第一話 色々と楽しみたくて
10/23 内容リメイク
第一話 色々と楽しみたくて
人は皆何かを作って生きている。
木材を加工したり、金属を加工したりなどをして作るだろう。
そして人が住む建物、人が着る衣、人が食べる食事などを作る。
それに収まらず人は自ら便利な代物を作っていく。
暗闇を照らす光を、世界を駆け巡る風を、自然の驚異たる火を生み出す道具を作っていく。
何かを作ったことの無い人間など存在せず生きているだけで何かを作り消費している。
そんな人間の製作技術を更に発展させる為一つのゲームがリリースされた。
クラフティング・オンライン・・・・・・それはありとあらゆる物作りがVRで行えるというとんでもないゲームだった。
普通のVRでは感じ取ることの出来ない五感を現実と同じレベルまで引き上げ料理を完全な形でVRに取り込んだのだ。
そのほかにも木工、製鉄が設備を借りずとも極めて簡単に行えるようになった。
さらには秘匿されているファンタジーとしか言えない技術すらそのゲームでは使うことが出来た。
ありとあらゆる物作りを集約させたのがこのクラフティング・オンラインというゲームだった。
そんなクラフティング・オンラインは世界中で大ヒットした。
それも当然だった。世界中の大企業が何故かこのゲームに大きく関わったのだ。
それによりこのゲームは世界で最も売れたゲームとして有名になった。
大企業の食品がこのゲームで楽しめる、娯楽が楽しめるなどもはや現実と変わらないくらいの発展具合を見せた。
娯楽だけでは無く物作りによって産み出されたレシピが企業に買い取られることで通貨を手に入れることだって出来る。
もはやタダのゲームと言えない代物となっていた。
ゲームとは思えないようなところはあるが明確なゲーム要素はあった。
モンスターが闊歩する世界で素材を手に入れ物作りをするというかなり難易度が高いゲームモードがあるのだ。
難易度が高い理由、それはある条件を達成しない限りプレイヤーはモンスターに一切のダメージを与えることが出来ないのだ。
モンスターと戦うことが至難の業であるが故にこのゲームモードは難易度が高いのだ。
だが、このゲームモードをプレイしたものは一攫千金が出来る可能性があるという事実もありこのゲームモードに挑む者は絶えることは無い。
そんなゲームモードをプレイしようとする一人の少女がいた。
これはその少女が繰り広げる物語。
彼女が何を成しとげ、何を手に入れるのかそれは誰にも分からない。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ピピピピピと音が鳴る。
私はアラーム音で起き上がり背伸びした。
私の名前は瓜得 焔、とある病院に入院しあるゲーム内で生活している10歳の女の子だ。
記憶を失ってしかも命に関わる程の大怪我で禄に動けないからゲームの世界で生活をしている。
まあ、ゲームと言っても殆ど現実と変わらないレベルの代物なんだけどね。
私のプレイしているクラフティング・オンラインというゲームはほかのゲームを出し抜く程の完成度を誇ってるからね。
まさに究極と言える。
「う~ん、いい天気だね」
ゲームの中の世界といえど天候はある。
天気が良い日もあれば悪い日もある。
台風なんかの災害は流石におこらないけどね。
「ここに来てから数ヶ月は経過したけどやっぱりこのゲームは最高だね」
それより前のゲームとは比べものにならない。
そもそもこのゲームみたいに内側で生活しても問題無いようになっているゲームなんて無いからね。
VR空間もここより良いところは知らないってレベルだよ。
しかもこの世界は物作りなら何でも出来る。
それこそ料理だってね。
ほかのゲームでここまで多彩に料理のバリエーションは無かった。
さすがは物作り特化型のゲームだよね。
ちなみに材料は無料だ。
企業が出した調味料とかその類いでも無い限りは基本的にタダなのだ。
その企業の出したものも売価の百倍の値段で購入すれば以降は制約付きだけど無限に使えるようになるしね。
まあ無限化は地味に高いから気にいったの以外はやる必要ないけどね。
私はお気に入りの企業のレトルトハンバーグ(無限化済)と徹底的に煮込んだカレーと合わせたカレーバーグライスを作って朝に食べる。
贅沢な朝食から一日が始まる。
「お、ホムラじゃないか。起きていたのか?」
「あ、ビュウス。おはよう」
カレーバーグライスを食べてたらキッチンに少年がやってきた。
彼の名前はビュウス。本名は知らない。
私と同じようにゲーム内で生活している子だ。
緑色の髪が特徴的な男の子だ。
ビュウスはアバター名だから本名は知らないんだよね。
まあ向こうも私の本名知らないからお互い様なんだけどね。
アバター名がホムラだから本名まんまなんだけどね。
「相変わらずライスに対してスゲ―量のハンバーグだな」
「最近のお気に入りだしね」
流石にゲーム内部のデフォルト無限素材だけじゃ出せない味を引き出してるしね。
時間を掛けて企業が出す材料の無限化して色んな素材に手を出さないとではたどり着けない味だしね。
お気に入りになるのも当然だよ。
「そうか・・・・・・」
ビュウスは私の言葉に呆れつつカレーをライスにかけて食べ始めた。
私の今いるこの家には現在五人の住民がいる。
私とビュウス、そして女の子二人と男の子一人ってところかな?
