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第四十話 悪意を喰らう者

 ◇ ◇ チョコ草原 ◇ ◇


「コイツはクラフターだ。クラフターは戦うことも出来ねぇ冒険者以下の雑魚だからな。俺みたいな戦闘者様が利用してやらなきゃ生きていけねぇんだよ」


「うぅ・・・・・・」


「おい! こう言われたらお前が返す言葉はうめき声じゃねぇだろ!」


「・・・・・・そうです。僕はクソ雑魚クラフターです。あなた様に使って貰って感謝しています」


 クラフターの少年に無理矢理そういわせて愉悦に浸っている騎士団の男。

 正直見ているだけで腹が立つ。


「しかし、錬金術師のテメェがまさか冒険者だったとはな。まあどちらにしても錬金術師は連れてこいって命令だ。逆らうなよ。領主サマ直々の命令だからな」


「領主の命令なら、何故そんな犯罪者まがいな方法で連れて行こうとするのかが理解出来ないんだけど。あと、私は冒険者じゃなくてクラフターだ。試練を乗り越えて戦闘能力を手に入れてるね」


 まさか、冒険者と勘違いされるとは思わなかった。

 ダイアルとか戦えるクラフターが居るでしょうに。


「クラフター? あの目隠し女と同類か? いや、あのインチキじみた鎖は持ってないな。別の方法で戦えるようになってるんだろう」


 インチキじみた鎖、別の方法で戦えるように?

 コイツ、ひょっとして・・・・・・


「試練を乗り越えてと言っているのに道具か何かで戦えるようになったと思ってるみたいですね」


 レクトさんも確信を持ってそう呟いた。

 試練のことを知らないのか、あるいはクラフターが試練なんて乗り越えられるわけが無いと思い込んでいるのか。

 どっちなのかは知らないけど、後者ならつくづく舐め腐ってるとしか言えないね。


「あの女と同類なのだとしたら、さっきのナイフがお前の唯一の手札だったんだろうな。残念ながら~もう使えません~ギャハハハ」


 私は無言で剣を構える。

 長距離を切断する【長距離・切断術(ロング・カッティング)】、オボロが未来から持ち帰り私の中にもその存在を確認し扱えるようになった【陽光付与】、その二つを組み合わせて開発した私の武技。

 兎竜の熱鎖縛葬擬きに対抗するための大技・・・・・・


「【小星斬】」


 小惑星を斬り裂く熱を放つ切断術。

 それこそが小星斬だ。

 その一撃は大きな為が必要で連発出来ないが、熱鎖縛葬擬きに匹敵する。

 通常のドラゴンブレスすら上回る火力を誇る熱鎖縛葬擬きにだ。


「ハハハハハ?」


 私が刀を振るったところから一直線に地面が溶けている。

 対象だけに当てられないのが唯一の欠点だ。

 地形にも大きくダメージを与えてしまう。

 それだけエネルギーをロスしているって事だ。


 嗤いながら騎士団の男は小星斬に消し飛ばされた。

 気が付けば強烈な炎で切断され一瞬で消し飛ばされたのだから何が起こったのか理解出来なかっただろうね。


「ホムラ、今のは・・・・・・」


「武技でござるか? それに今の力って・・・・・・やっぱり持っていたんでござるな」


「まあ、調べてみたらね」


 にしても、私の陽光の力の訓練をフィードバックさせてるはずだけどオボロが気付いて居る様子が無い。

 腕輪を付けてるのに何故フィードバックされてないんだろうか?

 ・・・・・・根本的に量が少ないとか?


 あり得なくは無いかな。

 私は記憶を失ってるから、いつこの力を手に入れたのかは分からない。

 でも、記憶失ってからの期間を考えるとそれなりの月日もの間保持しているからね。

 オボロは取得して間もないからそこまで馴染んでないんだろう。


 まあ、フィードバックされてるのは確かだから量を増やせばそのフィードバックを生かせるだろうね。

 にしても、腕輪のフィードバックに気が付くのはいつになることやら・・・・・・


「あり得ないだろ。なんで目隠し女に匹敵するヤベェ奴が二人も居るんだよ・・・・・・」


「目隠し女・・・・・・その人も、アレと同じクラスの武技を扱えるなんて何者なんですか。ホムラさんはあの竜との戦いを毎日やって居るみたいなので分かりますけども・・・・・・・」


