第三十四話 武器強化
◇ ◇ Side オボロ 拠点 訓練所 ◇ ◇
「フレイフィルにワールドゼロね。まさか、そこまで遠い過去に飛んでいたなんてね。しかもワールドゼロの侵攻が最も酷かった時期に。安全な世界なんて殆ど無いよあの時代」
「ダイアル殿は知っているんでござるか!? その当時の時代を!?」
ダイアルさんがワールドゼロのことまで知ってたのは驚きだよ。
相当昔の出来事だと思うしね。
「そりゃそうでしょ。ワールドゼロは、今でこそ大半が殲滅されてるから殆ど居ないとはいえ、まだ居るからね」
「まだ、この時代にも生き延びていたって事でござるか・・・・・・」
というか殲滅って聞く限りかなり殲滅が難しそうだったけど、どうやったんだろうか?
「まあ、直接会ってるとなると、あまり詳しく話しすぎるのも問題が出そうだね。一番弱いのですら、一対一で勝ち目あるかってレベルだからね」
「え、でもフレイフィルさんは・・・・・・」
「絶対遵守の力なしでそれが出来るのは相当とんでもない実力が無いと無理なんだよ。対抗手段無しに一番弱いのなら一対一で勝てるって地点で既におかしいからね」
ダイアルさんがそこまで言うって、相当とんでもない実力が無いと無理って事なんだね。
よく考えたらそんな強敵相手を足手まといを抱えながらあしらうなんて、相当実力が無いと無理だもんね。
対抗手段持っていたら、ワールドゼロ相手でも無双出来たんじゃ無いかな?
「まあ、聞けばワールドゼロに相対する可能性が高まるし、これ以上は聞かない方が良いでしょ。私みたいにワールドゼロに相対しても、逃げるあるいは生存することが出来る実力があるなら話は別だけどね」
倒せるとは言わないんだね。
ということは、ダイアルさんは絶対遵守の力を持ってないんだ。
「どうやったら、絶対遵守の力を手に入れられるんでござるか?」
「今の君じゃ無理。まだ入手するスタートラインにすら立ってないからね。まずは下地を詰むことからだ。絶対遵守の力は長い年月を得て技術を培ってようやく入手出来る、一種の奥義だ」
無理だと断言された。
そうだよね。
今の私にはまだまだ早すぎるよね。
「君が、強くなりたいと願い続けて技術を磨き続ければ、必然と手に入れることになるだろうし知らなくても問題無いよ。まあ、何万年かかるか分からないけどね」
「万年単位!?」
いくら私がエルフでもそんなに長生きは・・・・・・ひょっとして強くなると寿命が延びるとかそんなのがあるの!?
「この世界の目的の一つに対抗する人材を育てるという目的があるし、試練を乗り越え続けていればいずれはスタートラインに立てるはずだよ」
試練を超えてようやくスタートラインに立てる訳ね。
先が長すぎる。
「無理にワールドゼロに張り合う必要は無いよ。この世界は絶対遵守の力を持つ者が運営している。ワールドゼロがやってくるとかそんなやばい自体なら普通に対応するよ」
そうか、今の時代には対抗できる人達がいるんだね。
・・・・・・あれ?
「じゃあ、なんでワールドゼロを殲滅しないんでござるか?」
「意味が無いからだよ。あいつらは時間を掛けて再誕する。完全な根絶は出来ないし、するわけにもいかないんだ」
再誕って・・・・・・つまり倒しても倒しても生き返るって事なの!?
