第十六話 試練を受けてみよう
10/23 内容リメイク
◇ ◇ ファストクラフトの街 訓練所 ◇ ◇
今日偶然来ていたダイアルにシミュレーションのモンスターを倒せるようになったことを報告した。
「ようやく剣の扱い方になれてシミュレーションのモンスターを倒せるようになったんだね」
うんうん、と頷きながらそう言った。
ダイアルって自分もだけど誰かが強くなるのを喜ぶタイプみたいだ。
戦闘狂気質があるんだね。
なんでこのゲームやってるのか分からなくなる。
・・・・・・いや、このゲーム以外にこのレベルのゲームは無いからか。
なんだかんだで世界をまたに掛けるゲームだからゲームの完成度も桁違いだからね。
「ようやくね。かなり苦労した」
「だろうね。スペックは試練用のモンスターの二倍程だし当然だよ」
「二倍!?」
ちょっと割り増ししているんだろうなとは思ってたけどまさかの二倍!?
そりゃ滅茶苦茶強く感じるわけだよ。
「1.2倍で十分じゃ・・・・・・」
「それで戦えるようにならないとクラフターで戦闘なんてやってられないよ。適性値は極振りしてようやく扱えるレベルまで引き延ばせるけどその分回避、防御などの基本技能を捨ててることになるんだから。クラフターの適性に類似する技能があるからある程度は出来るとはいえど戦闘用じゃないからそこまでじゃない」
そうだ。
適性って無駄に数が多いんだ。
適性は極振りにしないと殆どまともに戦えないらしい。
曲振りしても五分の一だ。
試練の時は全ての適性が50だし普段の戦いになると大幅に弱体化する。
だからこそ必要だった訳なんだね。
「武器は最優先、次は立ち回り強化の回避、防御の潜在能力解放しないとまともに戦えない。ボクは縛りプレイのような感じで挑んだからいいけど君はそうではないでしょ? 最低限の潜在能力解放をするには二倍のスペックを倒せる程じゃないと無理なんだよ。それが最低限だからね」
そういえばオボロとコクウさんの適性に回避と防御の適性があった。
最低でもこの二つは無いと駄目って事なんだろうね。
剣を50にしてから次にってのは普通に縛りプレイみたいな感じだったんだね。
ダイアルさんは強さに冠してはストイックなところがあるみたいだからやっててもおかしくないけど私はそこまでするつもりはない。
「ところで、モンスターの種類が複数居たのって・・・・・・」
「当然その数だけ試練を受けて貰うからだよ。武器の適性を最初のボーナス込みで引き上げて、その後は防御と回避に適性を割り振るんだよ。この二つは比較的上がりやすい部類だから残りの試練で潜在能力会報まですれば5パーセントまではいくだろう」
モンスターの種類から計10種類だったから9個の試練でそこまでいくんだね。
・・・・・・あれ? 結構少ないって話じゃ無かったっけ?
「ボーナス無しだと極振りでも1%行かないって言ってなかったっけ?」
「それは低レベルの試練の話だよ。この辺だと比較的難易度高めの中級者用って感じの試練だから潜在能力解放値が大きいんだ。初回ボーナスもね。実のところボクはあそこで初回ボーナスを受け取ってないからどれだけもらえるかは知らないんだ。ひょっとすると一気に50%までいくかもね」
あれは下級の試練の話だったのね。
位が上がると話は変わってくるということか。
「ところでその試練って何処にあるの?」
「町中だけど、ちょっと危険な場所にあるかな。裏道に入ったら武器をいつでも出せるようにしておいてね」
あ~裏道にあるのね。
それなら町中でも危険なのも頷ける。
◇ ◇ ファストクラフトの街 裏道 ◇ ◇
私達はレシピ屋があったところとは別の場所から裏道に入った。
何か物騒だね。
全体的に暗いというかなんというか・・・・・・
街では武器の所持禁止されてるのに平然とナイフ構えて突進してくる男まで居る。
「はいはい、お疲れ様」
そしてどこからか取り出した糸でさっくりと拘束して無力化するダイアル。
いや、本当にどこから取り出したのその糸。
何かやけに強固なんだけど・・・・・・
「武器所持していて良いでござるか?」
「ここまで来たら良いよ。この辺は完全に無法地帯だから自分の身は自分で守らないとだしね」
オボロとコクウさんは武器を取り出した。
ちなみにオボロにはまだ武器を渡してない。
試練が終わった後って言ってるしね。
コクウの武器も一応は作ってある。
「へいへい、そこのお嬢ちゃん達俺達と・・・・・・うわらばぁ!?」
「アハハ、残念だけど君みたいな男には興味ないんだよね」
ダイアルは鎖の先端に鈍器を付けたものを振りまわしてナイフをちらつかせながら迫ってきた男を殲滅した。
剣ではなく鈍器をつけているのは面倒だからだろう。
というかさりげなくそういう適性も引き上げてるんだ。
何処まで適性を引き上げているんだろうか。
「う~ん、この人、普通にボクの全盛期より普通に強くない?」
「え゛!? そうなの!?」
ダイアルってクラフターだよね?
