第十四話 新たな武器を妄想する
10/23 内容リメイク
◇ ◇ ファストクラフトの街 訓練所 ◇ ◇
今日はコクウさんとも訓練所に来た。
弱体化しているらしいしね。
トレーニングして感を取り戻した方が良いでしょ。
「へぇ~シミュレーションでモンスターと戦える装置か。とりあえず実践あるのみかな?」
「え、ちょっとコクウさん!?」
早速ピピッと設定してシミュレーション装置に入っていった。
しかも高難易度設定かつ潜在能力は現在の物に依存する設定でシミュレーション開始しちゃってるよ!?
大丈夫なのかな!?
シミュレーション装置内部の戦闘を映す画面を見てみる。
・・・・・・槍で滅茶苦茶無双してる。
まるで無双ゲーでもやっているかのようだ。
コクウさんが槍を振りまわす度にぶっ飛んで倒されていく。
「普通に強すぎるでござるな・・・・・・」
「弱体化したと言うより適性値のせいで制限されてるってほうが正しいみたいだしね」
弱くなっているように見えないしね。
滅茶苦茶無双してるよ。
シミュレーションで再現できるモンスター程度じゃ話にならないって事なんだろうね。
「拙者も、もっと強くなったほうが良いでござるかな?」
「まあ、呪いを解く素材を探すとなると強い方が良いと思うしね」
パーティのバランスも必要だけどね。
一人だけが突出してても意味ないし。
そんなことを話していたら、シミュレーションを中断してコクウが出てきた。
あれ? 何か問題でもあったのかな?
「・・・・・・シミュレーションの武器って不壊だから訓練にならなかった」
「あ~武器が壊れないように戦う訓練のつもりだったのね」
「おかしいなとは思ったんだよ。モンスターを大雑把に吹き飛ばしても壊れないのはね。どうすれば武器が壊れてしまうのかを把握するためにやったのに、これじゃ意味ないよ」
武器ね。
武器の耐久力設定って武器そのものを持ってないと設定できないんだよね。
コクウの武器は今ないから設定そのものの画面が出てこなかったんだ。
コクウのあの槍はどう考えても今の私達に手におえる代物じゃない。
だからどう足掻いてもあの槍の下位互換しか作れないんだよ。
それが分かっているからこそコクウは武器が壊れないように戦う方法を学ぼうとしたんだろうね。
う~ん、どうしたものか・・・・・・
ちゃんと作るとなると時間はかかるけど・・・・・・
「簡単な槍でよければ、この場で作れるけど・・・・・・・」
「え? 作れるの!? ここで!?」
作れるよ。
町中だから無限資材使えるしね。
それっぽい素材はいくつかある。
槍って武器の中では比較的簡単に作れる代物だしね。
竹があれば先端を斜めに切るだけで竹槍ができる位だ。
とはいえ今回は竹槍は使わない。
シミュレーションの扱い見てたら分かるけど簡単にへし折れるだろうしね。
あれだけビュンビュン扱えるなら総金属製の槍でも良いでしょ。
パイプみたいに中空のものを使う。
内部に変形術で強度強化の為に金属を流し込む。
内側から外側を支えるような構造をいくつも作りあげていく。
そして先端にストレージにあったナイフを取り付けて合成術でくっつければ完成だ。
ストレージ内の素材で作った適当な槍の完成だ。
雑に作ったにしては良い出来だと思うよ。
「うわ、本当にここで作ったよ・・・・・・・」
「でも、出来は保証しないよ」
「それは分かってるよ。うん、確かに全体のバランスが悪い。出来は良くは無いね。ただ強度はかなり高い感じがする」
強度だけにこだわりすぎたのは失敗だったね。
バランスのこと考えてなかった。
滅茶苦茶アンバランスな代物になってるよ。
「まあいいや。使いにくい槍を使いこなす訓練になるだろうしね。それじゃあやってみるよ」
そう言ってコクウはシミュレーションを再開した。
・・・・・・そして割とすぐに出てきた。
そしてまた入っていった。
すぐに武器壊してシミュレーションを終わらせてしまったんだね。
一応耐久力高くしたはずなんだけどな。
とんでもない力でぶん回してるからすぐ壊れるんだろう。
でも、すぐに壊れたということは普通に扱ってても壊れるくらいコクウのスペックが高いって事なんだろう。