だとすると意味ないってなるよね。
でも・・・・・・
「根絶するわけにはいかないって・・・・・・」
「ワールドゼロの正体にも関わってくるから話せないね。少なくともワールドゼロになる前の存在を根絶させてはいけないということだけ覚えてれば良い」
また知ってはいけない感じか。
私がもっと強くならないとその辺の正体は知れないんだろうね。
「さて、とりあえずこの話は終わろう。どうせ知れないことが多数出てくるだけだろうしね」
確かに、ダイアルさんと違って知ることが許されない事柄が多すぎるからね。
もし、フレイフィルさんがどうなったのかを知りたかったらもっと強くなる必要がある気がする。
それを知るために強くなる必要は無い気がするかも知れないけどね。
でも、ワールドゼロの存在知っちゃったしね。
もし、私達の大切な人達がアレに蹂躙されるんだとしたらと考えると、力を付けておくにこしたことはない。
それに、またタイムトラベルに巻き込まれるかも知れないしね。
その時にまた襲われるかも知れないし対策考えておいて良いでしょ。
少なくとも知ってしまった以上は巻き込まれると考えて良いだろうしね。
「折角だし、さっきやってた武器強化についてやってみようか。というかそれが出来ないと君が得た力を、刀に纏って扱うなんて出来ないだろうしね」
武器強化?
そういえば、さっき不自然に加速して派手に刀を叩きつけたのにへし折れなかった。
それのことだろうか?
「どうやるんでござるか?」
「君は錬金術が使えるでしょ? まずは硬化術で適切に武器を強化していくことからだよ」
硬化術・・・・・・
確かに私の錬金術の適性にある。
「でも、硬化するだけだと・・・・・・」
「そうだね。硬化するだけだと逆に脆くなる。もう一つ軟化術というのもあるんだけど、この二つを同時に扱うのは至難の業だし、今は硬化術単体で刀を壊してしまわないように強化するんだ。この訓練所の刀は何本へし折ったとしても問題無い。無限資材の一つである初期武器だからね。適切な硬化のさせかたを何本もへし折っても良いから学ぶと良い。本気は出さないけど、ボクも攻撃するからね」
つまり、戦闘しながら適切な強化をし続けられるようにってことね。
でも・・・・・・
「適切な強化を理解してからの方が・・・・・・」
「何言ってるの。戦闘しながらじゃ無いとそういうのは一切分からないよ。刀に攻撃打ち込まれて初めて適切か否かを判断できるわけだしね。それ無しで試行錯誤してもちゃんとした方法は身につかないよ。常日頃から刀に攻撃打ち込まれて、どうすれば良いかを理解しているとかの大前提が無いとね」
確かに、刀の何処が打ち込まれて平気なのか理解してない。
基本的に刀では受けないように気を付けつつ戦っているからだ。
刀って意外と脆いからね。繊細なんだよ。
つまり、今まで避けていたことを実行しろって事ね。
そうしないと強化の方法が分からないから。
「とはいえ、どれだけ強化したところで刀が受けに弱いのは変わらない。刀が強くなったからと言って、むやみに刀で受けようとしないようにね」
考えてることが読まれたのか、ここで刀で攻撃を受けたからといって実践でやるなといわれた。
そうだよね。これはあくまでも刀を強くするための力を乗せるための訓練だからね。
この特訓を実践の参考にしない方が良いって事ね。
でも、万が一攻撃を受けてしまうときに刀で受け流す練習にもなるだろう。
最優先なのは自分が攻撃を受けないことだからね。
むやみに攻撃を刀で受けないことが重要だしね。
そうなると、いつも通りに動きつつ避けきれないときは攻撃を防ぐと言った形で立ち回った方が良いかもしれない。
とりあえず刀を構えてダイアルさんの攻撃を凌いでみよう。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「・・・・・・・き、きついよ」
「今日はここまで。動けるようになったら硬化術の復習をして次の訓練に備えて」
そう言ってダイアルさんは訓練室から出て行った。
手加減しているのは分かったけどかなり執拗に刀に攻撃を打ち込んできて何十本へしおれたか分からないくらいにはへし折られた。
そこそこ戦える気では居たけどまだまだなんだね。
ちなみに途中からコクウちゃんも参戦して戦ったけど、コクウちゃんも槍を何本もへし折られて倒れた。
二人がかりだったはずなのに、目隠ししながら立ち回るなんてどうかしているよ。
レクト兄達が帰ってくるまでには一日にへし折られる武器の数が10本以下になるようになりたいね。
ダイアル「コクウには別の武器強化の方法を教えてるからね。最終的な武器強化は別に錬金術を扱う必要は無いからね。本人達の適性でルートを変えてやれば良い」




