第二十六話 増えて増えて増えまくる
10/23 内容リメイク
◇ ◇ 拠点 錬金工房 ◇ ◇
四月が終わり五月になった。
五月五日という今日この日はこどもの日だ。
だから・・・・・・
「別にこういうのは悪いわけじゃ無いんだよ」
「「「「「そうだそうだ!」」」」」
「一人芝居やめろ!」
ビュウスは大量の小ホムラことホムンクルスに怒鳴りつけた。
まあ、確かに全部私が動かしているし一人芝居ではあるね。
何故ビュウスと口論しているのかというと、大量作成した小さな私である小ホムラをわらわらと工房内をうろつかせ始めたらビュウスが怒って来たんだよね。
流石に食堂占領するのはやり過ぎたかも知れない。
「まあいいや。妙なホムンクルス作ってたのは知っていたが偶然だったよな。いつ増やしたんだ?」
「作成した次の日には作り出してたよ」
錬金火薬とかタンパク質とか様々な食べ物系の素材で作れるからね。
不要な素材を排除することでホムンクルスの初期不良をなくすことに成功して数を増やせるようになった。
小ホムラに思考能力があったから私自身の処理能力の向上にも繋がり生産速度は飛躍的に速まったんだよね。
最初の小ホムラの思考能力を解放するのは少し苦労したけども・・・・・・
「なら、なんで数日も経った後に出てきたんだ?」
「300体増やすまで仕舞ってたから」
収納するイメージで小ホムラを持つと収納できるんだ。
本体と小ホムラ関係なくね。
まあ、小ホムラで収納するなら収納する本体だけは自力で収納できないわけだけど。
事前に小ホムラのインベントリに食料さえ入れておけば生存出来るからね。
ちゃんと生きてるから食料は必須だから収納された場所でしっかりと食料を取らないといけない。
無限資材のおかげでこの辺は困らなくて助かるよ。
まあ、生産技能がないせいで食料に関しては困りごともあるけどね。
「そんなに増やしたのか。頭は問題無いのか?」
「問題無いよ。ただ、最近ストレスが溜まってね。本体は動けても小さな体は動けないとなると地味にストレスが・・・・・・」
運動不足とかそういうのに影響受けるのが考え物だよね。
だからホムンクルスを増やすのはやめて全力で運動させ始めたって所なんだよ。
「悪影響出てるじゃ無いか! へたに処理するとその感覚がホムラniフィードバックされるから処分も出来ない。これ以上悪化させないためにももう増やすなよ」
「そのつもりだよ」
こんな影響出てたら今後に支障が出るしね。
小ホムラを収納できる空間を改良して動けるように出来れば良いんだけどね。
侵入可能なのが生産能力皆無の小ホムラだけだから、改良できないのが難点だ。
「生産能力の無い小ホムラだっけか?をそんなに増やしてどうするんだ? 使い道無いだろ?」
「あるよ? こっち来て」
私とビュウスは拠点を移動した。
◇ ◇ 拠点 訓練室 ◇ ◇
小ホムラ作り出してからいつの間にか作られていたことを知った訓練室。
VRシミュレーションこそ無いけど軽い稽古ならここで出来るんだよね。
「やぁ!」
「セェイ!」
そして訓練室では大量の小ホムラが小ホムラ同士で組み手を行っていた。
ビュウスはそれを唖然としてみている。
「驚いた?」
「驚いたな。いつの間にかこんな部屋があったことに」
あ、そっちに驚いたんだ。
まあ、気が付くと拡張されてるよね。
まだ工房出来て一月しか経ってないのにね。
「しかし、フィードバックを利用して訓練しているのか?」
「そういうこと。一時的に小ホムラ同士の思考を遮断して対戦相手の考えていることが分からないようにしつつ戦うことで色々と見えてくるものがあるんだよ」
まあ、小ホムラ単体だと思考能力が足りないから、他の小ホムラの思考能力を分けることでようやく戦闘可能な程の思考能力を獲得出来るという感じだけどね。
じわじわと成長してはいるけど、単独でまともに思考できるようになるのは相応の時間がかかりそうだ。
「でも、槍とかも使ってるよな。ホムラは剣が武器なのになぜそれで?」
「他の武器を扱う相手と対決したいけど、居ないから。それらの武器を剣持ちの小ホムラと対決させてないのは、適性の差が大きすぎるからというのが大きい」
戦闘系の適性は全て10に達しているから武器種は全て使える。
でも剣だけは100だから十倍の差があるんだよ。
これって結構馬鹿に出来ない差だからね。
元々剣は得意武器というのもあって、生半可なやり方だと普通に対応出来てしまうんだよ。
だから、剣以外の他の武器種同士で戦わせているわけだね。
戦闘終了後にフィードバックして武器の扱い方を習熟してるからどんどん使い方が上手くなって行っている感じはする。
