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第三十三話 二人の訓練

 ◇ ◇ 拠点 錬金工房 ◇ ◇


 オボロに試練を乗り越えて得た力を訓練させるための道具を与えた翌日、私は錬金工房であるものを試作していた。

 それは、オボロの新たに得た力が私にも既に宿っているかも知れないから、オボロに与えた腕輪の波長を観測し調査する錬金道具だ。

 私とて完全に持っていないと切り捨てているわけじゃ無い。

 試練を受けてようやく手に入れたであろう力を私が既に持っているなんて考えづらかったからだ。


 後からよく考えたら錬金技術も現実で使えるようになるってことを思い出して考え直したからね。

 だとすると獲得手段がゲーム内でしか無いなんて考えづらかったんだ。


 このゲームって生産関係は全て現実でも出来ると言われている。

 ひょっとするとこのゲームって実際に存在する世界で運営されているんじゃ無いかな?

 ・・・・・・流石に考えが飛躍しすぎか。

 作られた感じは所々感じるし、もしそうだとしたら世界を丸々一つ作りあげましたみたいな感じになってるだろうしね。

 ゲーム制作者は神様か何かかってなるよ。


「さて、とりあえず、完成したかな」


 完成したのはオボロの腕輪とほぼ同じ代物を小ホムラが付けられる小人サイズで作りあげた物。

 既に本体サイズの代物は作ってあったけど、小人サイズは中々苦戦した。

 今の小ホムラじゃ錬金術をまともに行使できないからね。


 ちなみに素材としてはアパタイトを使った。

 グリーンアパタイトには絆を強める、繋がると言う意味があるからね。

 にしても、調べる場所によって解釈が違ってくるのも石言葉の奥深さだよね。

 まあ、基本石言葉なんてイメージでしか無いわけだし、よほど変な解釈でも無い限りは全部受け入れていくつもりだけどね。

 その方が扱いやすいしね。


 これによって疑似的にオボロは小ホムラの練習のフィードバックを受けられるようになった。

 オボロの持つ力限定だけどね。

 もし、私の火に強い力がオボロの知るそれと同じなのだとしたらこれで私もオボロも力を使いこなせるようになるだろうね。


「とりあえず量産かな」


 ・・・・・・このときの私は気が付いてなかった。

 オボロの持つ陽光の力が錬金術に大きく関わっているなんて気が付かなかったからだ。

 つまり、今行っている錬金術の経験がオボロにフィードバックされているのだ。

 そのことを知ったのは今日の夜の話だった。


 まあ、錬金技術を行使する力はあるし問題無いよね。

 うん、問題無い。

 でも、同じ方法で教えられそうな人がいないのが正直残念だな。


 あと、勝手に追加で300人小ホムラを増やしていたことを知られたので本気でビュウスに怒られた。

 外に出す小ホムラは300人に限定していたはずなのに何故ばれた・・・・・・・

 まあいいや。格納空間内で小ホムラを増やす手段を獲得したからね。

 多分錬金技術で小ホムラを作るのを見られたのが原因だろうしね。


 ◇ ◇ Side オボロ 拠点 訓練所 ◇ ◇


「なるほどね。ボクに戦い方を教えて欲しいってことね」


「ダイアル殿なら色々と学べると思ったからでござる」


 私はシャウラさんから許可をとってダイアルさんを拠点に呼んだ。

 そろそろレクト兄たちも戻ってくる。

 冒険が始まる前に実力を上げておきたい。


「いいよ。なんか、不思議な体験したみたいだね。過去にでも行ってたのかな?」


 なんで分かるの!?

 いや、適当に言っているだけかも知れない。


「たまにあるからね。過去の時代に飛んでしまう事例はね」


「いや、実際に行ったという前提で話を進めないでござるか!?」


 もしかして本気で分かってる感じ?

 でも、過去に飛ばされたという話は私もコクウちゃんも話してないのにどうして・・・・・・


「あの時空中に浮いた刀があったでしょ?」


「あの時の刀でござるか?」


 熱鎖縛葬(あの技)のインパクトが凄かったせいで印象が薄いけど確かに宙に浮いていた刀があったね。

 アレがどうかしたのかな?


