第二十八話 朧と虚空の神隠し
10/23 内容リメイク
◇ ◇ Side小ホムラ 生産試練 練習部屋 ◇ ◇
調理器具を準備していたら研ぎに向かっていた小ホムラ達が戻ってきた。
流石に長時間動いたから疲弊しているし小ホムラで格納空間に収納して外に送り出す。
外と試練の中で小ホムラと本体が同期しているから出来る芸当だね。
序盤も序盤だから少し最高評価たたき出すだけですぐに適性が上がっていく。
全適性5%だ。凄まじい上がりようだよ。
いきなり最高評価たたき出すのは不可能だからこういう仕様になってるんだろうね。
「にしても、ソーセージ焼くだけでもかなり苦戦するね」
研ぎはどうにでもなるけど料理ともなると一筋縄じゃいかない。
余りにもサイズがでかすぎてかなり苦戦を強いられる。
フライパンの上で小ホムラが油まみれになりながらようやく転がしてるからね。
こういう作り方の地点で最高評価をもらえるとはとても思えない。
どうしたらもっと上手く出来るんだろうか。
フライパンの縁に乗るのがかなり難しいんだよね。
アニメとかだと小人が何かする時ってどうしてたかな?
あ~そうだ。
別に人が使う形にこだわる必要なんて無かった。
小人でも扱いやすいように調理器具の方を作り替えてしまえば良いんだ。
思いついたら吉日、早速本体に特製のフライパンを作らせそのフライパンを転送した。
木材の足場が付いたフライパンだ。
これならフライパンの底に足を付けずに調理できる。
さて、早速フライパンを変えて・・・・・・うん、重すぎて持ち上がらない。
サイズが大きくなってるからね。
熱の通りの問題とかで木材にしてあるとは言え決して軽い代物じゃ無いからね。
「仕方が無い。オボロ、コクウ、ちょっと手伝・・・・・・あれ?」
手伝ってとお願いしようと思ったら何故かいなかった。
・・・・・・試練の外に出た形跡もなし。
ゆで卵作りがそのままで放置されているから試練を受けたと言うわけでは無さそうだ。
・・・・・・何があった?
◇ ◇ Sideオボロ ◇ ◇
数分前・・・・・・
私ことオボロはコクウちゃんとゆで卵を作っていた。
「出来上がったら皮を剥いて・・・・・・これで完成でござる!」
「単純でシンプルだね。それじゃあ次は固ゆでを・・・・・・あ、卵が割れた!?」
「熱湯にそのまま卵を入れちゃ駄目でござるよ」
温度差で割れてしまうからね。
お湯じゃ無くて水に入れてから温度を上げないとね。
そんな感じで少し苦戦していた。
え? 何故ござる口調じゃ無いのかって?
ござる口調はそう言っているだけだからね。
心の内までその口調を押し通したりはしないよ。
所詮は侍の真似事として口調を変えてるだけだしね。
「あ!? 割れた!?」
「水がクッションになるとはいえ落としちゃ駄目でござるよ」
お玉などの道具を使ってゆっくりと入れないと。
低い位置から水に投下しても割れることがあるしね。
「ゆで卵でも意外と奥が深いんだね」
「・・・・・・これならホムラ殿のやっているソーセージ焼きだけの方が良かった気がしてくるでござる」
でも、ゆで卵の作り方で火加減をミスしてるし案外これが正解なのかもね。
ゆで卵なら最高評価出しやすいし。
ちなみに私は温泉卵を作りあげた。
ダシをかけて食べると最高なんだよね。
ちなみにサクッと試練突破してきた。
コクウちゃんもホムラちゃんも、私が試練を受けたのに気が付いてないないんだろうね。
一分で出てきたし無理も無いけど。
固ゆで、半熟ゆで卵、温泉卵、目玉焼き、卵焼きと突破してきたよ。
いつも以上に上手く作れたおかげで最高評価をたたき出しているよ。
これが適性から解放された影響なんだろうね。
適性で縛られなければここまで上手く行くんだろう。
コクウちゃんは適性があっても使ってなかったみたいだから殆ど何も作れないしね。