現実だったら食費がやばいことになってるんだろうけど無限資材のおかげでその辺は何とかなるからね。
「うらやましくなるくらい便利だな。でも、食堂を占領してまで運用するのかよ。小ホムラが料理できないからお前が事前に作っておいてあるんだろ」
「料理できれば必要無いんだけどね」
サイズがサイズだから何かを焼くだけでも苦戦するからね。
何を作るにしても苦戦するんだよ。
適性が無いのが最大の原因だけど・・・・・・
適性が無いとかなり不器用になる感じなんだよね。
思い通りに体が動いてくれないというか何というか・・・・・・
こういうのあるから戦闘技術にも生産技術が必須になるんだろうね。
細かい動きを取り入れるには生産適性が必要になるんだろう。
「じゃあ、近いうちに生産の方の試練に挑むつもり?」
「オボロ達が挑むつもりらしいしそのつもり。そのためにも小ホムラ達をある程度動けるようにしつつ思考能力を上げておきたい」
どんな試練が待っているかは知らないけど、出来ることは全てやっておきたいからね。
試練には私の本体が手を出せませんとかになったらどうしようもないから。
せめてまともに製作作業が出来る程の身体能力を小ホムラが出来るようにならないとね。
「まあ、戦闘の試練と違って気軽にいけるみたいだから、明日にでも向かうつもりだけどね」
「戦闘用の試練と違って軽いのか?」
「軽いというか・・・・・・」
私も知らなかったんだけど、戦闘用の試練とちがって工房内から試練の場所にいける扉を気軽に設置できるらしいんだよね。
そして、それが出来る地点で察することが出来ると思うけど、一カ所の扉から生産の試練全てを受けることが出来る。
例外はサバイバル系くらいだ。
そして、明日にでも向かうというのは・・・・・・
「試練の場で普通に練習が出来る」
「あ~それなら普通に行った方が良いな」
ちなみに、試練の場で作った全てのものは持ち出し厳禁だし、持ち物に改良を施しても出たら元に戻る性質があるらしいから本当に練習にしか使えない。
・・・・・・迂闊に改良できない一点物の武器の改良練習とかにつかえそうな性質だけどね。
そして、試練中は生産に関する全ての適性が100まで引き上げられるから冒険者だろうが戦闘者だろうが生産活動が出来る。
最低でも50ないと無理と思ってたけど、まさか戦闘用と生産用でここまで違うとは思わなかったからね。
これなら戦闘者でも生産適性を獲得出来るね。
「でも、戦闘能力手に入れたから冒険に出るかと思ったよ」
「色々と思うところがあったからね」
思うところあったから表通りにある下級の試練全部網羅して周回してきた。
極振りにしても1%も溜まらない程しか手に入らなかったけどね。
一度突破した試練なら現地に行かずともシステムウィンドウから挑戦できるし毎日周回して手に入れるよ。
・・・・・・最も、ダイアルに教えて貰ったあの試練は運が良いのか悪いのかしらないけど毎回毎回レアミッションが出てくるんだよね。
現地に行って同時に入っても私単独で受けざるを得ないから、運が悪いとしか言えないかもね。
「どちらにしてもまだ四人揃ってないからね。オボロの兄であるレクトさんは戻ってきてないみたいだし・・・・・・」
一度戻っては来たけど、錬金術関係のトラブルに対処するためにまた出発したらしいからね。
ちなみにその時にオボロが私の専属冒険者であるということを確認している。
一緒に居たドルフィスさんもレクトに釣られる形で私の専属冒険者になる予定らしいから四人揃っては居るんだけどね。
出発したのが私が戦闘用の試練受ける前だったのもあってそのまま行かせちゃったから・・・・・・顔合わせすらしてないんだよ。
「とりあえず、今の目的はラビドラ討伐と小ホムラの全製作系技能を5にすることだね」
技能を極振りにすると面倒になる。
戦闘系技能は仕方ないけど生産はかなり支障が出るからそれで通すつもりだ。
「そうか、頑張って適性を手に入れてくれよ。・・・・・・一応小ホムラ専用の食堂を作ることをシャウラに頼んでおこうか?」
「その方がいいよね。問題無くなったらさらに数増やすつもりだし」
「増やすなよ!?」
割と便利だからいずれ増やすことだけは確実だよ。
今も思考能力の拡張という恩恵に与ってるしね。
兎竜「俺、再登場確定!」
ホムラ「再戦時は一人だから戦闘が端折られないだろうしね。次の戦闘ではほぼ無意味だったトラップを使う気はさらさら無いし違った戦いになるでしょ」
兎竜「新しいトラップは使わないのか?」
ホムラ「使わない。というか作れない。危なっかしすぎてトラップの起動試験出来ないからね。黒色火薬でも割とやばいからトラップの改良が出来ないからね」




