第四話 合同錬金をしてみよう
10/23 内容リメイク
◇ ◇ 拠点 錬金工房 ◇ ◇
さて、朝ご飯も食べて元気いっぱいだ。
今日も錬金術を試行錯誤していこう。
「ホムラちゃん・・・・・・錬金術の教本なしで錬金術出来たんだね」
今日はセルフィスことフィルも一緒だ。
彼女も錬金術をやりたいと思ってるからね。
「そうだよ。折角だから教えてあげようか?」
昨日理解したことを一度おさらいして色々と試行錯誤したからね。
他人に教えるにはどうしたら良いのかはよく分かってないからその辺は考える余地あるけどね。
完全に感覚でどうにかしてるようなものだし理論的な人はアレで習得できるとは思えないからね。
「うん・・・・・・ホムラちゃんの覚えた方法で錬金術やってみたい」
「それじゃあ、まずは変形術から覚えていこうか」
変形術とは私が名付けた錬金術の技術だ。
粘土みたいに変形させる錬金術の技術だから変形術。
名前そのまんまだからわかりやすいよね。
正式名称が違う可能性があるけど私はそれで通すつもりだ。
「まずは糸を大釜に入れる」
「糸を大釜に・・・・・・」
「そしたらかき混ぜる。糸で布が出来ることをイメージしてね」
「イメージして・・・・・・」
糸を布にする程度ならこれで不可思議な布を私は作れた。
これでフィルが上手く布を作れれば良いんだけど・・・・・・
「ええっと・・・・・・・あれ?」
「ん~やっぱり私みたいに色々とやってなかったからイメージ不足なのかな?」
フィルは裁縫をしてなかったからね。
だからイメージが足りないんだろう。
完成後の具体的なイメージの違いなんだろうね。
そういえば補助の感覚も一緒に学んだよね?
それでフィルの変形術を補助すること出来るかな?
やってみようか。
このまま放置してても時間掛かるだけだしね。
「フィル、ちょっと試して良い?」
「・・・・・・? 別に良いよ」
それじゃあ遠慮無く。
私はフィルの変形術を補佐するように力を働かせた。
「ここをこうすれば良いんだよ」
「さっきよりやりやすくなってる」
しばらくしてフィルは布を完成させた。
出来たのは当然不可思議な布だ。
今の私なら不可思議な布にならないように変形させること出来るけど今のフィルじゃそこまでは出来ないからね。
さっきので理解したのか不可思議な布を一人で作って反復練習している。
私は金属を使わないと出来なかったけどフィルは私程スムーズに布を作れるわけじゃ無いからこれで十分だったみたいだ。
ただ、まだ完全にコツをつかみきれてないから大鍋の補助無しで変形術を行使するのは難しそうだけどね。
「さて、私も昨日の作業再開しようかな」
大釜は二つある。
だからフィルが大釜を使っていても私が大釜を使えないわけじゃ無いからね。
昨日放置した金属塊を大釜に入れて合成を再開する。
変形術で混ぜ合わせつつ補助を利用して合成する。
う~本当に難しい。
補助が小さすぎるから合成が進まない。
その補助を自力制御するのが上手く行かないからだ。
合成のコツをつかんでないというのが大きいだろうね。
既に片手で変形術を行使できるけど片手で合成が出来ないから進まない。
せめて合成だけを出来るようになるかもう少し変形術を熟練させないとこの調子のままだろうね。
「ねえ、ホムラちゃん」
「フィル? 何か分からないことでもあった?」
結構出来ていたと思うけど・・・・・・・
何か問題でも起きた?
