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第三十五話 兎竜と再戦

 ◇ ◇ 試練の場 ◇ ◇


 一日一度挑戦して、数を増やした小ホムラによる数の暴力でようやくレアミッションの第一の試練を突破した。

 大量にわき出てくるモンスターを一人で・・・・・・ではないけどどうにかするのは結構骨が折れた。


「よし! ようやくドラゴンとご対面だね」


 十時間後にレイムチェラビドラゴンと再び戦うことになる。

 今度はコクウとオボロの助けは無しだ。

 倒せるかどうか本気で分からない。


 でもやらなきゃ駄目なんだよね。

 ただでさえ冒険者よりもクラフターの方が劣ってるのに潜在能力解放が冒険者達の方が早いんだ。

 小ホムラが冒険者設定でも戦闘系の解放値はクラフターのものが適応されるからね。

 小ホムラだけで試練を受けたとしてもそれは変わらない。

 小ホムラは冒険者判定なのにそこだけクラフターなのはずるいよね。

 まあ、数の暴力で試練を突破できる方がずるい気がしなくも無いけどね。


 よし、十時間まってようやくドラゴンのお出ましだ。

 数日ぶりに見た兎のようなドラゴンが姿を現す。


「ラビィィィィィィ! ラビィ!?」


 私の姿を見た途端、また来たと言わんばかりに鳴く。

 こいつ、前回と同じ個体か。

 ってことは繰り返すと向こうも学ぶって事ね。

 ちょっとめんどくさいかも知れない。


「ラビ・・・・・・ラビット!」


 なんか、固まってたけどドラゴンは行動を再開した。

 初手から背中の鎖を出して熱鎖縛葬擬きを叩きつけたのだ。


 熱は平気だから鎖を躱せば問題無い。

 私は火に強いからね。


「ラビラビ・・・・・・ラビチェーン!」


 そう思っていたら鎖が急激に冷え始めた。

 鎖が叩きつけられた地面が急激に冷えていく。

 なんだこれ!? 新技!?


「ラビラビ。ラビット」


 あの時は使ってこなかったし、ひょっとしてあの後ダイアルがあの試練に入って覚えさせた?

 自分の熱鎖縛葬擬きを使ってたから覚えさせることが出来ると思って、練習ついでに周回していてもおかしくは無い。

 あそこってレアミッションにならなければ一日10種類の試練を受けられるからね。

 この短期間で覚え込ませることは出来なくはない。


 あの技は熱鎖縛葬に習って冷鎖縛葬って所かな?

 地面が急に凍るとは思わなかったから、小ホムラが何人も犠牲になっている。

 流石に試練からリアイアした小ホムラは即時復活とはいかないみたいだね。


 こうなるんだったらトラップしかけた方が良かったかな?

 いや、トラップばかりに頼ってたら駄目だ。

 戦闘経験が不足しているからそれを補いたいと思ってるしね。


 それに、あれ以上の火力を出そうと思ったらニトログリセリンとかに手を出さないといけない。

 流石にニトログリセリンとか扱うとなると危ないから、ちゃんとした設備が出来るまでは扱いたくない。

 爆発して拠点が吹き飛ぶとか笑えないからね。


 そう思いながら戦っていたら氷の鎖が私の本体を貫いた。

 本体を辛い抜いた瞬間、強制的に試練が終了した。

 どうやら、小ホムラが無事でも本体がやられた地点で強制的に終わりらしい。

 明日からは気を付けないと・・・・・・


 ◇ ◇ 次の日 ◇ ◇


「よし、もう一度来たよ!」


「ラビビ!?」


 なんか、凄い驚愕された。

 連続でレアミッションを引き当ててることに驚かれたのかな?

