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第二十二話 私は火に強い

10/23 内容リメイク

 ◇ ◇ 試練の場 ◇ ◇


「え、ちょ、うわわぁぁぁぁ!?」


「ホムラ!?」


 ドラゴンが思いっきり息を吸い込むと、私の体がドラゴンに引き寄せられた。

 凄い肺活量で私の体ごと空気を吸い込めるみたいだ。

 そこまで大きいサイズじゃないのに・・・・・・


 いや、それよりも普通にやばい!

 このままじゃ炎に突っ込んでしまう。

 ドラゴンの周辺はまだ火の海なのにこのままドラゴンの方向に吸い込まれたら・・・・・・


 私の体は予想通り炎の中に突っ込んだ。

 そしてそのまま私の体は燃えて・・・・・・・ない?

 というか熱いのは分かるけど体が燃えるような熱さは一切感じない。

 何故か服も燃えてない。


 ・・・・・・よく分からないけど、私の体は火に強いみたいだ。

 何処ぞの赤い植物マスコットみたいにね。

 髪の色は確かに赤だけどそんな力があるとは思わなかったよ。


 なら、チャンスだよね。

 ピンチがチャンスに入れ替わる。

 このままドラゴンの口の中に突っ込む。

 私はドラゴンの口の中に飛び込み、胃に入らないように舌にしがみついた。


「ラヒ!? ・・・・・・・ラヒ―フレイフ!」


 舌にしがみついているとそのまま炎のブレスを吐いてきた。

 うん、全くと言って良い程効かないね。

 むしろ心地よく感じる。私には炎は効かないみたいだ。

 ・・・・・・服が燃えないのは謎すぎるけどね。


 でも、分かっていることがある。

 私が身に纏っているか手に触れている装備だけが燃えない影響下にあるということだ。

 うっかり手放したナイフはブレスに溶けてしまったからね。

 同じ素材で同じ出来のナイフを私は装備しているにもかからずそっちは溶けてないしね。


「無駄だよ。私に炎は効かないみたいだ」


「ラヒ!?」


 今何を言ったのか分かるね。マジか!?って所かな?

 火に強い私を体内に招き入れたのは失敗だったね。

 さっきの爆弾団子で体内は脆いことは分かってるんだしね。


 私は腰のナイフを引き抜く。

 剣が使えない状況下で使う事を想定したナイフだ。

 最も付与は付いてないんだけど。機能出来る程ちゃんと付与できなかったからね。

 原因は私の技術力不足だからどうしようもない。


 私はそのナイフを駄目にする前提で思いっきり天井を突き刺す。

 私が居るのは口の中だから当然、ドラゴンの口の中の天井である口蓋である。


 だけどこんなナイフでどうにか出来るわけがない。

 戦闘能力がそこまで高いわけじゃ無いのに、体内とは言えドラゴンに傷を負わせるなんて簡単にできるわけが無い。

 なので、私が最近よく使っている力で押し通すことにした。


「【切断術(カッティング)】」


「ラヒ!? ラヒィィィィィ!?」


 切断術を纏わせ切断能力を高めたナイフで口蓋をブスブスと突き刺す。

 出血がひどい。前が禄に見えない。

 血なまぐさい。

 でも私に出来るのはこのくらいだ。


 私はナイフで肉をえぐり斬り裂きつつ傷口の中に体を突っ込んだ。

 声にならない絶叫が聞こえる。

 同じコトされたら凄く痛いだろうし無理も無いけど。


 切断術で斬り裂きつつ体を突っ込んでいき、脳までたどり着いた。

 私はそのまま切断術でとどめを刺した。


「ラビィィィィィィ!?」


 ドラゴンは断末魔を上げてそのまま地面に倒れ込んだ。

 凄い衝撃だったけど割と平気だった。

 周囲の肉がクッションになってくれたからね。


 体を引き抜こうともがいていると急にドラゴンが消えた。

 試練用のモンスターだから素材回収されないようにするためかな?

