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第二十一話 その熱鎖は自在に舞う

10/23 内容リメイク

 ◇ ◇ 試練の場 ◇ ◇


「コクウ!」


 コクウの居た位置に何が突き刺さったんだ!?

 突き刺さった物を見てみるとドラゴンの背中から生えた赤い何かだ。

 超高熱を帯びてて派手に発光していて具体的な形は分からない。


「大丈夫! 退避したから」


 コクウさんの声が聞こえた。

 よく見たら鎖が刺さった前方に立っていた。

 前に全力で走って回避したって事なのかな?


「にしても、チェーンか。つまりフレイムチェーンラビットドラゴン、超高熱を纏った鎖がメインの攻撃手段って訳なんだろう」


 鎖!? あれ鎖なの!?

 というかあれだけ発光する程の熱を帯びてるのに鎖の形状保ってるんだ。

 どんな金属が使われてるんだろうか。

 逆に気になるよ。


「ラビビ・・・・・・・・ラビ!? ラビビット!?」


 コクウさんが生きてることに驚愕しているドラゴンが居た。

 アレで殺せたと思ったんだろう。

 つまり、鎖で手応え等は感じられないわけだね。


「渾身の大技外しちゃったね? 外付けの超越能力ってところかな? 君が作り出した訳じゃないし消耗も激しいんだろうねぇ?」


「ラビビ・・・・・・」


 ドラゴンがコクウさんの言葉で苦い顔をしているのが分かる。

 超越能力というのは分からないけど、本来保有していない力を外付けで無理矢理手に入れたから消耗が激しいってことなんだろうね。

 あのドラゴンとしても何度も使うわけに行かない切り札なんだろう。


「あの鎖は脅威では無い。さっさと仕留めにかかるか」


「ラビビ・・・・・・ラビット!」


 熱鎖が一点では無くコクウさんの全方位から攻撃してきている。

 攻撃パターンは一つじゃ無かったの!?


「あ~無理して使うから・・・・・・火力が下がってるし避けやすいよ」


 全方位から襲い掛かる鎖をコクウさんは、まるで踊るように避けていく。

 一つ一つ、熱でダメージすら与えられないレベルで避けていく。

 普通の鎖だったら余裕過ぎる回避が出来てるんだろうってレベルで大きく避ける余裕すらあるんだね。

 大きく避けてるのは熱でダメージを喰らわないようにというのもあるんだろうけど、それが出来る程余裕があるんだろう。


 コクウさんの言っていることが本当なら、あの大技以外は強引に扱っているような物だから火力が下がるらしい。

 多分速度も下がってる。私の目でも追える程だしね。

 さっきのは何か出たと思ったら一瞬でだったのに、今は目で追えてるってことは相当速度が下がってる。


「ラビビ~」


「あ、しまった・・・・・・」


 コクウさんが何か失策に気がついたみたいだ。

 瞬間、ドラゴンの口から高熱のブレスが吐き出された。

 そうだった! 兎みたいな見た目でもドラゴンだからブレス吐くよね!?


