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第三十六話 レクトとドルフィス

 ◇ ◇ 拠点 錬金工房 ◇ ◇


 いつものようにレイムチェラビドラゴンにぼこぼこにされてた後、錬金工房で調合していると見知らぬエルフが入ってきた。

 明らかに耳がエルフだし、オボロと違って正統系のエルフだ。

 今でこそ忍者スタイルじゃなくなってるけど、和装のエルフって割とおかしいしね。


 金髪で背中に弓を背負っているいかにも森に住むエルフって感じだ。

 こんないかにもなエルフが何故こんな所に・・・・・・ってそういえばオボロにはお兄さんが居たね。


「君がホムラさんかな?」


「そうだよ。君は一体誰?」


「僕の名前はレクトだ。オボロの兄であり、君の専属冒険者でもある。クラスとしてはアーチャーをやっている」


 ついにレクトさんが帰ってきたって事ね。

 そして、すぐ後ろに居る鎧の男の人が恐らく・・・・・・


「そうか、お前さんがホムラなんだな」


「こら、ドルフィス。余りため口で・・・・・・・」


「別に構わないよ。そういうの気にしないから」


 一緒に冒険する仲間なんだし気を張ってたら結構辛いでしょ。

 気楽に行こうよ。気楽にね。


「ホムラさんがそういうのなら・・・・・・」


「ははは、ホムラは良い奴だな」


 鎧男のドルフィスさんが笑いながらそう言った。

 結構豪快な人なんだね。


「ドルフィス、自己紹介をしてないよ」


「っと、そうだったな。俺の名前はドルフィスだ。クラスはタンクだ。守りは俺の専門って事だ。頼りにしてくれよ」


 最近戦っている相手が悪いからなのかも知れないけど不安しか無い。

 なんか、レイムチェラビドラゴン・・・・・・長いから兎竜でいいや。

 何度も戦う事になるし、ドラゴンじゃ分かりづらいしね。

 その兎竜の熱鎖縛葬で一瞬で貫かれそう。


「なんか、表情的に不安そうだな」


「最近レアミッション引き当てたらしいし、その相手の攻撃を防げなさそうだから不安なんだろう」


 レクトさんに見事に当てられた。

 実際その通りだしね。


「ははは、大丈夫だ。俺なら問題無く防げるさ」


 その言葉は本当なのかな?