 サバイバルとかその類いの試練でも無い限りは素材を手に入れることが出来ないとか言われてたしね。


 なんにせよ抜け出せて良かった。

 あそこから抜け出そうと思ったらかなり時間かかっただろうしね。

 血まみれだったけどそれも綺麗に無くなったよ。


「ホムラ、大丈夫か?」


「思いっきりブレス喰らっていたでござるが・・・・・・」


 コクウさんとオボロが慌てて近寄ってきた。

 オボロはドラゴンが消えると同時に投げ出されたみたいだ。

 受け身とったから平気だったみたいだけどね。


 にしても心配かけたね。

 そりゃ思いっきりブレス喰らってるもん。

 当然心配されるか。


「大丈夫だった。何か私って火に強いみたい」


「火に強いって・・・・・・そういう力でも持ってるの?」


「意外と凄いんでござるな。でも、みたいってどういうことでござるか? 自分の力をまるで把握していないみたいな言い方でござるが・・・・・・」


 自分の力を把握してないね。

 記憶失ってるからそう言う力があっても覚えてないのかもしれない。

 鍛冶とかしてれば気がつくんじゃ無いかって思うかもだけど気がつかなかったしね。


 このゲームって怪我とか病気とかは再現されないけど、体質なんかは良いところも悪い所も再現するからね。

 でも、鍛冶を長時間やって熱でやられなかったのは普通にゲームの仕様だと思ってたんだよ。

 私の体質が原因だったなんて思ってなかったんだ。


「そういえばオボロ達には言ってなかったっけ? 私って記憶喪失なんだ。九歳までの記憶が全部無いんだよ」


「記憶喪失でござるか。だから力を把握してなかったんでござるな」


「・・・・・・九歳? いや、でも記憶無いんだったらそのことに思い当たらなくても不思議では無いか」


 オボロは納得したみたいだけど、何かコクウさんには異様に疑問に思われてる。


「思い当たらなくてもってどういうこと?」


「ボクの勝手な推測だし、正しいのか間違っているのかすら怪しいからあえて言わないでおくよ。間違った先入観与えて記憶探しに支障来すのは本意では無いからね」


 何となく私の過去が推測出来たみたいだ。

 あれだけでどうやって推測出来たのかは謎だけどね。


「とりあえず、試練クリアだね」


 上の方を見てみると試練突破と書かれている。

 これが最後の試練だったみたいだね。

 地味に疲れた。退出までに猶予があるから少し休んでから外に出よう。


「うわ、とんでもないことになってるでござる。ホムラ殿もステータスを見るでござるよ」


 凄いこと?

 私はステータスを開いて見た。


==========

武器

刀剣 100


全戦闘系技能 10

全製作系技能 100

==========


 なんかとんでもないことになってた。

 潜在能力解放が溢れてるよ。

 剣の武器を扱う適性が最高になった上でもまだ溢れる程残っていたみたいだね。

 全ての戦闘系技能に残りが割り振られたらしい。

 確か5%で極振りの20%だったはずだから更に上って事なんだろう。


 数値は書かれてないけど初回潜在能力解放ボーナスとレアミッションボーナスの二つで大幅に大きくなっているらしい。

 あと、初回試練突破で入手量100%と書かれているから周回でちまちま稼ぐことも出来なくは無いんだろうね。

 レアミッションを受けられれば初回の試練突破と初回潜在能力解放ボーナスを手にしたときと同等の量もらえるみたいだけど。


「拙者の刀適性と跳躍が97になっているでござる」


「ボクは空脚が100に到達して全戦闘技能12になってるね」


 どうやらオボロは二つに割り振ったせいでギリギリ100を超えなかったらしい。

 ただ、コクウさんは私と同様に一つだったから100を超えたみたいだ。

 対して量は変わらないのに全戦闘技能が12になっているのは恐らく冒険者のメリットによる物だろう。

 潜在能力解放させやすいというメリットがあったと思うしね。


「にしても、この全戦闘技能の中に空脚も含まれてるのでござるか?」


「含まれているだろうね。クラフターの製作技能と同じ感じの適性表示だしね」


 仮に適性を獲得したところでそれが使えるかどうかは本人の努力次第だしね。

 ちなみに空脚などの派生適性は大本の適性の影響を受けるらしく、仮に空脚が100だとしても跳躍が50なら50になるらしい。

 空脚が50で跳躍が50だと25と言った具合に減衰するんだ。

 私の場合だと跳躍が10で空脚が10だから実質1と言った具合になるだろうね。

 一応使えるけどまともに扱えると言えない適性値だ。


「出来るようになったことはここで確認することは出来ないし、しばらく休憩したら外に出よう。一眠りするのも良いかもしれないよ」


「そうでござるな。よく考えたら外に出たらあの裏道を突破しないといけないでござるからな」


 ダイアルが私達を置いて帰るなんて事はしないとは思うけど、足手まといになってしまわないようにちゃんと動ける体力を回復する方が良いだろう。

 試練が終わって修復されたトラップ類も回収しないとだしね。

 どうやらそのへんは回復してくれるみたいだ。

 ありがたく恩恵にあずかろう。

ホムラ「にしても、素材が入手出来ないのは本当に残念だ。ドラゴンだから強力な装備が作れると思ったんだけどな」

コクウ「錬金鍛冶を学んでからもう一度狩れば良い。ワイバーンとかなら簡単に狩れるしね」

ワイバーン「!? 何か寒気が・・・・・・」

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