適性が5の私よりも何も作れてない。
仕方が無いけどね。
私は料理系の適性をひとまとめにした全調理系技能ってのを引き上げて10にしたよ。
こういうひとまとめにされたのもあるんだね。
戦闘系にも全行動系技能とか全武装系技能とかひとまとめにされたのがあるしね。
中には全刀剣系技能なんてのもある。
ひとまとめだと多少は潜在能力解放値がやすくなるし狙うのはありかもね。
ひとまとめになってないって事は私自身も把握してない派生技能なんかが含まれてるんだろうしね。
コクウちゃんの空脚とかの派生技能は認識しないと出てこないしね。
まあ、派生技能は大本の適性の影響をモロに受けるから単体で極振りするメリット皆無なんだけども・・・・・・
大本が100行ってたら話は別なんだけどね。
「ん? ちょっと、オボロ・・・・・・何か鍋が変な光を放ってるんだけど」
「変な光? ってなんでござるかそれは!?」
コクウちゃんに言われてみてみると何故かゆで卵の入った鍋が光り輝いていた。
妙なものを入れた覚えなんて無いのに・・・・・・
「とりあえず、火を切ってその場から離れるでござ・・・・・・」
指示を出していたら強烈な光に包まれて周囲が見えなくなった。
そして気が付けば私達は見知らぬ場所にいた。
◇ ◇ ??? ◇ ◇
「ここは一体・・・・・・」
荒れ果てた地、生き物が生きているとは思えない不毛な土地に私達は飛ばされたみたいだ。
でも、巻き込まれたのはコクウちゃんだけ。
ホムラちゃんは居ない。
まあ、巻き込まれたとしてもあそこに居たのは小人のホムラちゃんこと子ホムラちゃんだからね。
「・・・・・・なんか、さっきの光覚えがある。思い出した。ボクがあの場所に来たときの光だ」
「え!? ってことはコクウ殿は料理をして・・・・・・」
「いや、料理してたら出た光じゃ無い。多分料理とは無関係に出てきた光なんだと思う。今回のはたまたま何だろう。多分・・・・・・」
コクウちゃんがあそこに倒れる原因となった光が私達をここに連れてきたことは分かった。
でも、何故そんな光が突然?
「!? 誰か来た! とりあえず隠れよう!?」
コクウちゃんのいうとおり、私達は隠れた。
荒れ果てた地には倒壊した建物があったのでそこに隠れる。
やってきたのは人・・・・・・・人?らしき人物だった。
「・・・・・・おかしいな。生命反応があったのに誰も居ない。何処だろう?」
何か、危なそうな雰囲気を感じる。
このまま隠れてれば・・・・・・
「あ、見つけた。余りにも小さすぎて分かりづらいよ」
「見つかったでござる!?」
「落ち着いて。こうなったら逃走を・・・・・・・!?」
コクウちゃんが逃走を図ろうとしたら、瞬間移動でもしたかのように一瞬でよく分からない人が目の前に現れた。
「さて、それじゃあ・・・・・・!?」
目の前に現れたよく分からない人が一瞬で吹き飛ばされた。
そして、私達の前に赤い長髪の女性が立った。
「・・・・・・またお前か」
「またとは失礼だね。今度こそ仕留めに来たよ」
「絶対遵守の力を持たない癖に生意気なこというなよな。害虫風情が!」
接近してくる人を女性は・・・・・・気が付けば人が倒れていた。
見えなかった。対処するように見えたけど始まれば一瞬で終わっていた。
「しかし、アンノウンとアンノウンの時間転移に巻き込まれた子か。こんな暗黒の時代に飛ばされてくるなんて運がなさ過ぎるでしょ。運命から外れてないのにね」
アンノウンと時間転移に巻き込まれた子?
一体どういう・・・・・・
「ここは危険だ。いつまたワールドゼロが現れるか分からない。アレもまだ滅んではいないからね」
そういうと女性は私達に手をかざす。
すると周囲の風景が切り替わりさっきまでとは違う場所へと飛んでいった。
小ホムラ「・・・・・・何があった?」