「ダイアル殿でござるよ。目隠しをしている変な女の人に見えるでござるが、強いんでござるよ。あのドラゴンと戦ったのなら・・・・・・」


 オボロが背後でダイアルについて説明している。

 あの兎竜の熱鎖縛葬の大本だろうしね。

 兎竜が使うのは擬きってレベルで精度が全然違うけども・・・・・・


 兎竜のはオリジナルに近づいている感じはするけど、熱鎖縛葬って恐らくアレが正しい使い方では無い気がするんだよね。

 何度も兎竜の熱鎖縛葬擬きを見ているから分かる。

 アレを見た上で本物と比べてみると、本来とは違った使い方をしているのが分かるんだよ。

 そもそも縛葬なのに縛ってないしね。


「クッソ、こうなったら・・・・・テメェがその錬金術師を渡さないなら・・・・・・このガキを殺すぞ。言っておくがコイツは騎士団所属じゃないから復活しないぞ?」


「ヒィ!?」


 騎士団の上位メンバーが軒並み殺されて自暴自棄になったのか生き残りの騎士団員が連れてきたであろう錬金術師を人質に取った。

 こいつ等・・・・・・蘇生処置とか無しにクラフターを連れ回しているのか。

 目に見える騎士団員にナイフ投げてたから、流れ弾が当たってたら死んでたよ。


「卑劣な・・・・・・君達の仲間じゃ無いのか?」


「仲間では無い。道具だ。そもそも騎士団員全員仲間じゃないからな。蹴って蹴落とされるライバルだ。俺達に仲間はいねぇよ。仲良しこよしのお前達冒険者と一緒にするな」


 仲間じゃ無いね。

 典型的な戦闘者って何処まで行っても碌でもないんだね。

 ここまで酷かったかは分からないけどそんな奴の根性をたたき直したシャウラを尊敬するよ。

 私じゃ無理だよ。こんな奴の根性をたたき直すことなんて。


「な、なんで・・・・・・言うとおりにしたのに・・・・・・」


「お前は俺の道具だ。何に使っても問題無いだろ。まともに動けるようになってるって事はつまり、今は俺がリーダってことだからな」


「なるほど。他人を蹴落とすことしか考えてない戦闘者がまともに動かないのはそういう理由だったか」


 リーダー以外は行動制限されてるんだ。

 つまり、リーダー殺したところで新しいリーダーが出てくるだけ。

 なんかさっきから頭つぶしても同じのが沸いて出てきて、まるで何度も体を変えて生き返ってるように感じたけどそういう理由だったんだね。

 同じようなタイプの人間ばかりだからまるで同じのが沸いて出てる感じになってたんだろうね。


「さあ、さっさと・・・・・・」


「こんなところで暴れるのやめてもらえるかな~?」


 騎士団リーダーの男が私達に何か言おうとした途端、気が付くと男の背後に女性が立っていた。

 瞬きした途端既に立っていて、いつ現れたのか分からなかった。

 女性はチョコ草やチョコアニマルから手に入れたと思われるチョコの固まりを手に持っていた。


「な!? いつの間に背後に!? それに、貴様も錬金じゅ・・・・・・・・」


 いきなり現れた女性にも錬金術師判定しようとした瞬間、男は消えた。

 何の痕跡も無く、最初から居なかったかのように・・・・・・


「消えた・・・・・・?」


「違うよ。消えたんじゃない。喰われたんだよ」


 口元の動きを見れたから私は気が付けた。

 口を開けて閉じた瞬間に消えた。

 まるでその場にあったものを瞬時に全て口の中に放り込んだみたいにね。

 というか口をもごもごさせてるから確定でしょ。


「う~ん、やっぱり根っこが腐ってるから余り美味しくないね~」


「ヒィ・・・・・・まさか、さっきのリーダーだった男は・・・・・・・・」


「ボクが食べたんだよ~さっきの死骸も全部ボクが食べた~だから~君達騎士団の皆は全員ボクのお腹の中に招待してあげるね~」


 そう言った瞬間、辺りから騎士団のメンバーは全員消えた。

 残されたのは錬金術師の男の子のみ・・・・・・


「ひ、ヒィ・・・・・・食べないでください」


「食べないよ~ボクは掃除しただけだからね~それじゃあ~機会があればまたどこかで会おうね~」


 そう言って謎の女は去っていった。

 文字通り、ここにあった全ての悪意を喰らい尽くして。


 あの女の人・・・・・・私達の工房に出入りしてるの見たことあるけど関係者?

 シャウラの抱えている冒険者だったりするのかな?

 なんにせよ、ちょっと怖かった。

作者「旧版と違って初登場がバイオレンス過ぎるね」

謎の女性「当初から敵を食べる設定はあったでしょ~ピンク球のあのマスコットとやってることは同じでしょ~」

作者「食べてるのが人間だからバイオレンスに見えるだけなのか?」

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