「アレは、時間操作の応用で行われてるんだよ。時間操作を曲芸みたいに使えばああいった現象がおこるんだ」


「時間操作の応用!?」


「そういうこと。そして、今の君にはそれが行使された痕跡が残ってるからごまかしても無駄というわけ」


 時間操作なんてできたんだね。

 って事は・・・・・・


「あれは真剣白羽取りみたいにピタッと時を止めたんでござるか?」


「ちょっとずつとはいえ動いていたでしょうに。そもそもあの程度の相手に時間停止なんてもったいなさ過ぎるよ」


 あ、そういえば少しずつ落下してたね。

 ほんの僅かに動いている感じでぱっと見は分からなかったけどね。


「さて・・・・・・」


 ダイアルさんが手をかざすと赤い球体みたいな空間が出来上がった。

 これってあの時作っていた力を視認出来るようにした感じかな?


「これに刀を振ってみて?」


「分かったでござる」


 刀を振り下ろすと赤い空間に剣先が侵入した瞬間、そこから引っ張られるように刀身が加速した。

 思いもしなかった加速で思いっきり地面に振り下ろしてしまい地面に刀を叩きつけてしまった。

 何故か刀は折れなかったけど何が起こったのか全く分からなかった。


「な、なんなんでござるか?」


「時間加速空間だよ。あの赤い空間は時間が加速しているんだ」


 時間加速?

 それで刀身が加速したんだね。

 でも、全体が入っているわけじゃ無かったのに何故?


「加速した空間に侵入した物体はその運動エネルギーもその時間に合わせて加速する。すると刀身が思いっきり引っ張られるわけだ。その結果、侵入していない部分も加速する。そして加速した分力を増した運動エネルギーを持つ刀身が更に侵入加速、それを繰り返した結果、凄まじいほどの速度で振り下ろされることになったわけだよ」


 なんでござるか、その奇妙な現象は。

 時間加速からはみ出ているところが侵入し続けるとどんどん加速していくって事だよね?

 かなりぶっ飛んでるよ。


「ちなみに1.1倍速の時間加速でこれだからね。これを逆にすると?」


「逆にすると? ・・・・・・振りが止まる?」


「残念不正解。振りは止まらないんだよ。少し鈍るかもだけど刀を振るうものから運動エネルギーが供給されて加速そして、空間から出た瞬間それが爆発するんだよ。時間加速時ほどの爆発力はないけどね」


 逆にすると止まるかと思ったけどそういうわけでも無いんだね。

 ってことは・・・・・・


「それをうまくどうにかした結果停止させたって事でござるか?」


 だからこその曲芸。

 おそらくかなり複雑な方法で止めているんだろう。

 運動エネルギーが配給される。それをどうにかして無意味なものにさせている。

 運動エネルギーの配給は時間減速すれば、仕組みを考えると伝わりが遅くなる。

 その辺を利用しているんだろうね。


「その気になれば止められたとしても、刀を回収できるんでござるか?」


「力技だとよほど頑丈で無い限りは刀が破損するからね。同じ時間操作で減速を中和してやれば一発で束縛は解ける。だから、余り意味の無い曲芸なんだ」


 決められるときに決めたら解ける人でも隙ができるから使い用はあるんだけどねとダイアルさんは言った。

 

 ダイアルさんって実はかなり凄い人だったりするのかな?

 ひょっとするとあの熱鎖縛葬なんかも本気では無いのかも知れない。

 そもそも、目を隠してるのに普通に戦闘出来ている地点で割とおかしな話だからね。


「これで時間操作をボクができるって分かったでしょ?」


「分かったでござるよ」


 私は過去であったことをダイアルさんに話すことにした。

 フレイフィルさんのことも全てね。

ダイアル「フレイフィルね。いつかは手合わせしてみたいものだよ」

オボロ「倒すならワールドゼロにして欲しいでござるが・・・・・・」

ダイアル「今の私じゃ無理だね。殺されるのがオチだ」

オボロ「・・・・・・ワールドゼロのことまで知ってるんでござるか!?」


なお、ばれた原因は常に300人行動させ続けたからだったりする。休憩が必要なはずの小ホムラが常に300人フル稼働してたら当然ばれる

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