技の試行錯誤してたらあることに気が付いたからね。
「ホムラ殿がここに来るなんて何かあったんでござるか?」
「武技の練習か? だが、其方の武技は聞く限りここで軽々しく扱って良い代物とはおもえんぞ」
「ちょっと・・・・・ダイアルに疑問を聞いて貰おうと思ってきたんだけど・・・・・・この人誰?」
なんか知らない侍のおじさんが居る。
昨日までダイアル来てたよね?
なんでダイアルとすり替わってるの?
「儂はオルファン。同じ刀を扱う者として、ダイアルよりこやつに武技を教えるように頼まれた」
なるほどね。
ダイアルの仲間か。
「へぇ~まともな戦闘者ってこんな感じなんだね。最初に遭遇した戦闘者のイメージが酷すぎてギャップを感じるよ」
「よくもまあ見ただけで戦闘者だと見抜けるな。ホムラという少女が見抜く力は凄まじいと言っていたがまさかここまでとは」
見抜く力の根源はお世辞にも褒められたものじゃ無いけどね。
正直、私はそのこと気にしてるからね。
「でも、武技を教えるなら丁度いいや。教えて欲しいことがあるんだけど」
「なんだ? 流石に其方の武技を改良する案は出せんぞ?」
そりゃ見てないものの改良案とか出してもらえるなんて最初から思ってない。
昨日コクウと武技について色々話してて疑問に思ったことなんだけどね。
「闘気って何?」
「闘気を知らないで武技を作り出したのか!?」
「コクウも、上手く説明出来ないみたいでね」
私と同様感覚で扱っていたみたいだし。
常日頃から流れている力で戦闘時に活性化させることで戦闘能力の向上に繋がるって事くらいしか分からない。
闘気は日頃から使ってたけど、これを本格的に扱うには知識が必要だって思って聞きに来たんだよ。
「感覚派なのだな。主にしろコクウにしろ・・・・・・てっきり其方は理論派だと思っておったが・・・・・・」
「まあ、感覚から理論組み立ててるから両方って感じだけどね」
感覚を頼りに理論を理解して、そこから更に深めていくって感じだから。
闘気は活性化させるか武技に使う以外では使う事が無いからいまいちどんなものなのか理解出来てないんだよね。
「理解していくにしても、時間かかるし闘気の基本を教えて貰おうと思ってね」
「なるほどな。まあ、どちらにしても闘気については説明するつもりだった。少しタイミングが早くなるだけだ。構わない」
言ってみるもんだね。
これで、闘気の扱い方が分かる。
「ただし、其方等のパーティメンバー全員連れてこい。これだと、全員知っているか怪しいものだからな」
あ~、コクウは明らかに立ち回り上手いのに闘気が完全に感覚でだもんね。
武技もってないのに現状最高戦力って地点でパーティバランスが狂ってる気がするけどね。
最大火力持ちがクラフターの私ってのもかなりおかしな話だよ。
元々強かったなら兎も角、急速に強くなって超火力を一足先に手に入れたものだしね。
というわけで、レクトさん、ドルフィスさん、コクウの三人を訓練所に呼んだ。
これで二日ぶりに全員揃ったね。
「さて、パーティリーダーは誰だ?」
「一応僕ですね」
「なるほど、後方から戦場を見渡し作戦を指示できるから弓を扱っているのだな」
「いや、元々幼少期から弓を扱っていたからですね。リーダーになったのは気が付いたらそうなっていた感じです」
「リーダーとしての資質はボクよりもあるからね。三人だったときはボクが指示出してたけど、向いている人が居るならその人に任せる方が良い。今はボクより指示だし下手だけど、その辺は経験の差だからね」
「レクト兄を上回る経験の差って・・・・・・」
本当にコクウって何者なんだろうか。
結構謎が多いよね。
私とそう年齢が変わらないのに、エルフであるレクトさんを上回るなんて。
「僕は所詮は冒険者に成り立てだ。恐らく幼少期から戦いに明け暮れていたであろう君とは比べものにならないさ」