 ・・・・・・明日試せば良いか。


 ◇ ◇ 次の日 試練の場 ◇ ◇


「ラビビラー!」


「ぬわー!?」


 兎竜の熱鎖縛葬擬きを受けて消し炭になった。

 案の定だったね。


「ホムラさん・・・・・・なんで貴方はレアミッションを確実に引けるんですか・・・・・・」


「私にも分からん」


 自分だけ毎回レアミッションになるからね。

 何度もレアミッションになるおかげで仲間を巻き込む方法もつかんだくらいだしね。

 その気になればオボロ達を巻き込めるよ。


「ララビット」


「そうだね」


 多分、たいしたことなかったっていってるんだろうね。

 防げると言った割にはね。

 でも多少耐えたのは凄いとは思うけども・・・・・・


「明確に知性あるんですね。案外仲が良いんですか?」


「超えるべき相手だよ」「ラビチェン!」


 私に取っては超えるべき相手。

 兎竜にとっては修練相手ってところかな。

 戦う度に熱鎖縛葬の精度が上がってるんだよね。

 試練のモンスターでも明確な意思がある以上は成長し続けるって事なんだろう。

 レアミッション引く人なんてそうそういないだろうし、成長することあまりないんだろうけどね。


「問答無用で襲ってこない辺り理性的ですね」


「ラビビンラビ。ドラ、ラビビット?」


「何を言っているのかさっぱり分かりません」


 私にも分からん。

 大雑把に何言ってるのか分かる程度だ。

 正確に言語を解読出来ているわけじゃない。

 大雑把に何を言っているのかを理解しているだけだしね。


「それじゃあ、再開しようか」


「ラビビット、ラビビラチェン」


 そして戦闘再開した。

 兎竜は鎖を縦横無尽に叩きつけてくる。


「ああ! なんか、このドラゴンおかしいですよ!? ブレスは吐いてこないんですか!?」


「私に効かないの分かってるから吐いてこない」


 逆に回復させてるという事実を理解したのか、それ以降ブレスを吐いてこなくなったんだよね。

 熱鎖縛葬擬きとかは普通に使ってくるあたり物理中心の攻撃は通じると分かって居るみたいだ。

 熱は防げても溶けた地面とかで動きが鈍るしそれを狙っているんだろう。

 ブレスの火力じゃ常に燃え上がらせることは出来ても、地形を溶かすなんてことは出来ないみたいだからね。


「ドラドラドラドラ!」


 ズガガガガと音を立てて地面をえぐっていく鎖。

 もはや熱鎖縛葬擬き使わずとも火力が高いんだよ。

 まともに攻撃受けたら余裕で死ぬね。


 いや、既に大量の小ホムラがこれで葬られている。

 小ホムラがホぅムラ(葬ら)れているってなんか頭の中をよぎった。

 どこかの個体が寒いギャグを思いつきながら葬られたね。


 それぞれに意思があるから、状況次第では別の考え方をする個体が出てくるんだよね。

 常に同期していることもあって仲違いとかは起こらないんだけどね。

 同期が切れている間にとんでもない変化があったらどうなるんだろうとは思う。

 というか、どれかの個体が洗脳とかされてたらフィードバックで本体にまで洗脳が及ぶんじゃ無いかって思ってしまう。

 ・・・・・・対策とか考えた方が良いかもね。

 洗脳手段知らないとどうにもならない気がするけど。


「ック、【一射縫い撃ち】」


 レクトさんが兎竜に向かって技を放った。

 熱鎖縛葬ほどでは無いけど結構強力そうな技だ。

 確か、武技って名前の技だったよね。


 的確に目を狙い撃ちにしている。

 私が投擲したところで目にすらナイフが突き刺さらなかったのに凄い威力だ。

 ただの先端を削っただけの木の矢なのに突き刺さっている。

 これが武技の威力なんだろうね。


「ラビラビ。ラビビット」


 目に突き刺さった矢が燃えて灰になる。

 突き刺さったはずの目は既に完治していた。

 こいつ、目にも再生能力があるんだ。

 突き刺し続けなければ意味が無いんだろう。


「な!? 急所を貫いたのに無傷!?」


「ヴィヴィラビ」


 俺は成長するから同じ手は喰らわんと言っているみたいだ。

 生き物なんだしそりゃ成長するよね。

 何度も執拗に投擲で目に攻撃したから、刺さらなくても警戒したんだろうね。

 いずれ刺さってしまうなら刺さっても問題無いようにしたって事なんだろう。


「こんな強敵に一度はオボロが勝っているのに・・・・・・兄として負けられない!」


 オボロが勝ったのはこれよりもまだまだ弱かった頃なんだけどね。

 連日私が挑みに来ることでどんどん強化されてるし、そもそも勝てたのは運が良かったというのが大きいから実力で勝ったわけじゃ無いんだけどね。

 今の私達の実力じゃ正面から戦っても勝てないと思う。

 小ホムラありきで戦ってもね。


「ラララビ」


「な!?」


 ノーモーションからいきなりレーザーのようにブレスを放った。

 いつの間にか新技獲得してるよ!?

 私に通用しないから使ってないだけなんだろうね。

 でも、地面貫いている辺り火力は熱鎖縛葬擬きよりも遙かに高そうだ。


「・・・・・・ラビビット」


「!?」


 一応試してみるかとそんな軽い気持ちなんだろうけど、私に向かってレーザーブレスを放ってきた。

 案の定効かない、それどころか私が触れている所は全て吸収される形で消滅していて一切効果を発揮してない。

 だが、それ自体は想定済だったのか左右から熱鎖縛葬擬きで穿たれた。


 ブレス中は遅いとは言え、ブレスに対処して動けない私がこの熱鎖縛葬擬きに対処出来るわけ無かった。

 次は勝つ!

 そう思いながら試練場から強制退出されていった。

兎竜「ホムラとかいう女、ヤベェな。どんどん強くなっていってる。半年以内には負けるだろうな。そして負け始めたら最後一方的に負け続ける気がする。まるで思い出しているかのように戦闘センスが研ぎ澄まされていっているから本気でヤベェよ」

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