「さっきからやってるのって変形術と同時に使わないと出来ないものなの?」
「そうだよ。合成についてはいまいちつかみきれてないから中々進まなくてね」
「私が変形の方を担当したら出来るかな?」
・・・・・・・確かにその通りだ。
そうだよね。
サポートできたんだから合同で錬金するというのも出来ないわけがない。
「出来るね。ってことは手伝ってくれるの?」
「さっき変形術教えてくれたでしょ。こういうのは助け合うことが大事でしょ」
その通りだね。
それじゃあ・・・・・・
私が合成を担当、フィルは変形を担当して初めての合同錬金を開始した。
フィルの変形はまだまだ未熟というのもあり私の片手よりも精度は低いけど合成するには十分だ。
合成は変形に合わせて行う必要がある。
さっき私がフィルの変形術を手伝ったこともありその辺はわかりやすい。
というか未熟なおかげでスピードが遅いからかなり合わせやすい。
やり方のコツをつかめていける。
この調子なら数十分で青銅が完成しそうだね。
私達は時間を掛けてゆっくりと合成していきついに青銅を完成させた。
昨日との進み具合を比べたらあっという間に完成したよ。
合成だけに集中できたのが良かった。
「どう? ホムラ?」
「うん、ばっちり覚えた。一人でだとまだまだ時間掛かるとは思うけどね」
これで合成が一人で行えるようになった。
あとは同時使用のコツさえつかめば合成を完全にマスター出来るだろうね。
「一発で出来るなんて凄いね」
「一人だとまだまだ時間掛かりそうだけどね。この合成方法をもう少し試そうか。変形術のコツとか教えられるしね」
この方法でもう少し合成のコツをつかんでいけば時間短縮できるでしょ。
全力で集中しなくてよくなったからフィルに変形術のコツを教えながらできるしね。
「うん。やっていこう」
私達はこのまま合同錬金を続けて昼頃にはフィルも私も合成術をマスターした。
この勢いのまま合成術教えてすぐに出来るようになったのは予想外だったけどね。
フィルは合成術が私よりも適性があったらしい。
フィルは調合が得意だし錬金術で薬を合成する適性が高いのかもね。
薬関係で特許を何種類も持ってるしね。
薬系の特許は製薬会社が作ったので無ければ製薬会社に売ることも出来たりする。
自分で作れるわけじゃ無いから持ってても仕方ないしね。
まあ売れない場合の方が多いから薬の特許は手段を持ち合わせてなければ開発するだけ損っていわれてるくらいだしね。
フィルの特許はフィルの所属する(入院しているとも言う)病院に受け渡してその純利益の一割を貰うという契約になっているらしい。
少ない気もするけどその代わり入院費がタダになってるらしいから妥当ではあるみたいだ。
フィルが開発した数を考えたら妥当じゃない気もするけどね。
その辺の事情を熟知してるはずのシャウラが動いてない辺り何かありそうだけどね。
さて、昼ご飯を食べたら錬金術の本で色々と学んでいこうか。
フィルは私が関われない薬品合成を試し始めてるから切断術のことを教えられないしね。
まあフィルがこの辺を必要とするのかは分からないけども・・・・・・
いや、薬品の材料を切り刻むのに使うかな?
フィルにその辺教えるのは彼女の作業が一段落した後で良いでしょ。
私は錬金術の本で色々と学んでいこう。
にしても・・・・・・変形術とか色々あるけど何か私の方法一歩先行ってる気がする。
錬金釜か錬成陣の上でしか合成術を使えないとか書かれてるんだよね。
私が使ったのはただの大釜だから錬金釜ですらないんだよね。
「でも、付与術とか色々書かれてる」
液体系を攪拌させるのに役に立ちそうな流動術の存在とか色々と書かれていた。
流石に液体系をそのまま大釜に入れるわけには行かないし作る物も思いつかないから習得は後日かな。
それよりも付与術だよ。
エンチャントだよ。
念願のファイアソードとかのエンチャント武器が作れるようになるんだよ。
これがやりたかったんだよ。
まあ、問題はこの本には軽い付与の方法しか書かれてなかったんだけどね。
あとは合成術の簡単なレシピかな。
とりあえず軽く作ってみようか。
一応エンチャントソードにはなるだろうしね。
シャウラ「フィルの特許? フィルが作ってるのは元々かかる人の数少ない難病に対する特効薬だからそもそもの売れ行きが少ないんだ。実はホムラに対しては一割入ってるって嘘付いてるけど実際にはそれで懐に入るお金はゼロだったりする。とはいえこれのおかげで回復した人は感謝してフィルにお金を寄付したりしてるから完全な慈善事業って訳じゃ無いんだけどね」