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第四十四話 オボロの師匠となる男

 ◇ ◇ Sideオボロ 拠点 訓練所 ◇ ◇


 錬金狩りに出くわした翌日。

 なんか、訓練にダイアルだけじゃ無くてもう一人参加するみたいだ。


 後ろで黒い髪をまとめた渋めのお兄さんだ。

 和装で刀を携えて、まさに侍って感じだ。

 ・・・・・・私はなんちゃって侍だから結構落差が激しいね。


「紹介するね。この人はオルファン。彼は刀の扱いに長けたスペシャリストだからね」


「よろしく頼む。しかし、結構前から訓練させていたみたいだが、何故儂を呼ばなかったんだ?」


「最近まで試練に苦戦して何度も挑んでたでしょ。流石に邪魔しちゃ悪いと思ったんだよ」


「別に気にしなくても良かったのだがな。誰かに教えることで道が切り開くこともあるからな」


 どうやらオルファンさんは最近まで忙しかったみたいだ。

 試練で色々とやっていたとのことらしい。

 ホムラちゃんも試練に苦戦しているしね。

 ・・・・・・明らかにパワーアップしているあのドラゴンにトラップ無しで挑んでるんだから当然だけど。


 私とコクウちゃんは以前の挑発で完全に敵視されていたのか瞬殺されたよ。

 コクウちゃんは以前回避出来てたのに出来なくなっている辺り、完全に学習されてる感じがする。

 ホムラちゃん相手だと熱に強いこともあってか熱鎖縛葬擬きを本気で撃ってこないらしいからね。

 私はホムラちゃんと同じ力を持っているけども、ホムラちゃんみたいに完全じゃ無いからモロに受けちゃうしどうしようもないんだよ。


 私も早いところフレイフィルさんに貰った力で熱を無力化して、あのドラゴンとまともに戦えるようになりたいけどね。

 まだまだあの力を使いこなすには時間かかりそうなんだよ。

 ホムラちゃんは力を自覚したからあんな武技まで扱えるようになったのに、私は弱いままだ。

 一応クラフターを守る専属冒険者なのにね。


「しかし何かあったの? 何やら焦って居るみたいだけど・・・・・・」


「うん、昨日ホムラ殿が・・・・・・・」


 ダイアルさんが使った熱鎖縛葬に匹敵する強力な武技を使ったこと。

 そして、襲撃してきた錬金狩りを一人も仕留められずただ見ているだけで終わってしまったこと。

 守っているつもりになっていたら、守っている対象が私なんかよりも遙か先に行っていたこと。

 それで私も急いで力を手に入れないとと思っていることを話した。


「なるほどね」


「ふむ、儂から一言、言わせて貰おうか。お主は自惚れすぎだ。冒険者だからクラフターより強いと誰が決めつけた? クラフターでも化け物じみた奴はいる。というかそこに居るダイアルがその類いだろ」


「アハハ、だよね」


 確かに、ダイアルさんはクラフターでも化け物じみている。

 今言われてみれば確かにその通りだ。

 クラフターだからホムラちゃんのことを戦闘面では下であることが当たり前としてみていた。

 適性値も私達に遠く及ばないはずだから上回れることは無いと思ってた。

 生産と戦闘の二足わらじだから、生産に集中して戦闘はそこまでじゃないって・・・・・・


「ホムラという女が何者なのかは儂も知らん。ひょっとすると元々、強かったのでは無いか? だとすると、追い抜かれたとしても何もおかしくなど無い。記憶を失っている以上は本人にも確認出来んがな」


「でも・・・・・・」


 そうだったとしても、本来守るべきはずの私がホムラちゃんよりも弱くて足を引っ張るのは・・・・・・

 コクウちゃんは武技なんて無くても問題無いけど、私はそうじゃ無いし・・・・・・


「専属冒険者なのに肝心の守るべき人物よりも遙かに弱いことを気にしているのか? そんなことは気にするな。それいったら儂はどうなる? こやつよりも遙かに弱いんだぞ? 戦闘者で真面目に訓練しているはずの儂がクラフターに負けているんだ。こやつは適性を全解放しているわけでは無いというのに・・・・・・」