ちゃんとした武器を用意してあげないと駄目だろうね。
「ミスリルとかで作らないと全力戦闘は無理じゃ無いでござるか?」
「ミスリルがどんな性質かは知らないけど既存の金属で無理なのは分かるね」
強度は普通に作った限りではかなり強固な部類だ。
それでこうも簡単に壊れるとなると、既存の素材じゃ全力を受け止めきるのは無理だろうね。
どうしたらもっと強固な槍にできるのやら・・・・・・
一つ言えるのは中空構造だけじゃ駄目ってことだね。
中空構造にするのは確定としてその中に武器の衝撃を緩和させるような何かを入れて武器に発生するダメージを軽減しないと・・・・・・
「拙者もあのくらいの強さを身につけられるでござるかな?」
「身につけられるかじゃなくて身につけるんでしょ? 戦い方こそ異なるかも知れないけどあのレベルの強さを手に入れることは出来るでしょ」
前に突き進み続けていればたどり着ける一つの終着点だと思うしね。
今は無理だとしてもいつかはたどり着けるはずだ。
「といっても、彼女も全力出せるわけじゃないしね。武器が脆いから気を付けて戦わないと行けないし」
素手の戦闘適性がないから槍使わないとまともに戦えないのが難点だよね。
一応突きとか振りで適性をカバーできるだろうけど両方揃ってる方が火力出せるだろうしね。
「やっぱり冒険かな。素材見つけて色々と作ってみたいよね」
わたしのかんがえたさいきょうのつるぎとか作ってみたいと思うしね。
一応私はクラフト全般出来るからね。
武器だけじゃ無くて防具も揃えてわたしのさいきょうのそうびなんかを全て作ってみたい。
アイデアはあるんだよ。
それを実現できる素材がないだけでね。
私の作った発電機なんかも上手い具合に偶然かみ合ったから作れただけだしね。
メンテナンスし続ければ永遠に発電できるとは言え、発電量には不満しかないし改良したいとは思ってるんだよ。
それをどうにかする素材を見つけたい。
現実に存在するかも怪しい素材を見つけたい。
そして見たこと無い景色を見たい。
広々と広がる世界を冒険したい。
そのためにも強くなりたい。
外には危険がいっぱいだ。
そのためにもシミュレーションで試練を突破できる最低レベルまで鍛え上げて試練を突破しよう。
そして戦えるようになっていろいろとやっていくんだ。
「色んな武器でござるか・・・・・・拙者の刀ももっと強くなるでござるかな?」
「それよりも先に現状作れる最高レベルの刀に更新する方が先だね」
「え!? 作れるんでござるか!?」
「作れるよ。一時期刀作ってたしね」
武器作りとかは一時期はまってたしね。
クラフト系が全体的に出来るのは大概それが原因だしね。
一人で一から作ろうとすれば皮加工、裁縫、調薬、製鉄、木工などなど色々と手を出すことになるからね。
デザインを気にして彫刻もしたし絵も描いたし・・・・・・手広げすぎじゃねって言われるくらいにはやってたよ。
記憶失う前何していたのか知らないけど全部高水準で作れたんだよね。
必要な技術を知らないとあえて技術使わずに作っている人みたいに見えるとか言われるレベルだし・・・・・・
普通に忘れてるだけなんだよね。記憶喪失のせいで。
「今度作ってあげるよ。オボロさんは私の専属冒険者だしね」
「専属冒険者ならそのオボロさんというのはやめて欲しいでござる。気安く呼んでくれて構わないでござるよ」
気安くね。
うん、分かったよ。
「それじゃあ今後はオボロって呼ぶね。私が試練突破できたら刀を作ってあげるよ」
「ありが・・・・・・かたじけないでござる」
前々から思ってたんだけど・・・・・・
「オボロのそれってあえてそう言う忍者言葉使っている感じ?」
「違うでござる! あえてそう言う喋り方をしているのは間違ってないでござるが忍者では無く侍でござる!」
あ~うん。
オボロの見た目って完全に忍者チックなんだよね。
体質の都合上仕方ないのかも知れないけどそんな格好の侍はいないと思う。
とりあえずオボロのことは侍として扱うことにしよう。
明らかに忍者でもね。
オボロ「拙者は忍者では無いでござるよ」
コクウ「・・・・・・ソーダネ」(その格好で!?)