「・・・・・・戦いね。ホムンクルス達を指揮して、指定日までに作らなきゃ行けないものを作る為に指示出しして、空をあちこち駆け回って・・・・・・戦闘ではないけど、ある意味戦場だったよ」
うん、なんというか背景が読めた。
そういえば母親が錬金術師って言ってたね。
私のホムンクルス擬きの小ホムラと違ってちゃんとしたホムンクルスなんだろう。
それを指揮して色々と作ってたんだね。それはある意味戦場だよ。
「え!? 戦いの経験は無いのかい!?」
「あるけど、指揮能力の大本はそっちだ。ボクは潜在能力が高かったのも相まって、大抵の相手には苦戦しなかったからね。見稽古的な方法で大抵の戦闘系能力は体得したからね」
あ~、見稽古で基礎を習得したのね。
それじゃあ、頭の中で明確に形になってなかったら説明も難しいよ。
肝心の単語が分からないからどうやって説明した方が良いのか分からないだろうしね。
「擬音まみれのいかにも感覚派的な説明なら出来なくはないけど、理解出来ないでしょ? 闘気をバーンとさせて、グルグルっとして、シュパーンと引き上げる」
「な、何を言ってるのかさっぱり分からんぞ?」
「ボクも分からん。端から効いたらクエスチョンマークしか出てこないよ」
コクウはやれやれと首を振った。
でも、何となく分かる気がする。
こうやって・・・・・・闘気をパーンは闘気の活性化でしょ?
グルグルーは・・・・・・よく分からないけど練り上げる。
そしてパーンは・・・・・・出来そうな気がしたけど失敗した。
グルグル―の練度が足りない。
「って、ホムラ・・・・・・あの説明で良く理解出来たね」
「それっぽい動作させてみただけだけどね」
「闘気活性、闘気錬成、そして闘気転成が出来るのか。というか其方、闘気転成まで出来るのか」
オルファンさんが呟く。
やっぱり正式名称は知ってたみたいだね。
「闘気活性はバーンで、闘気錬成がグルグル―で、シュバーンが闘気転成?」
「いささか回答に困ったが、目の前でホムラが実演してくれたおかげで理解出来た。確かに錬成は闘気を回して練り上げるな。バーンが活性化でシュバーンがさらなる活性化を意味するのか?」
「あんな擬音でよく実践出来るね。にしても、闘気錬成までは効いたことがあるが、闘気転生は初耳だ」
「だろうな。それは闘気の扱いの奥義だ。真闘気と言うべき代物に活性化させる代物だ。儂とて簡単には扱えぬ」
闘気転成って奥義なの!?
闘気錬成だったけ? それの練度がもう高ければ行けそうな気がしたけど・・・・・・
「闘気転成に関しては説明を省こう。作れたところで扱えぬからな」
あ、扱えないのね。
ってことは相当難易度が高いんだろう。
真闘気を扱うにはそれ相応の技量が必要になるんだろうね。
・・・・・・コクウは使えるみたいだけど。
「コクウは真闘気使えるの?」
「使えるけど、肉体が耐えられないね。かつて使ってたあの槍に流し込んでつかってたから反動無しで使えてたけど今はそうじゃ無い」
扱うのが厳しいんじゃ無くて、作ると肉体に大きな負荷がかかるってこと!?
あの槍でどうにか反動無しで使えてたってことは、相当扱うのが難しいんだろうね。
「・・・・・・道具使えば無反動で扱える地点で大概だな。作ってから流し込む過程で負担にならないとなると、軽い技術なら扱えるのでは無いか?」
「それならグルじゃなかった、闘気錬成って奴で作った闘気の方を使った方が良い。反動無しの量じゃたいしたこと出来ないからね。使うなら右腕を犠牲にしたパンチを放った方が良い」
ってことは、反動覚悟でやらないと大して火力が出せない代物ってことね。
相応に鍛えれば反動なしで相応の火力出せると思うけども。
そうなると、闘気転成は今の段階で覚えたところで意味が無さそうだ。
それ以外の二つを教えて貰うことにしよう。
ダイアル「ちなみに、ボクは真闘気を無反動で使えるよ。ボクのメンバーのクラフターに同じように無反動で使える子が居るけど、真闘気がロクに使えないオルファンに戦闘能力では劣るから使えるイコール強いって訳じゃ無いからね」