「アハハ・・・・・・」


 ・・・・・・ダイアルさんって真面目に訓練している戦闘者よりも強かったんだね。

 というか、オルフィンさんって戦闘者だったんだ。

 昨日あった戦闘者とはかなり違うよ。

 自分が世界の中心と思っているかのような言動をしてないからね。


「其方には其方のペースがあるのだ。無理すべき所ではない所で無理をするべきでは無い。少しでも一歩ずつでも積み上げていくしか無いんだ。焦れば積み上げたものを崩してしまうことになりかねない。焦るのでは無く目指すんだ。目標としてな」


「目標として?」


「そうだ。自分が劣っているのだと自覚しているのだろう? なら、隣で戦っても問題無い程に強くなればいい。無理に乗り越える必要は無いんだ。彼女の強さを目指しつつ、隣で戦える強さを維持すれば良い」


 隣で戦える程の強さをね。

 守るんじゃなくて共に戦う。

 その強さを得る為に強くなるって事ね。

 ちょっと不甲斐ない気もするけど、元々そういう感じになりつつあったから、それが一番良いのかも知れない。


「まあ、熱鎖縛葬クラスの武技を手に入れただけでしょ? 今の段階じゃ完全に大技だし、大技は連発なんてそうそうできないから、オボロちゃんは連発可能な小技でサポート出来るようにすればいいと思うよ。オルファンはその辺の武技は結構知ってるからね。教えて貰って使えるようになりな」


「儂に全て任せる気か?」


「僕にも刀を扱う技はあるけど、余りにも普通とはかけ離れてるしね。それ以外だと君に劣るレベルの代物しか教えられないよ」


 普通からかけ離れてるって、どんな使い方してるんだろうか?

 鎖に刀をくっつけて振りまわすとか?

 それなら普通とはかけ離れすぎてて私じゃ使えないよね。


「・・・・・・根本的な実力差が激しいから技の完成度低くとも儂を上回っている訳か。だが、儂の技も使えるんじゃ無いか?」

 

「アハハ、完成させた本人よりも技の理解度が高いわけ無いでしょ。同じ剣といえど、片刃剣と両刃剣じゃ扱い方は変わるよ。ボクがメインに使うのは諸刃のロングソードだしね」


 確かに、剣の種類で使い方は変わるよね。


「全部の武器を使いこなせると思っていたでござる」


「それ、出来るのは君が会った始まりの超越者の一人であるフレイフィルか伝説の勇者リリーシアくらいでしょ」


 なんか、凄い単語出てきた。

 伝説の勇者リリーシアは私も知ってる。

 あらゆる武器を使いこなした伝説の勇者だってね。

 始まりの超越者って言うのは初耳なんだけど。


「フレイフィル殿が始まりの超越者って・・・・・・」


「厳密には本当の始まりの超越者の力を人でも扱えるようにした人だけどね。いまボクが使っている超越能力なんかの原型を作ったのは彼女なんだよ。まあ、始まりの超越者と呼ばれるのが二人もいるというのは殆ど知られてないことだけどね」


 なんか、想像以上に凄い人だったんだね。

 にしても、超越者ってもしかして・・・・・・


「超越者が、超越能力を扱う人の総称だったり?」


「あれ、言ってなかったかな? そうだよ。超越者こそ超越能力を持つ者だよ。超越能力の数で第一超越者とか第二超越者とかって言われるんだよ」


「儂は第三超越者だな。・・・・・・そういえば、其方は第何超越者なのだ?」


 あ、それ気になる。

 というか、オルファンさんも知らなかったんだね。


「第九超越者だね。数字で数えられる超越者としては最高位ってところかな。この一個上が絶対遵守の力を扱える超越者だしね」


 明言するのを避けてる感じがする。

 この一つ上が絶対遵守の力を扱える超越者ってことは、超越者の力を突き詰めれば到達出来るってこと?

 簡単そうに見えるけど、ダイアルさんが舐めプしてもなお、あれほどの強さを持っているのに一歩手前って地点で相当な道程な気がする。

 というか、数千とか数万年くらい掛けてようやくって言ってたしそう簡単な話じゃ無いんだろうね。

ダイアル「まあ、ボクの場合はとっくに条件は満たしてるけど、瞳の力を使いこなせない内は絶対遵守の力を持てあますってことで許可もらえてないだけなんだけどね」

オルファン「まさかの許可制!? 誰に許可をもらうんだ?」

ダイアル「真の始まりの超越者     だよ。って言っても聞き取れないんだろうけどね。あの人とは精神の内側で対面出来るんだよ。その時に許可をもらう感じかな」

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