私ってコクウさんの強さを計り切れてないけど全盛期より普通に強いの!?
プレイヤーが戦闘者や冒険者になれてたらそっち選んでたんだろうな。
いや、変なところでストイックだしそれでもクラフター選んでいたかも知れない。
私は無双するダイアルについていった。
無双レベルはコクウさんよりダイアルの方が上かも知れない。
最初から呼び捨てにしてたけどダイアルさんって呼んだ方が良いのかな?
何故か呼び捨てにしてたんだよね。
気がついたときには遅かったけど。
◇ ◇ 試練場 入り口 ◇ ◇
「ここが試練の場所ってこと?」
私達は裏路地にある大きな扉の前にたどり着いた。
ここが試練の場所ってことなのかな?
「裏路地には結構中位の試練が多いんだ。ここは十種類の試練が出来る特別な場所なんだよね。しかも適性は全て50%に固定されるから戦闘不可能なクラフターでも受けやすい」
「あれ、そういえばダイアルは別の試練を受けたって言ってたけど・・・・・・」
「ああ、最初は購入した爆弾やら何やらで突破した。それでも突破できるからね」
え~・・・・・・
なら私の苦労って・・・・・・
「でも、最初からこっち受ければボーナスもそれだけ高いしその方が強くなる近道だからね。ボクのやったルートだと結構苦労するよ」
「それもそうだね」
潜在能力解放はこの試練の方が高いしね。
一気に50%になるかもって話だしやってみるのも良いかもしれない。
扉の前に立つとシステムウィンドウが表示される。
試練を受けるか否かという設定だ。
そして試練報酬の潜在能力解放をどれに割り振るかという設定もあった。
私は剣に全てを振るように設定してOKボタンを押した。
「そういえば、これって同時に受けられるんでござるか?」
「受けられるよ。全員別々のエリアで試練を行う事になるけどね」
ああ、同時に受けても問題無いのね。
ならオボロ達も同時に入った方が良いか。
オボロは剣の適性と跳躍の適性を選んだ。
二つ選ぶんだ。
コクウさんは空脚・・・・・・何かこれだけ跳躍の派生みたいな感じになってた奴だね。
それがなんなのかはよく分からないけどとにかく役に立つ技術なんだろう。
皆設定が終わったので扉が開く。
「それじゃあ、試練成功を祈ってるよ」
こっそり不意打ちしようとしてくる輩を、鎖で攻撃してぶっ飛ばしながらそう言った。
本当に治安悪いね。早いところ試練終わらせてここから抜け出したいよ。
私は開いた扉に入った。
このときの私は知るよしもなかった。
ここの試練はダイアルが受けたような生ぬるい試練では無いことに・・・・・・
私達は聞いていた試練と違うと気がつくのは試練が始まってからだった。
ダイアル「本当に治安悪いね。・・・・・・あら? 何か扉変わってない? え、レアミッション!? うわ、レアな試練を引いたのか!? やりたかった・・・・・・・あ、でもこれって不味くない?」」