女の子二人はシャウラとセルフィス、男の子の方はロギロスだ。
このゲーム初めてからどうやって暮らしていこうかと迷っていたところにシャウラに拾って貰ったんだよね。
だから私はシャウラと友に暮らす三人と一緒にこの家に過ごしている。
皆理由は色々あれどゲーム内でしか過ごせない人らしい。
シャウラなんかはゲーム内でも影響が出るレベルで問題があるらしいからね。
だからこうしてそれなりに広めの家を購入して暮らしているんだよ。
私達はゲーム内でそれぞれお金を稼いで生活している。
クラフティングオンラインだしね。
レシピを作って特許で生活してる。
それなりに名が売れてきてるからかしょうも無いレシピでもそれなりに売れてきてるしね。
特許取れたレシピなんかは定期的にお金が入るようになるしね。
数ヶ月しか経ってないけど一つだけ特許取れたからね。
出力が低いけど一度作れば定期メンテナンスするだけでエネルギーを出力し続ける小型発電機。
地味にとんでもない発明とのことで特許が取れたんだよね。
でも、未熟な代物で使い勝手悪いからかとんでもないと言われてる割には入ってくるお金は控えめだけどね。
まあ、気軽に色々買えるようになったし別に良いんだけどね。
「おはよー」
「え? シャウラ? 珍しいねこんな時間に起きてくるなんて」
「殆ど起きてるよ。寝転がっている時間が長いだけでね」
私がカレーバーグライスを半分食べ終わった頃にシャウラがキッチンに入ってきた。
シャウラは体質のせいでVR空間内でも長時間動くことができない。
だから基本的に昼頃に活動することがおおいからこんな朝早くから動くのは本当に珍しいんだ。
「この時間ならホムラはまだキッチンにいるからね。早めに伝えておきたいことがあったから動くよ」
「私に伝えておくこと?」
何だろうか?
「ゲームモードで工房作る許可が取れたよ。敷地も確保した。これで冒険者雇って世界を旅できるようになったよ」
「本当に!?」
うわ、ずっと待ってたんだよね。
ようやく敷地確保出来たんだ。
貸し工房じゃ作った物が物だからそれが足引っ張って借りるのは厳しかったんだよね。
敷地確保出来たならこの家とつなげられるしゲームモードでこの家の工房設備が使えるからね。
「待ってたんでしょ。と言うわけでロギロスやフィルが起きてきたら工房の間取りとか決めておいてね。それじゃ」
シャウラはそう言ってキッチンから出て行った。
もう一眠りするつもりなんだろうね。
無理して起きなくても良かったのに・・・・・・
「ってことはようやく俺達はこの世界をゲームとしてプレイできるわけだな。俺は始めたら魔法研究とかするつもりだけど、ホムラは何をするつもりだ?」
「ゲームモードだと普通では使えない未知の技術を使えるんでしょ? 錬金術とか学びたいと思ってるよ。まあそれよりも冒険してみたい気持ちの方が強いけどね」
だって、この家って箱庭の家だもんね。
購入したサーバーデータ上に作られた範囲が限定された箱庭、それがここだからね。
物品の購入もシステムウィンドウで済ませられるからね。
ここよりも大きい場所と言えばゲームモードか遊園地みたいな娯楽サーバーくらいだからね。
私は娯楽サーバーには行けないからね。
未成年だから親がいないとそういうエリアに行けないんだよ。
そしてここにいる皆私とほぼ同年代にしか見えないから当然無理と言うね。
シャウラがここの購入とかは色々ごまかしてるからシャウラを経由しないと何も出来ないんだよね。
流石に人が管理してるところに子供だけではいるのはごまかしきれないからやめてくれと言われてるし仕方ない。
どうやってごまかしているのかと聞くとゲームのトップと繋がりがあるからその縁でってことらしい。
それ言ったときに苦い顔してたから余り頼りたくない相手みたいだけどね。
「とりあえず、シャウラに言われたことをやろうか。ビュウスは魔法研究とかしたいんでしょ?」
「ああ、ホムラは錬金術だしアトリエと研究室は必須になるな。ロギロスは十中八九・・・・・・」
とりあえず二人が起きてくるまで私達は工房の内装を決めることにした。
その後二人が降りてきて工房の内装は大雑把に決まった。
ホムラ「ここはこれあったほうが・・・・・・・」
ビュウス「確かにそうだな。とするとこれを削った方が・・・・・・」
ロギロス「俺のエリアモウ少シ広くテモ・・・・・・」
ホムラ&ビュウス「それはだめだ(よ)」