「ホムラ! 今だ!」


 全身をドラゴンブレスで焼かれつつコクウさんが私に指示を出した。

 そうだよ。今がチャンスだ。

 私はドラゴンブレスが収まる寸前に兵器を使ってある物を射出した。

 ある物はまだ熱が多少残るドラゴンの口の中に入っていきそのまま口の中に消えた。


「ラビビ?」


「3、2、1・・・・・・」


 私はカウントを数える。

 ある物が不発になる可能性も考慮しておかないといけなかったから。

 そしてゼロを数えたらドラゴンに異変が起こった。


「ラビ? ゴボバハァ!? ラ・・・・・・ラビ?」


 ドラゴンが大きく振動して口から煙を吐いた。

 よし、爆弾団子は上手く行ったみたいだ。

 事前にタイマーセットしておいて熱に強く内部からの衝撃で簡単に破裂する外装で覆って、射出機で射出してドラゴンに食わせてあげたんだ。

 表面は効かなくても体の内側なら効くでしょって作戦だ。

 巨大なモンスターだったら熱に強くても大抵は通用する戦法らしいので準備しておいたんだ。

 こっちは通用したみたいで良かったよ。


「ドラゴンブレスをボクに使ったらまさかのご馳走を喰らわされて困惑してるね?」


「ラ、ラビビ?」


「困惑してる? ボクが平然としていることに」


 さっきコクウさんが居た位置にほぼ無傷でコクウさんが立っていた。

 良かった。無事だったんだ。

 何かで強引に防いだらしく体のあちこちが焦げてるけどね。

 槍も多少溶けて短くなってる。

 修復が効くとはいえ、あそこまで壊れたら完全には直らないね。


「セェイ!」


「ラビィ!?」


 呆然とみていたドラゴンに、オボロが背後から背中をよじ登り頭に上って目玉に刀を突き刺した。

 目はそこまで硬くないからね。

 今のオボロの技術力じゃこのドラゴンに傷を禄に負わせることが出来ないみたいだけど急所なら話は別みたいだ。


「不意を突いて攻撃するなんて忍者みたいでござる。拙者は侍なのに・・・・・・」


 オボロが愚痴る。

 忍者って暗殺のイメージ強いけど、実際には諜報員だからね。

 創作の忍者は暗殺とかするけども・・・・・・

 NINJAに至っては火遁の術とかでど派手な戦闘をしたりするよね。

 諜報員要素何処行ったって突っ込みたくなるよ。


 今のところ刀一本で戦闘しているんだから忍者要素は薄めでしょ。

 火遁の術とかの忍術使い出したらもう駄目な気がするけどね。


「ラビ・・・・・・・ラビ・・・・・・ラビィィィィィ!」


 ドラゴンは大きく顔を上に向けてから、そのまま顔を倒しブレスを吐いた。

 そのまま顔をぐるりと全方位に振るう。

 ドラゴンの周囲がブレスの炎で火の海と化した。


 私の位置まではブレスはとんでこなかったけど仕掛けていたトラップは壊滅したよ。

 遠距離攻撃でちまちま攻撃を与えるか爆弾を射出できる兵器しか残って無い。

 爆弾ももう通用しないだろうしここからはトラップや兵器の力無しに戦わないと駄目だろうね。


 周囲が火の海に沈んだけどオボロはドラゴンの顔面に張り付いていたから無事で、コクウさんは退避していたからブレスを喰らわなかったらしい。

 というかドラゴンが絶叫上げた瞬間に退避していたからブレスが来ることが分かっていたんだろう。

 さすがと言ったところかな。


「ラビドラゴーン!」


 これで終わりかと思っていたら周囲に無差別に鎖を伸ばした。

 今まで見えなかったけど先端には短剣らしきものがくっついている。

 ・・・・・・なんか、どこかで見覚えがある形状してるね。

 まさか、このドラゴンって・・・・・・


「オボロ! ど派手に技を振りまいている今がチャンスだ! そのまま刀を思いっきり突き刺して仕留めてしまえ!」


「無理でござる! 大暴れするせいで刀を手放さないようにこらえるのが必死でござるぅ!」


 コクウさんが指示するけど確かに、あれだけ大暴れしていたら刀をそのまま突き刺すのも難しい気がする。

 というか、しっかり固定されているらしく、あれだけ大暴れして振りまわされてオボロの体重が乗っているにもかかわらず、引き抜ける気配が無い。

 突き刺すのにも相当の力がいるだろうね。


「ああ、もう! あの炎の中を突っ切るなんで流石にボクでも無理だ。というかあのままだとオボロが持たない。ホムラ、生き残ってそうなトラップは無い?」


「生憎無いね」


 トラップは私が使っていた兵器以外は全滅している。

 私の使っているのと同じ種類の兵器は残っているけど爆弾射出したところであの炎を超えようとすればダメージ与えられる体内に入る前に爆発するだろう。

 兵器ではどうすることも出来ない。


 ・・・・・・一か八か私の投擲に掛けてみるしかないか。

 投擲用のだとあの炎に速攻で溶かされてしまうだろう。

 投擲用では無いにせよちゃんと作った物を使った方が良いだろう。


 私は駆けだした。

 投擲で届く射程距離まで近づいてからナイフを片っ端から投擲する。

 何本も何本も・・・・・・・


「ラビ? ドラチェーン!」


 効果は無かった。

 でも私の存在に気がついて暴れるのをやめた。

 そして大きく息を吸い込み始めた途端、私の体が宙に浮きドラゴンの口元に吸い寄せられた。

兎竜「オイラ、出現した瞬間に罵倒されて、コンプレックスだったとはいえ尻尾を切られて、馬鹿にされて、眼をなんか鋭い剣でつぶされたオイラの気持ちが分かるか?」

ホムラ「・・・・・・なんか、ごめん」

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