 連続で引き当てている理由はこっちが聞きたいくらいだよ。


「さて、再戦だ!」


「ラビビ・・・・・・ラビチェン」


 なんか、うんざりしていると言うのが分かる。

 しっかり記憶持ってるんだね。

 これで確信したよ。


「ラビドラチェーン!」


 ドラゴンが大きく鳴いたと思ったら強大な熱を纏った熱鎖縛葬擬きを放ってきた。

 前回の氷の鎖じゃないんだね。

 ダイアルに効いてみたところ冷鎖凍縛って名前の技をね。


 冷鎖縛葬は盛大に間違えてたね。

 曰く、焼いて死体を葬らないんだから火葬の葬は使わないとのこと。

 縛り上げて冷凍保存するみたいな理由から冷鎖凍縛という名前らしい。


「うわぉ、熱は平気だけど鎖が凄い速度で叩きつけられるのは普通に不味いね」


 私に触れている剣は熱に耐える。

 だけど、うっかり手放そうものなら一瞬で溶けてしまう程の熱量を秘めている。

 それがあのドラゴンの必殺技なのだから。


「こっちだって何もしていなかったわけじゃ無い。君に対抗する力を身につけてきた」


 火が平気で火を吸収する体質の私なら、逆に火を放出出来るんじゃ無いかって色々と試行錯誤してみたんだよね。

 そして、オボロの力のフィードバックを受けて私は私の中にある力の扱い方を学んだ。

 宇宙にある星々の力を束ねた恒星の力とでも言うべき力。

 予想では陽光の力という名前のこれを炎として放出する。


 今の私には完全に使いこなすことは難しいけど、剣に纏わせるだけなら出来る。

 これぞ、陽光の剣!


「ラビッ?」


 見るからに火力は低いでしょ。

 低いよね。そりゃ低いよ。

 出力が安定してないのに実戦投入だもん。


「でも、こんなのでも君の炎より何十倍も上だ」


 恒星の力を束ね獲得した恒星の光そのものなのだから。

 熱量は炎の遙か上を行く。

 崩壊する体を普通の人と同等の代物にするために、背負っているハンデをなくす為に作られた力なのだから。


 ・・・・・・なんで、私はそんな力持ってるんだろうとは思う。

 恒星に焼かれながら習得するものでしょ。

 なんでこんな物持ってるのか意味不明すぎるんだけど。

 普通焼け死ぬでしょ。どうやって耐えたんだか・・・・・・


 あと、何故かこの力を作り出した経緯とかが頭の中に出てくるんだよね。

 陽光の力には極めて強力な再生の力がある。

 本気で行使すれば一瞬で腕が生えてくるレベルだ。

 ひょっとすると私は由来を知りつつこの力を手に入れたから、力を行使することで消えた記憶が蘇っているのでは?

 記憶まで再生されているのか、それとも行使した刺激で思い出しているのかは分からないけどね。


「ラビビ・・・・・・」


「それじゃあ行くよ! 長距離・切断術(ロング・カッティング)!」


 炎を乗せつつ長距離切断用の切断術を行使して空中の鎖をまとめてなぎ払う。

 小ホムラでさんざん切断術の練習をしたんだ。

 おかげで陽光の力を乗せつつ切断術を行使するということも今では普通に出来る。

 陽光の力を纏った長距離・切断術はまるで炎の剣が伸びたように見えることだろう。


「ラビララ!?」


「まだまだ! 切断術(カッティング)!」


 本体から、小ホムラを経由させることで適性値の低下なしに切断術を行使できる。

 小ホムラ経由とは言え制約を受けない本体が行使しているからこそ出来る荒技だ。

 これで、手数を増やす。


「ラビビット」


 そう思っているとドラゴンが鎖を伸ばし思いっきり体を回転させた。

 鎖に思いっきりぶち当たった小ホムラは思いっきり吹き飛ばされた。


 考えが甘すぎた。

 この程度じゃまだまだドラゴンには勝てないんだ。


「チェラビ」


 一瞬で小ホムラを全員葬られた私はそのまま鎖の一撃を受けて試練に失敗した。

 まあ、以前とは違って第一試練を突破しているから多少は解放値は入るんだけどね。

 正直悔しすぎる。

 何度でもリベンジしてやる。

兎竜「俺の言葉か? ハーメルン版なら聞き取る方法あるかも知れないな」

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